【5020】ENEOSHD/ジャパン・リニューアブル・エナジーの2,000億は“高い買い物“か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【5020】ENEOSホールディングス(東証一部) OP

現在値 445.5円/100株  P/E 5.11  P/B 0.55  3月配当 9月配当 株主優待なし

 

17年4月に東燃ゼネラル石油と経営統合、国内シェア5割の石油元売り首位。

 

今期予想配当金は年2回・合計22円のため、配当利回りは約4.94%となります。
ENEOSホールディングスは株主優待制度を導入しておりません。

業績を確認していきます。

■2018年3月期 売上高 10兆3,010億円、営業利益 4,875億円 EPS 105.9円 

■2019年3月期 売上高 11兆1,296億円、営業利益 5,370億円 EPS 95.4円 

■2020年3月期 売上高 10兆117億円、営業利益▲1,113億円 EPS ▲57.9円 

■2021年3月期 売上高 7兆6,658億円、営業利益 2,541億円 EPS 35.5円 

■2022年3月期 売上高 10兆3,000億円、営業利益 4,700億円 EPS 87.1円 ce修正

□2021年9月2Q 売上高 4兆7,314億円、営業利益 3,378億円 EPS 65.8円

□2021年12月3Q 売上高 7兆6,313億円、営業利益 5,301億円 EPS 103.3円(2・10)

 

2021年9月中間期の売上高はYoY+40.7%の4兆7,314億円、実質利益(注:表記営業利益から在庫影響を除したもの)はYoY+33.9%の1,686億円となり、予算比は無いものの対前で3割超の増収増益となりました。開発事業で資源価格上昇の恩恵を受けたほか、機能材料・薄膜材料といった電子材料の増販により金属事業が好調に推移しました。他方、柱のエネルギー事業については、前提油価は期初60.0$/Bに対し、上期実績69.0$と相場自体は高止まりしたものの、製油所トラブルによる稼働率減少や電力調達コストの上昇により国内の精製マージンが悪化して実質減益となっています。

 

2022年3月期の通期見通しについては、2Q時点で増額しており、売上高がYoY+34.5%の10兆3,000億円(期予:9兆5,000億円)、営業利益はYoY+84.9%の4,700億円(期予:2,600億円)、在庫影響を除く実質利益3,100億円(期予:2,300億円)に修正しています。足許の油価市況を踏まえて、通期油価前提を60.0$→70.0$/Bへ、金属事業の銅価格前提を期末350¢→420¢/lbへと其々引き上げる一方、JPEXの調達単価高止まりによる電力事業の苦戦や数量減を織り込みます。去る2月10日には3Qを開示しており、売上高7兆6,313億円&営業利益5,301億円で進捗していることから、上振れ確実圏とみられるものの、在庫評価要因が大きく、実質利益はさほど伸びていない点割引く必要がありそうです。

 

当社は現行中計において、2023年2月期までの向こう3年間における実質利益目標を累計9,700億円/3y&ROE10%で計画していましたが、新型肺炎禍影響を織り込んでロールしており、実質利益目標を累計7,600億円/3y&ROE7%にそれぞれ下方修正しています。下方の内訳は、一過性減益で▲5,000億円を見込む一方、コスト削減で+900億円、銅価格上昇で+1,000億円、他で+1,000億円としており、活況な金属市況とリストラで新型肺炎禍による一過性の減益幅を4割程度に抑える目論見となっています。

 

本年4月にはJSRよりエラストマー事業を1,150億円で買収する予定であり、注力中の機能素材事業において高品位タイヤ素材であるSSBRを中心としたモビリティ分野のコア素材を入手するほか、業績面においては2023年2月期から売上高で1,500億円・利益で100億円程度の連結貢献が見込まれます。

 

他方、本年1月には再生エネルギー開発大手のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)をゴールドマンとGICから1,912億円もの巨費を投じて買収しています。JREは太陽光や陸上風力、バイオマスなど総出力42万kW(開発中も含むと82万kW)の発電所を有している一方、純資産が400億円程のため、のれん代1,500億円という挑戦的な買収となりました。折しも、三菱商事が洋上風力を低単価で落札した経緯もあり、レノバをはじめとする再エネ企業のバリュエーションが大きく揺らいでいるような状況のため、買収価格の妥当性については大変疑わしく、脱炭素化に焦ってしまった当社の高値掴み案件と考えられます。

 

なお当社最大の投資論点であろう還元方針については、中計方針である「(在庫影響除き)総還元性向50%」路線を堅持しており、配当も下限22円/yとしています。今期は上述のとおり、実質利益ベースでも上振れ濃厚のため、増配については微妙ながらも、期末の自社株買い発動が期待される状況ではあります。

 

*参考記事① 2021-09-02 426.1円 OP

【5020】ENEOSホールディングス/JSRのエラストマー事業を買収、油価前提保守的で増配も。

 

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