【3201】日本毛織/フジコー株式の3割超を取得、相次ぐ買収で業容拡大意欲は強い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3201】日本毛織 (東証1部) OP

現在値 1,022円/100株 PER16.8 PBR0.81 5月配当優待 11月配当優待

羊毛紡織の有力会社だが、利益柱は商業施設賃貸。介護・売電も展開。
配当は5月末・11月末の年2回・合計26円配当のため、配当利回りは2.54%となります。

ニッケは株主優待制度を導入しており、5月末・11月末に単元株を保有する株主に対し、500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.52%となります。

業績を確認していきます。 
■2017年11月期 売上高 1,034億円、営業利益 83億円、EPS 71.5円

■2018年11月期 売上高 1,105億円、営業利益 83億円、EPS 72.2円

■2019年11月期 売上高 1,264億円、営業利益 104億円、EPS 89.7円

■2020年11月期 売上高 1,030億円、営業利益 73億円、EPS 60.5円 ce修正
□2020年5月2Q 売上高 524億円、営業利益 42億円、EPS 38.2円 

□2020年8月3Q 売上高 764億円、営業利益 66億円、EPS 56.8円 (10/9)
 

2020年5月中間期の売上高は前年同期比10.9%減の524億円、営業利益は同1.6%減の42億円となり、期初予想との比較は無いものの減収減益となりました。衣料繊維事業に関しては、学生服において値上前仮需が見られたものの、企業向け制服や売糸は新型肺炎によるアパレル市場停滞で低調に推移しました。また産業機材事業についても同様に、新型肺炎の影響で車載向け電装品のFA装置や不織布が低調に推移しました。一方、利益柱の不動産関連事業については、旗艦の「コルトンプラザ(市川)」と「パークタウン(加古川)」のほぼ全館休業が響いてトップライン自体こそ大幅減収となったものの、建設分野の受注好調や、介護分野・保育分野の利用者数の好伸で巻き返し、主に利益面において全社業績をほぼ横ばい圏まで手厚く下支えしました。


なお2020年11月期の通期予算については、中間時点で減額しており、売上高が前期比18.5%減の1,030億円(従予:1,100億円)、営業利益は30.3%減の73億円(従予:87億円)に修正しています。各事業とも新型肺炎の影響の織り込みをしており、衣料繊維事業は各種制服の需要減、産業機材事業については自動車市場低調によるFA装置の大幅減と釣り具・スポーツ用品の需要減、不動産関連事業は市川と加古川の休館と付帯スポーツ施設の減収等を見込んでいます。それでも去る10月9日に開示された3Qによれば、売上高は前年同期比15.4%減の764億円、営業利益は同12.4%減の66.2億円で進捗しているような状況であるため、期初予算の奪回までは難しくとも、修正予算との比較では十分に超過達成が視野に入るような状況です。


当社は2019年11月期を最終年度とする一次中計の3年間で売上高を1,200億円(CAGR6%)、営業利益を90億円(CAGR6%)まで引き上げることに成功していますが、今期については新型肺炎のあるなしに関係なく、そもそも中計検証のためのインターバルとして位置付けられていたため、中計対象外の“踊り場期間”となっています。現状大きな方針転換は予定されていないものの、新たな注力分野として、衣料繊維事業における中国での学生服市場や高性能フィルター販売の拡大や、不動産関連事業における市川・加古川での複合街づくりによる付帯事業(キッズランドやスポーツスクール等)の拡大、EC強化等が新たに挙げています。

 

また、MAによる拡大策も引き続き積極化しており、毛織物染色大手ソトー(3571)の株式買い集め(8.3%)を皮切りに、昨年4月には医療系消耗品の開発・販売の京都医療設計(年商65億円、経常利益1.2億円)の持分を80%取得したほか、本年2月には福井の合成繊維製品販売会社の第一織物(年商22億円、経常利益2.2億円)の70%持分取得を実施しています。またこの5月には不織布大手のフジコー(3515、年商85億円、経常損失▲1.2億円)との資本業務提携を公表しており、同社の30%持分を取得したほか、本提携のタイミングで社長も送り込んでいるため、同社の赤字体質脱却に向け更にもう一段踏み込んだ資本政策(当社子会社との合併等)も十分発生しうるものと推察されます。

 

なお、株主還元に関しては配当性向30%(ROE7%)を基準としており、今期は据置の年26円配当を予想しています。ただ当社は実質無借金であるとともに、200億円を超える膨大な投資有価証券を保有しており、財務も盤石であることから、引き続き増配基調の継続とスポットの自社株買いに期待していきたいと思います。

 

*参考記事① 2020-04-02  931円 OP

【3201】日本毛織/本業順調だが、MAや株式取得による“インオーガニック”成長期待も強い。

 

*参考記事② 2019-10-16 1,077円 OP

一次中計は超過確実圏、興味は次期中計へシフト・日本毛織(3201)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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