【7127】一家ホールディングス/東京タワー式場はREIT側と再契約成就も、継続前提に重要事象。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7127】一家ホールディングス(東証プライム) NT

現在値   628円/100株 P/E  26.3  P/B 7.25 3月無配株主優待 9月株主優待

首都圏で和食居酒屋『こだわりもん一家』『屋台屋博多劇場』等を展開。
配当基準日は3月ですが、配当実績はなく、今期も無配予想となっています。

一家ホールディングスは株主優待を導入しており、3月末・9月末に単元株を保有する株主に対し、各2,500円の食事券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約7.96%となります。

業績を確認していきます。

■2020年3月期 売上高 79.9億円、経常利益 1.2億円 EPS ▲19.8円 

■2021年3月期 売上高 34.2億円、経常利益 ▲11.3億円 EPS ▲153.9円

■2022年3月期 売上高 44.2億円、経常利益 ▲7.5億円 EPS ▲28.5円

■2023年3月期 売上高 89.6億円、経常利益 2.5億円 EPS 23.9円

□2022年6月1Q 売上高 19.6億円、経常利益▲0.7億円 EPS ▲1.2円(8/12)

□2022年9月2Q 売上高 42.0億円、経常利益 1.0億円 EPS 12.0円 四e

2022年3月期の売上高はYoY+29.2%の44.2億円、経常利益はYoY+3.8億円の2.5億円となり、予算比は無いものの大幅な増収増益となりました。飲食事業の既存店売上高については、上期と4Q期間で時短営業・臨時休業を強いられたものの、通常営業に近かった3Q期間のみ平時の8割程度の戻りを確保しました。他方、2ヶ月弱の臨時休業明けで前年ハードルが低かった婚礼事業の「The Place of Tokyo」については、受注済挙式の催行が進み、売上は2.2倍まで反動増となりました。尚、出店は「にのや」「ラムちゃん」「ハンサム」の各1店、独立による店舗減が1店あったため、期末の展開店舗数は純増2店の71店となりました。

 

進行期である2023年3月期の予算については、売上高はYoY2倍の89.6億円、経常利益はYoY+10億円の2.5億円を見込んでいます。予算については、期初から既に通常営業状態に戻っていることから、飲食事業・既存店売上高婚礼事業ともに平時の9割で組んでおり、特に婚礼事業における過年度既受注分の売上顕在化が見込まれます。8月に開示済の1Qについては、売上高19.7億円&経常利益トントンと低進捗ではあるものの、婚礼シーズンと忘年会時期への業績の季節偏重が認められるため、現時点では良くも悪くも業績達成の可視性が低い状況です。

 

当社は業態ポートフォリオの組替えを推進しており、宴会対応可能な大人数席を設けた「こだわりもん一家」を、品質を維持したまま少人数・回転率重視の「にのや」に転換しているほか、大衆居酒屋の「博多劇場」については、少人数の20代女性顧客を見込める韓国屋台「ハンサム」に転換を進めています。「にのや」「ハンサム」はいずれもパーソナルスペースを意識しない“立ち飲み・丸椅子詰込み型”の坪効率重視の業態であり、脱コロナの逆張り戦略となっています。

 

婚礼事業については、式場大家であるユナイテッド・アーバン投資法人(8960)との10年定期借家契約の再契約が決定し、内外装改装・バンケット増設(4場体制)・機能性改善などのCAPEX/修繕投資を引き出しました。REIT側のテナント代替性検証と交渉の結果、14.3%も賃料負担がアップすることとなったものの、婚礼事業の廃止リスクは一旦遠のいた点は評価出来そうです。他方、一時期注力していた「Remo Cafe」といった満喫とコワーキングスペースの融合業態は業界の競合激化で案の定苦戦しているため、早期撤退が望まれます。

 

財務状況については、終わった期に17.7億円もの助成金収入があったことから、自己資本比率は12.6%に回復し、純資産も5.9億円に持ち直しています(2021年2月のマイルストーン・キャピタルを相手先とするMSワラント7.3億円は未行使)。そのため、進行期では退店ゼロながら出店10と積極路線の計画であり、それ以外にも新卒50人採用を計画していることから、綱渡りの財務状況(継続前提に重要事象)を鑑みればかなりのアグレッシブ路線と解されます。


*参考記事① 2022-02-26 524円 NT

【7127】一家ホールディングス/「にのや」の増店に期待、足許では通常営業の店舗も。

 

*参考記事② 2021-01-21 542円 NT

【9266】一家ダイニングプロジェクト/純資産は4億円台に減少、経営側の覚悟を再確認したい。 

 

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