【3543】コメダホールディングス/4月からほぼ全店で値上げ、FC卸売売上は遅れて寄与。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3543】コメダホールディングス(東証プライム) OP

現在値 2,324円/100株  P/E 20.0  P/B 2.86  2月配当株主優待 8月配当株主優待

中京地区を地盤にコメダ珈琲店を全国展開。朝食サービスに特徴。約95%がFC。
配当基準日は2月・8月の年2回・合計51円配当のため、配当利回りは約2.24%となります。

コメダホールディングスは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末の単元株主に対して、年2回1,000円分のコメカチャージを進呈していますので、配当優待利回りは約3.05%となります。なお、別途議決権行使により年1回500円分のチャージもあります。

 

■2019年2月期 売上高 303億円、営業利益 75.6億円 EPS 113.4円 

■2020年2月期 売上高 312億円、営業利益 78.8億円 EPS 117.3円

■2021年2月期 売上高 288億円、営業利益 55.1億円 EPS 77.9円

■2022年2月期 売上高 333億円、営業利益 73.0億円 EPS 107.0円  

■2023年2月期 売上高 370億円、営業利益 80.0億円 EPS 116.1円 ce 

□2022年8月中 売上高 178億円、営業利益 38.5億円 EPS 56.4円 四e


2022年2月期の売上高はYoY+15.5%の333億円、営業利益はYoY+32.6%の73.0億円となり、増収増益となったものの計画線での着地となりました。「ぜいたくピスタチオ」、「大豆ハムカツバーグ」、「季節のケーキ」といった新製品好調でFC卸売が1割程増えたほか、TV等メディアへの露出増加により店内飲食・持ち帰りともに好伸し、既存店売上高(SSS)は110.5%となりました。利益面については、トップライン起因による増益のほか、前期計上の減損剥落(IFRSのため)により一段増となっています。出退店は、国内が純増42店で総店舗数は956店となり、海外が純増11店で総店舗数は29店となりました。


進行期である2023年2月期の通期予算は、売上高はYoY+11.1%の370億円、営業利益はYoY+9.5%の80.0億円を見込んでいます。珈琲豆等の原価高騰にともない、4月28日から大半のFC店で値上げに踏み切っており、珈琲1杯あたり約50円前後が既に値上げされています。プライシング以外の施策では、新製品「シロノワール和香」を投入を済ませており、上述の値上げを反映したFC卸売価格の改定は秋口頃にズレるものの、計画上のFC卸売はYoY+5.1%でセットしています。出退店については、横ばいの純増45店程度を見込んでいる模様です。


当社は2021年4月に中計を発表しており、2026年2月期までの都合5年間で、店舗数を914店→1,200店、EPSを77.8円→125.4円(CAGR10%)に其々引き上げるほか、最終年度のROIC10%、自己資本比率40%を目指すこととしています。重点戦略として①既存モデルの拡充、②新事業・MAの追求、③財務価値の維持・拡大、の3点が挙げられていますが、このうち最後の③については、表記の各指標の計数目標それ自体が戦略(?)という位置付けとなっていますが、数値感的にはさほど無理のない目標と解されます。

 

①については、出店による外部成長戦略が骨子となっており、本邦のカフェ・喫茶店のTAMは約1~1.2兆円で、市場自体は縮小傾向にあるものの、客足の減少著しいオフィス立地に比べて、当社店舗は昼間人口が増えた郊外が多く、影響を受けにくくなっています。中計計数を鑑みれば、年間出店ペースは国内40店強・海外10店強、延べ50~60店を出店していく計画とみられ、現状の出店エリアが異様なドミナント率を誇る名古屋圏などに偏っていることから、今後は高齢化の進む全国郊外立地への出店が目されます。

 

なお当社は本来的には外食業ではなく卸売業であり、店舗の95%超がFCとなっています。珈琲やパンなどの卸売り収入が利益の柱となっており、次いでロイヤリティ収入が座席1席あたりで1.5千円/月、最後に一過性のFC加盟金収入となっています。FCが1店増店するごとに、年10百万円程度の営業益貢献が見込まれます。そのため、人件費や水道光熱費といった固定費の変動影響がほぼないほか、原材料価格高騰の影響もほぼ転嫁できるため、出店すればするだけストック利益が底上げされる、安定度の高いビジネスモデルとなっています。

 

財務の状況については、期末時点の自己資本比率は38.5%となっています。当社は2008年のアドバンテッジパートナーズ、2013年のMBKパートナーズに所有権が移ったファンド案件であり、転売絡みの自己創設のれんが384億円分B/Sに横たわっています。IFRSのためのれん償却はないものの、他方でIFRS16号基準による使用権資産(リース負債)を200億円認識し、こちらは家賃見合いとして減価償却をおこなっています。そのため実力ベースのB/Sが見えにくくなっているものの、金額的にはのれん≒純資産であり、当面のれんの償却が必要になるような展開は予想しないものの、本来的には脆弱であることを留意する必要があります。

 

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