【3397】トリドールホールディングス/内外の丸亀好調で財務面も急回復、改めて積極策に舵。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3397】トリドールホールディングス(東証プライム) NT

現在値 2,956円/100株  P/E 197.3  P/B 3.63  3月配当株主優待 9月株主優待

焼き鳥店発祥。低価格のセルフ式うどん『丸亀製麺』にシフト。
配当金(実績)は3月末一括の7.5円配当のため、配当利回りは約0.25%となります。

トリドールホールディングスは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に単元株以上を保有する株主に対して、3,000円分の自社優待食事券を年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.28%となります。なお、2単元保有かつ1年以上保有の場合は7,000円分となりますので、同利回りは約2.62%となります。

業績を確認していきます。当社はIFRS採用企業です。

■2020年3月期 売上高 1,564億円、税前利益 28.3億円 EPS 21.2円 

■2021年3月期 売上高 1,347億円、税前利益▲91.9億円 EPS▲67.7円 

■2022年3月期 売上高 1,533億円、税前利益 139.0億円 EPS 99.2円 

■2023年3月期 売上高 1,770億円、税前利益 27.0億円 EPS 8.1円 ce
□2022年6月1Q 売上高 438億円、税前利益 53.5億円 EPS 40.6円(8/12) 

□2022年9月2Q 売上高 865億円、税前利益 18.0億円 EPS 8.1円 ce 

 

2022年3月期の売上高はYoY+13.8%の1,535億円、税前利益はYoY+230億円の139億円となり、中間の修正見通し比でも大幅に上振れました。国内の丸亀(製麺)は“うどん弁当”の大ヒットのほか、TOKIOコラボ商品も好調に推移し、期初前提SSS104.3%に対して実績で111.5%を確保しました。海外事業については、新型肺炎禍で台湾が軟調だったものの、香港・中国本土で雲南ヌードルが好調に推移したほか、米国やベトナムも回復して増収増益となりました。出退店は、主力の国内丸亀が純減26店となったものの、ずんどう屋は純増11店、海外は雲南ヌードルを中心に純増18店となり、展開店舗数は純減26店の1,720店となりました。

 

2023年3月期の予算については、売上高がYoY+12.9%の1,770億円、税前利益はYoY▲80.6%の27.0億円を見込んでいます。全セグで増収を見込み、丸亀こそ改装店舗増加で微増収前提とするものの、その他セグはコナズ珈琲・ずんどう屋の好調持続と増店で増収、海外事業も同様に積極出店により増収を見込みます。利益面は助成金収入剥落(▲129億円)のほか、丸亀の改装費増加、食材水光熱上昇に更にバッファを織り込んで大幅減益予想となります。出退店は、内外合計で純増144店(期末1,864店)を見込んでおり、8月12日開示の1Qは好進捗が確認されるものの、高水準の助成金収入(25億円)が含まれています。

 

当社は中長期目標として6年後の2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円を目標に、世界5,500店体制の構築を目標に、その手前の3年間(2025年3月期)で売上高2,200億円、営業利益120億円を目指すこととしています。本中計における注力取組事項としては、①感動体験追及、②事業PF拡充、③有力パートナー探索、④グローバル連携強化の4軸を挙げています。実際は終わった期で既に営業益142億円を達成しているものの、殆どが助成金がカサ増しされた“実力外”のため、数字感的には意欲的な内容となっています。

 

①は丸亀において、“麺職人”というマイスター養成により顧客価値向上と社員定着率改善を図るほか、“うどん弁当”のプロモーション奏功で従来客層とは異なるカップル・子供連れの開拓が進んでいることから、持ち帰り専用フォーマットの開発や、広角な専用窓口を後付けすべく既存店改装を進める計画です。②は2番手業態としてコナズ珈琲が成長していることから、業態洗練化とハワイ風物販に取り組むほか、主力の丸亀にも海外向けはリブランディングによる高単価化を図ります。


③については昨年10月に香港島、九龍、新界を中心に150店程のヌードル業態を展開する子会社の譚仔國際有限公司(雲南ヌードル)を香港証取に上場させており、同社単独でも3年で50店の増店を目指していますが、当社がメジャー出資するモンスターカレーや既存業態の天ぷらまきのの海外展開については、沖縄発香港企業のEN GROUPをパートナーに迎えています。このほか、欧州丸亀はCapdesia、米州は外食特化型ファンドを展開するHargett Hunterと資本提携し、2025年までに全米160店体制を目指します。

 

財務面については、IFRS16号適用によるオペ資産オンバランス化による押し下げがあったものの、上述の雲南ヌードル上場による少数株主払込150億円や、高水準の受取助成金もあり、目下の自己資本比率は30%弱まで急回復しています。今次中長計の6年間ではMAに1,000億円を投じることとしているものの、財務良化によるバンカビリティ拡大にくわえ、株価急回復によりPO調達も視野に入ってきたため、目下急速に成長の泳ぎ幅が拡大した印象です。

 

*参考記事① 2021-09-14 OP

【3397】トリドールHD/海外ヌードル子会社が香港証取上場へ、本体の資本増強も意識される局面。

 

*参考記事② 2021-02-08 1,614円 OP

【3397】トリドールHD/上期は上振れも通期では未達含み、財務状況は余裕あり。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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