一次中計は超過確実圏、興味は次期中計へシフト・日本毛織(3201)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3201】日本毛織 (東証1部) OP

現在値 1,077円/100株 PER12.4 PBR0.88 5月配当優待 11月配当優待

羊毛紡織の有力会社だが、利益柱は商業施設賃貸。介護・売電も展開。
配当は5月末・11月末の年2回・合計24円配当のため、配当利回りは2.23%となります。

ニッケは株主優待制度を導入しており、5月末・11月末に単元株を保有する株主に対し、

500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.15%となります。

業績を確認していきます。 
■2015年11月期 売上高 1,028億円、営業利益 73億円、EPS 62.2円
■2016年11月期 売上高 1,009億円、営業利益 76億円、EPS 67.8円
■2017年11月期 売上高 1,034億円、営業利益 83億円、EPS 71.5円

■2018年11月期 売上高 1,105億円、営業利益 83億円、EPS 72.2円

■2019年11月期 売上高 1,200億円、営業利益 90→95億円、EPS 86.6円ce修正
□2019年5月2Q 売上高 588億円、営業利益  42億円、EPS 40.3円 

□2019年8月3Q 売上高 903億円、営業利益  75億円、EPS 73.0円(10/11)
 

2019年5月中間期の売上高は前期比10.6%増の588億円、営業利益は同19.3%増の42.6

億円となり、期初予算との比較はないものの2桁の増収増益となりました。衣料繊維事業

に関しては学校制服の低調な推移と、羊毛原材料高騰が原因で収益が圧迫された一方、

産業機材事業においては前期に連結化した産業商社のエミーの通期稼働効果があった

ほか、自動車生産市況が良好だったため、車載向け電装のFA装置や環境用フィルター

が好調に推移し、当該セグが2割増益・4割増収で仕上がり全社業績を押し上げました。

また、不動産関連事業についても、「コルトンプラザ(市川)」と「パークタウン(加古川)」の

改装効果が継続したほか、介護分野も入居者の増加が寄与しました。


なお、2019年11月期の通期予算については、3Q時点で増額しており、売上高が8.6%増の

1,200億円(従予:UNCH)、営業利益は13.5%増の95億円(従予:90億円)に修正しています。

衣料繊維事業についてのみ、原料価格高止まりによるマイナス寄与を織り込む一方で、

産業機材事業はEV/自動運転の市場拡大を追い風に車載電装品関連のFA機器の受注

が旺盛となっているため、当該セグで大きく上振れる見通しとなります。また、不動産関連

事業についても、前掲2施設の改装効果継続のほか、販売用不動産の売却益がオンされ

るため、トップラインを据え置く一方で、利益面が伸びる組み立ての修正予算となります。


当社は今2019年11月期を最終年度とする中計「NR130一次中計」において、3年後の売上

高1,200億円(CAGR6%)、営業利益90億円(CAGR6%)を目指していましたが、今期の単年度

予算はこの中計に則したものになっているほか、10月11日に開示済の3Qは明らかな超過

ペースで進捗しており、会社側も「達成見込」と言い切っているので、表記計画値について

は鉄板かとみられます。既述のとおり、本業の衣料繊維事業は販売・原価両面で苦戦気味

であるものの、産業機材事業におけるFA機器の活況や、加古川・市川の2大商業施設の改

装投資とその効果発現が想定超となっているため、来期からスタートする二次中計に向け

て順調な足場固めが進んでいることが確認出来ます。

 

当社は昨年8月に毛織物染色大手であるソトー(3571)の株式95万株を買い集めしており、

発行済株式の8.4%を握り、筆頭株主(9.2%)であるダイドーリミテッド(3205)に次ぐ2位株主

へと躍り出ています。ソトーとは元より協業関係にあるほか、筆頭株主であるダイドーリミ

テッドはリストラ中であるため、同社がソトー株の売却に動く可能性があり、不動産分野を

含めてシナジーの大きい当社は同社の受け皿になることが期待されます。また、こういった

“妄想ベース”の業容拡大案件以外でも、本年4月には医療系消耗品の開発・販売を行う

京都医療設計の株式を8割取得して連結子会社に収めています。同社は売上高65億円・

経常利益1.2億円を稼ぐサイズの中堅企業であるため、今後はメディカル事業を当社事業

ポートフォリオのセグメントのひとつとして育成していくとみられ、次期中計においてどのよ

うな成長ストーリーを示してくるかどうかが、来期以降の見所になろうかと思います。

 

なお、株主還元に関しては配当性向30%(ROE7%)を基準としているものの、2円増配となる

24円配当を予想しています。ただ当社は実質無借金であるとともに、200億円を超える膨

大な投資有価証券を保有しており、財務も盤石であることから、今期予算及び一次中計の

数値達成をもって、「26円+α円」まで配当を積み増してくるもの予想しています。

 

*参考記事① 2019-03-14 930円 OP

3年中計の達成見込を公表、更なる配当積み増しに期待・日本毛織(3201)。

 

*参考記事② 2018-10-30   852円 NT

染色大手・ソトー株式を買い集めへ、日本毛織(3201)。

 

 

会社四季報 2019年4集秋号 [雑誌]

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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