【8084】菱電商事(東証プライム) NT
現在値 1,638円/100株 P/E 6.99 P/B 0.47 3月配当 9月株主優待
三菱電機系商社で最大。FA、ビル昇降機・空調機から半導体まで幅広い。
配当は3月/9月の年2回・58円配当のため、配当利回りは約3.54%となります。
菱電商事は株主優待制度を導入しており、3月末現在の100株以上保有の株主に対して、2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.76%となります。なお、3年以上保有継続する場合は1,000円分が追加されますので、同利回りは約5.37%となります。
業績を確認をしていきます。
■2020年3月期 売上高 2,300億円 営業利益 55.5億円 EPS 177.7円
■2021年3月期 売上高 1,968億円 営業利益 34.1億円 EPS 107.7円
■2022年3月期 売上高 2,291億円 営業利益 70.6億円 EPS 229.9円
■2023年3月期 売上高 2,400億円 営業利益 71.0億円 EPS 234.3円 ce
□2022年6月1Q 売上高 600億円 営業利益 18.8億円 EPS 60.8円(7/29)
□2022年9月2Q 売上高 2,400億円 営業利益 30.0億円 EPS 98.7円 ce
2022年3月期の売上高はYoY+16.4%の2,291億円、営業利益はYoY+106.7%の70.6億円となり、対前・対予算で増収増益となりました。FAシステム事業は半導体不足の影響を受けたものの、国内企業の設備投資が持ち直したほか、期初445億円もの受注残を抱えていた構成比の大きいエレキ事業において、半導体製造装置・工作機械が活況だった産業機器市場向けが大きく伸長しました。他方、冷熱システム事業については、部品の供給不足や納品長期化で反落したほか、ICTシステム事業についても野菜工場(システム)の自社製造品への切替を実施したため、受注抑制の端境期となり減収減益となりました。
進行期である2023年3月期の予算については、売上高はYoY+4.7%の2,400億円、営業利益はYoY+0.5%の71.0億円を予想しています。FAシステム事業は、5G関連投資の伸長や半導体製造装置の好調持続が見込まれるほか、部品不足だった冷熱システム事業も換気・省熱対策の高まりで反発が見込まれます。他方、ICTシステム事業については植物工場の立ち上げにより減益、エレキ事業は国内・中国の自動車関連の回復を見込むものの、半導体の好調反動を織り込んで減益予想となります。
進行期は2025年3月期を最終年度とする5年中計の中間年度となり、最終的に売上高2,600億円(CAGR2.5%)、営業利益100億円(CAGR13%)を目指しています。注力分野として、①スマート農業、②ビデオネットワーク等ICT、③RFIDタグ等クラウド化、④クラウド型施設環境管理システム、⑤ADAS等自動車系先進分野、等を挙げています。
特に世界的食糧難の中で植物工場市場が年率20%以上成長していることから、①のスマート農業に注力しており、植物工場業界首位のファームシップ社と組んで世界初の法蓮草の量産化工場をこの5月に竣工させています。沼津に所在する同工場では露地栽培の100倍もの生産効率で完全周年栽培の実現を目指しているほか、ファームシップの持分も追加取得(取得後35%)して持分法適用に収めており、設備資材施工シェア首位である当社との協業で中長期的なシェア拡大が期待されます。
また、DX関連として②・③・④への取組がみられ、特に世界的に普及段階にある③のRFIDタグについては、自動車業界を相手先にクラウドによる部材・部品のマネジメントシステムを展開する計画です。これらの取組により、5年で営業利益100億円を目指す目論見ですが、特に進捗しているスマート農業でも量産化には時間がかかるとみられるため、現時点での中計の達成可視性はかなり低い状況と解されます。
なお財務面については、70億円程のネット現金を丸抱えしており、自己資本比率は52.9%程となっています。株主還元については、年2円の記念配当を普通配に切り替え、年58円(配当性向24.8%)の据置を予定しています。当社は中長期的な安定配当ポリシーを謳っていることから増配は見込みずらいものの、今次中計に「ROE8%(実績は6.9%)」目標を掲げているため、別途自社株買いを行うことが想定されます。
*参考記事① 2021-07-15 1,661円 OP
【8084】菱電商事/ESG傾注などテーマ性強いが、中計目標は過大。自社株買いに期待。
*参考記事② 2020-07-29 1,486円 OP
【8084】菱電商事/下期の急回復想定はやや過大な印象だが、高配当には安心感。
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