【6183】ベルシステム24HD/好採算のワクチン特需剥落も、中長期的には伊藤忠シナジーが発現。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6183】ベルシステム24ホールディングス(東証プライム) BY

現在値 1,413円/100株  P/E 11.3  P/B 1.76 2月・8月配当 株主優待なし


コールセンター(CRE)事業大手。伊藤忠が筆頭株主に。凸版印刷と資本業務提携。


配当は2月・8月の年2回・合計60円のため、配当利回りは4.25%となります。
ベルシステム24ホールディングスは株主優待制度を導入していません。

業績を確認していきます。 IFRS採用企業となります。

■2019年2月期 売上収益 1,211億円、営業利益 85.8億円、EPS 73.4円 

■2020年2月期 売上収益1,266億円、営業利益 111億円、EPS 95.3円 

■2021年2月期 売上収益 1,357億円、営業利益 117億円、EPS 98.6円  

■2022年2月期 売上収益 1,464億円、営業利益 132億円、EPS 119.6円  

■2023年2月期 売上収益 1,480億円、営業利益 140億円、EPS 125.0円 ce 
□2022年8月2Q 売上収益 740億円、営業利益 74.0億円、EPS 66.6円 四e 

2022年2月期の売上収益はYoY+7.9%の1,464億円、営業利益はYoY+12.2%の132億円となり、期初計画線を上回って2桁の増益となりました。継続業務は微増程度に留まったものの、一過性のスポット業務がYoY+57.3%と大きく伸び、その中でも好採算の新型肺炎のワクチン関連の受託がYoY+96.8%と膨らんだため、ミックス良化により利益が一段増となりました。他方、連結子会社で占い事業を展開するポッケの減損(▲5億円)を期末で計上しており、IFRSのためそのまま営業減益要因としてヒットしています。


進行期である2023年2月期の通期予算は、売上収益がYoY+1.0%の1,480億円、営業利益はYoY+5.8%の140億円を見込んでいます。継続業務はサービス、運輸・通信系(最大顧客は旧BBコールのソフトバンク)の人材採用大型案件寄与やBPO需要の増加により盛り返す一方、スポット案件についてはワクチン関連業務の縮小で反落する見通しです。他方、晴海・トリトンスクエアから神谷町トラストタワーに本社移転を済ませたことから、この移転が費用が剥落して増益寄与します。

 

当社は2020年10月に中計を公表しており、3年後の2023年2月期に売上収益を1,267億円→1,480億円(CAGR5.3%)、営業利益111億円→140億円(CAGR8.0%)に引き上げるとともに、NetD/Eを1.23倍→0.91倍へ良化、ROE14.8%水準の維持を計数目標に掲げています。この進行期が中計最終年度ということもあり、今般開示の通期予想は中計の最終到達点にほぼ完全にサヤ寄せされていますが、実態としては上振れ公算が高いものと解されます。

 

この3年間の重点取組事項は、①在宅業務増強、②DX付加価値向上、③アライアンス強化、の3点を掲げるほか、先行投資に100億円(音声基盤と周辺サービス、データ活用、在宅コンタクトセンター海外事業)を投じることとしています。①の在宅は1千席→4千席に大幅拡充させる方針であり、在宅勤務拡大により当社事業拡大の最大のネックであった人材採用が容易化するほか、センターの新設・拡張費用が抑制出来ることから、初期の環境構築費用負担があるものの、推進されれば業績面での寄与は大きくなります(足許の進捗は不明)。

 

②のDXについては、当社によるユーザーの音声データの解析とCRMデータベースを連携させ、高付加価値サービスの提供を図ります。具体的にはよくある通話品質向上目的の分析だけでなく、言語解析や感情分析といった高度分析により、シナリオチューニングやスクリプト最適化を行うことで、解約防止することなどがそれに当たります。当社は音声を言語化させたFAQ検索を搭載した音声認識システムの導入を進めており、これにより対顧客だけでなく、従業者負荷も大きく軽減することから、当社側の離職率低減も期待されます。

 

③については、親会社である伊藤忠商事(40.7%)、2位株主の凸版印刷(14.3%)との連携を増やす方針であり、特に伊藤忠については直近の売上寄与が151億円と年々増加しており、子会社で合弁会社を運営するSIerのCTCだけでなく、伊藤忠系のAI企業であるブレインパッドや、帳票処理のウイングアーク1st、戦略コンサルのシグマクシスらと組んで伊藤忠グループで推進するDX戦略の一翼を担うとみられ、当社としてはBPO関連の受注増が中長期的に期待されます。なお、この“伊藤忠シナジー”は翌中計期間移行に本格発現するとみられます。

 

株主還元については配当性向を50%目標としており、6円増配の年60円(配当性向48.0%)を予想しています。積極的な増配路線を還元ポリシーとしているほか、配当性向50%基準の厳密な適用開始により、配当は更に積み増しされ、年62~63円+となる可能性が高いものと考えています。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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