【3197】すかいらーくHD/予算前提の既存店ハードル高く、助成金大幅減少も痛手。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3197】すかいらーくホールディングス(東証プライム)  NT

現在値   1,566円/100株  P/E 89.0  P/B 2.19  12月配当優待 6月優待

「ガスト」「ジョナサン」「バーミヤン」等のファミレスの運営。
配当基準日は6月末・12月末の年2回・計6円のため配当利回りは0.38%となります。

すかいらーくは株主優待として6月末・12月末の単元株主に対し、2,000円分のお食事券を年2回進呈しているため、優待利回りは約2.93%となります。なお、1,000株までは持株数に応じた優待券がほぼ正比例で追加されます。

業績は下記の通りです。IFRSとなります。 

■2018年12月期 売上高 3,663億円、営業利益 228億円 EPS 58.0円

■2019年12月期 売上高 3,753億円、営業利益 205億円 EPS 48.0円   

■2020年12月期 売上高 2,884億円、営業利益▲230億円 EPS▲87.2円

■2021年12月期 売上高 2,645億円、営業利益 182億円 EPS 40.7円 

■2022年12月期 売上高 3,360億円、営業利益 100億円 EPS 17.5円 ce

□2022年3月1Q 売上高 671億円、営業利益▲2.0億円 EPS▲2.0円(5/13)
□2022年6月2Q 売上高 1,490億円、営業利益 50.0億円 EPS 8.8円 四e

2021年12月期の売上高はYoY▲8.3%の2,645億円、営業利益は同黒転の182億円となり、売上高は減額見通し比で更に悪化した一方、利益は大幅に上振れました。予算前提の既存店売上高(SSS)は2019年比84%でセットしていたものの、緊急事態宣言再発出により臨時休業や時短営業、好採算の酒類提供制限などを強いられたほか、グループ・ファミリーの来店客も減少し、実績71.4%に沈みました。他方利益については、時短協力金収入が427億円と想定超に膨らんだほか、コスト削減効果も寄与し、巡行水準の営業利益(IFRS)を確保しています。

進行期である2022年12月期の予算については、売上高がYoY+27.0%の3,360億円、営業利益はYoY▲45.1%の100億円を見込んでいます。予算前提SSSは2019年比90%(店内飲食82%+持ち帰り等8%)に対し、既開示4ヶ月分の月次累計は72.6%に留まっており、早くもビハインドしています。通期計画の出店は15店&転換15店とし、ガスト・バーミヤン等の出店と、むさしの森珈琲等への転換を図ります。利益面については、インフレ原価増を78億円(水光熱費30億円・人件費20億円等)を織り込み、時短協力金50億円と未形改善43億円で一部を打ち返すものの、協力金の大幅剥落で減益が避けられません。

 

新型肺炎禍が続くこの2022年12月期についても、中計公表は見送られているものの、2025年~迄の“ロードマップ”が示されています。①第Ⅰ期:2020~2021年を既存店強化徹底期間、②第Ⅱ期:2022~2025年を通販・外販強化と海外本格出店期間、③第Ⅲ期:2025年~をMA活用による外部成長と中食・内食の取り込み強化期間、としてそれぞれ位置付けています。各フェーズ毎に業績の数値目標は無く、これらはあくまでも補足資料的な位置付けに留まっています。

 

新型肺炎禍での取り組みとしては、各種DXによるコスト削減策のほか、投資額が3分の1で面積も10分の1で出店可能な都心の小型デリバリー業態(ガスト)を開発したほか、この小型店を従来型既存店の穴を埋める形で出店し、自社スクーターの共有&共同配送により生産性向上を図っています。また、利用者が1,500万人を突破したアプリによる業態間相互送客の強化のほか、POS連動による顧客精緻化、宅配・テイクアウトのオーダー機能実装等により上顧客化を推進します。これ以外にはネコ型の配膳ロボットを年末までに2,149店舗(3,000台)の導入を目指すなど、人件費増加への取り組みも併行して推進します。

 

他方、財務面においては昨年144A海外募集で公募増資を実施しており、実に426億円もの巨額調達を実施しています。本件取組により、自己資本比率を25.8%→34.5%に急改善させることに成功しており、それ以降の想定超の助成金受取もあって、足許では36.9%まで回復しています。また、財務制限条項を外すことにも成功していることから、終わった期から配当性向30%基準により年12円を復配しており、現状の配当予想も年6円を予想しています。

 

*参考記事① 2021-11-10 1,553円 NT

【3197】すかいらーくHD/海外公募増資で426億円を調達、投資再開の体制が整う。

 

*参考記事② 2021-04-15  1,694円 NT

【3197】すかいらーくHD/財務制限条項に抵触、巨額なのれん減損のリスクに留意したい。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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