【6904】原田工業(東証プライム) NT
現在値 778円/100株 P/E 241.6 P/B 1.49 3月配当株主優待
自動車用アンテナで国内首位。日本アンテナの事業部門譲受で国内外拠点を拡充。
配当金(実績)は3月末一括の7.5円配当のため、配当利回りは約0.96%となります。
原田工業は株主優待制度を実施しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、3,000円分のクオカードを進呈しているため、配当優待利回りは約4.82%となります。また長期優遇制度を導入しており、単元株を1年以上保有する場合には、クオカードの進呈額が4,000円になりますので、その場合の配当優待利回りは約6.10%となります。
業績を確認していきます。
■2020年3月期 売上高 411億円、営業利益 6.8億円 EPS 9.2円
■2021年3月期 売上高 347億円、営業利益▲10.8億円 EPS▲59.4円
■2022年3月期 売上高 358億円、営業利益▲11.6億円 EPS▲50.8円
■2023年3月期 売上高 400億円、営業利益 2.0億円 EPS 3.2円 ce
□2022年6月1Q 売上高 96.1億円、営業利益▲1.4億円 EPS▲2.0円(8/12)
□2022年9月2Q 売上高 190億円、営業利益▲3.5億円 EPS▲13.7円 ce
2022年3月期の売上高はYoY+3.2%の358億円、営業利益はYoY▲0.8億円の▲11.6億円となり、V字回復を見込んでいた予算比で大幅な未達となりました。売上高については、国内を除く北中米・アジア市場で自動車生産台数に回復の兆しがみられたほか、為替効果によるカサ上げ(14億円程)も寄与しました。他方、利益面については新型肺炎禍によるサプライチェーン混乱で航空機等輸送費や材料費原価が著しく高騰したため、トップライン増収の一方で赤字幅は拡大する格好となりました。
進行期である2023年3月期の予算は、売上高がYoY+11.7%の400億円、営業利益はYoY+13.6億円の2.0億円と黒字転換を予想しています。期初の受注残高はYoY+3.0%の30.1億円となっており、国内は依然低調となっているものの、アジア・北中米・欧州市場については軒並み受注が増加しています。なお、8月12日に開示された1Q決算については、売上高96.1億円&営業利益▲1.4億円で進捗しているものの、中間赤字予想なことから計画線とみられます。
今期は4年中計「NEW GROWTH」の最終年度であり、ROE10%以上を安定達成することを目標に掲げています。売上高や利益の計数目標は特段示されておらず、業績拡大よりも定性的な取組事項が中心となり、①5G及び自動運転分野強化、②R&D強化、③コスト削減等の組織強化、の3軸を挙げています。2019年末のベトナム第3工場竣工により、生産能力が従来比6割増になっているため、あとは自動車生産台数の回復と稼働率上昇を待つ格好となるものの、先に銅価格や油価上昇といった原価増影響が先行しているため、ROE10%どころか均衡圏の推移を強いられています。
①5G及び自動運転分野強化と②R&D強化については、特に“コネクティッドカー”と呼ばれる他技術と密接する車に関する商材拡充を進めており、主力の自動車アンテナについてはADAS(次世代運転者支援技術)関連製品の開発強化や、マルチGNSS(全球測位衛星システム、GPSらの総称)やWi-Fiやbluetooth対応可能商品拡充を推進しています。本年2月にはソニーNC社の低電力広域無線技術を用いた“ELTRES IoT”の車載向けフィルム型アンテナを開発・リリースしており、カーシェアリング等分野での拡販が期待されます。
財務面については、165億円ほどの有利子負債を抱えている一方、手許に40億円弱の現金を抱えており、自己資本比率も31.2%と一定水準を維持しています。注目の株主数は、株主優待導入前の2017年3月末の1,428名から、年次で【11,131名→27,707名→28,971名→34,351名→36,383名】と漸増推移となっています。会社側の株主優待の負担額はおよそ1.5億円超と推察されるものの、現金配当の水準もそれほど高くないため、制度の見直しがある場合でもまずは長期保有制限といった形が想定されます。
*参考記事① 2021-07-21 911円 NT
【6904】原田工業/世界的な自動車生産台数回復で、受注高は水準。V字回復狙う。
*参考記事② 2020-08-13 877円 OP
【6904】原田工業/1Qでの通期予算開示を見送り、不透明感は強い状況。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。