【5020】ENEOSホールディングス/製油所稼働率が復元、1,000億円の自社株買いも想定超。 | なちゅの市川綜合研究所

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【5020】ENEOSホールディングス(東証プライム) OP

現在値 523.6円/100株  P/E 9.84  P/B 0.54  3月配当 9月配当 株主優待なし

 

17年4月に東燃ゼネラル石油と経営統合、国内シェア5割の石油元売り首位。

 

今期予想配当金は年2回・合計22円のため、配当利回りは約4.20%となります。
ENEOSホールディングスは株主優待制度を導入しておりません。

業績を確認していきます。

■2020年3月期 売上高 10兆117億円、営業利益▲1,113億円 EPS ▲57.9円 

■2021年3月期 売上高 7兆6,658億円、営業利益 2,541億円 EPS 35.5円 

■2022年3月期 売上高 10兆9,217億円、営業利益 7,895億円 EPS 167.2円 

■2023年3月期 売上高 12兆8,000億円、営業利益 3,400億円 EPS 53.8円 ce 

□2022年6月1Q 売上高 3兆5,551億円、営業利益 3,253億円 EPS 69.3円

□2022年9月2Q 売上高 5兆7,200億円、営業利益 1,400億円 EPS 26.7円 四e

 

2022年3月期の売上高はYoY+42.6%の10兆9,217億円、実質利益(注:表記営業利益から在庫影響を除したもの)はYoY+92.8%の4,156億円となり、中間の増額見通しを更に上回って着地しました。開発事業において資源価格上昇が追い風となったほか、機能材料・薄膜材料の増販と銅価格に支えられた金属事業が好調に推移しました。他方、柱のエネルギー事業については、前提油価は期初60.0$/Bに対して実績78.0$となり、製油所トラブルによる稼働率減少や電力調達コストの上昇で国内精製マージンが悪化したものの、正のタイムラグ要因で実質微増益を確保しました。

 

2023年3月期の通期予算については、売上高がYoY+17.2%の12兆8,000億円、営業利益はYoY▲56.7%の3,400億円、在庫影響を除く実質利益3,400億円を見込んでいます。前提諸元をドバイ油価78.0$→90.0$/B、銅価格は440¢→420¢/lbとするものの、エネルギー事業ではガソリン等の白油・輸出タイムラグ解消により減益を見込むほか、開発事業についても売却した英国上流事業の剥落で減益想定となります。なお、8月12日に開示済の1Qについては、営業利益YoY2倍の3,253億円&実質利益1,172億円で進捗しており、足許MtoMを考慮しても上振れ圏にあるものと解されます。

 

当社はこの2023年3月期を最終年度とする中計(*減額修正後)において、対象3年間の実質利益目標を累計7,600億円とするほか、ROE7%を目指すこととしています。然しながら、油価や資源価格高騰といった“追い風”下の経営環境の中で、終わった2年間で6,300億円を積み上げたほか、この1Qでも1,000億円超を叩き出しているため、当初計画の9,000億円をも超過するような勢いとなっています。相次ぐトラブルで、1Qの製油所稼働率も78%に留まったものの、地震停止した仙台製油所が再稼働を始めたため、現時点では年間の予定輸出数量を確保出来る見通しです。

 

本年4月にJSRから1,150億円で買収したエラストマー事業が早くも通期貢献を開始し、売上高1,500億円&利益100億円程がオンされる見通しです。注力中の機能素材事業において、高品位タイヤ素材であるSSBRを中心としたモビリティ分野のコア素材を入手しており、買収後の状況も1Q時点では計画通りの旨アナウンスがなされています。

 

また、年初にゴールドマンとGICより2,000億円弱で買収した再生エネ大手のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)については、総出力42万kW(開発中込82万kW)の発電量を有しているものの、IFRSのため非償却ながらも配賦前1,500億円もののれん代を抱えており、(当社も順調推移とのアナウンスがあるものの、)買収価格の妥当性については疑問符が付くところではあります。

 

当社最大の投資論点である還元方針については、中計方針で定める「(在庫影響除き)総還元性向50%」路線を堅持しており、配当も下限22円/yとしています。期初に発行済株式数の9.3%に及ぶ1,000億円もの巨額自社株買いを繰り出してきたのは想定外の好材料であり、本件取組により中計3年間の計算上の総還元性向は57%に達することから、現時点で追加的に増配まで期待するのはさすがに酷かと思われます。

 

*参考記事① 2022-03-01  445.5円

【5020】ENEOSHD/ジャパン・リニューアブル・エナジーの2,000億は“高い買い物“か。

 

*参考記事② 2021-09-02 426.1円 OP

【5020】ENEOSホールディングス/JSRのエラストマー事業を買収、油価前提保守的で増配も。

 

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