【8963】インヴィンシブル投資法人/足許RevPAR急回復も、水光熱費等の原価増が懸念点。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8963】インヴィンシブル投資法人(東証REIT) OP

現在値 42,800円/1株  P/E--.- P/NAV 0.84 6月分配優待 12月分配優待

フォートレスを主スポンサーとする総合型リート。ホテルが8割、住宅が2割。


分配金は年2回・合計244円(166円+78円)配のため分配金利回りは約0.36%となります。

 

インヴィンシブル投資法人は投資主優待制度を導入しており、6末・12末の単元投資主に対して、当法人保有ホテルと一部のパイプライン物件のホテル宿泊について、ベスト・アベイラブル・レートから10%割引で予約が出来るサイトのコードを進呈しています。

業績を確認していきます。

■2019年12月期_第33期 営業収益 185.8億円、経常利益 116.3億円 DPU 1,910円 

■2020年06月期_第34期 営業収益 94.1億円、経常利益 14.9億円 DPU 70円 

■2020年12月期_第35期 営業収益 83.4億円、経常利益 6.2億円 DPU 102円

■2021年06月期_第36期 営業収益 38.0億円、経常利益▲35.9億円 DPU 15円 
■2021年12月期_第37期 営業収益 84.0億円、経常利益 10.1億円 DPU 166円

□2022年06月期_第38期 営業収益 72.9億円、経常利益 4.8億円 DPU 78円 ce修正


2021年12月期_第37期の営業収益は第36期比120.9%の84.0億円、経常利益は同+46億円の▲10.1億円で着地し、分配金も同+151円の166円と大幅な増収増益増配となりました。新型肺炎禍・第5波の影響もあり、需要期の8~9月が低調に推移したものの、10月以降の宣言等解除からは徐々に稼働率の回復がみられました。国内ホテル75物件の稼働率は前年同期間比+4.1pptの52.4%、ADRは同▲8.5%の7,667円、RevPARは▲0.7%の4,020円となり、主要オペレーターのマイステイズ・ホテルマネジメント(MHM)から収受する賃料は歩合込再計算で通常固定分の約半分の32億円の収受となりました。なお、ケイマン2物件は諸島での集団感染もあり、家族連れの獲得に苦戦し、クリスマス繁忙期も不振に終わりました。
 

進行期である2022年6月期_第38期の見通しは5月末に開示しており、営業収益は前年同期間である第36期比+91.5%の72.9億円、経常利益は同+40.8億円の4.8億円、分配金は同+63円の78円を見込んでいます。3月下旬のまん防等全面解除により、4月の国内ホテルの稼働率は70%以上の稼働率を叩き出しており、連れてRevPARも同+84.2%と急回復しているほか、実績開示前のGWも反動増で堅調に推移したとみられます。なお、上記に見通しにはレーベスト本陣ほか住宅6物件の譲渡益14億円が含まれており、譲渡益なかりせばなお赤字見通しとなります。

 

当法人の収入の大部分を占めるMHMとのMLPM契約に関し、当初約定通りの固定賃料(49.7億円)を復元させるためには、2019年比のRevPARが6割水準に戻り、かつ、その状況が半年程度継続することが目安となっています(※MHM物件のRevPAR5割が投資法人の損分点)が、現状それには至っておらず、足許GOP実績に基づいて暫定固定賃料10億円とGOP実績超過分を歩合で収受するといった仕切りに更新されています。

 

今後の見通しとしては、「go toトラベル」が7月から復活する公算が高いことから、需要期である夏場を跨ぐ翌2022年12月期(第39期)から顕著な回復が期待されます。他方、電気・ガス代・人件費といった各種コストの増加を織り込んでいないほか、コスト削減は既に目一杯までやり切ってしまったことから、原価増吸収のためにはADR復元だけでなく、一段の上昇が必要となる点には留意が必要です。他方、ケイマン2物件は、増築計画こそ棚上げになっているものの、米国からの入国客回復によりADR自体は2019年水準を奪回しており、現状50%程の稼働率の回復を待つのみとなっています。

 

当法人のバリュエーションについては、依然として分配金利回り評価が機能していないため、0.84倍に沈んだP/NAVが下支えとなっています(競合のJHRは0.88倍)。またポートフォリオにはなお350億円を超える賃貸住宅を保有しており、推定100億円程度は残存するとみられるこの賃貸住宅の含み益の顕在化により、なんとか有配のまま凌ぎ切る公算が高そうです。なお、1月末時点の手許資金は171億円で、(短期借換ためのコスト負担が非常に大きいものの)コベナンツ等の抵触もなく、利払い等は問題なく履行できる状況にあります。

 

*参考記事① 2021-11-22 42,600円 OP

【8963】インヴィンシブル投資法人/最悪期は脱した公算が高いが、復活は年明けから。

 

*参考記事② 2021-05-19 43,700円 OP

【8963】インヴィンシブル投資法人/ワクチンとの綱引きだが、売却可能な賃貸住宅まだある。

 

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