【5070】ドラフト/中長期的な成長可能性は、代表・山下泰樹氏の個人ブランディング次第か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【5070】ドラフト(東証グロース)  NT

現在値  660円/100株  P/E 11.0  P/B 2.21  12月配当 株主優待あり 

オフィスや商業施設、都市開発などの空間設計・施工の大手。従業員の6割がデザイナー。
配当は12月末の一括で年5円配のため、配当利回りは0.76%となります。

ドラフトは株主優待として12月末の単元株主に対し、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、優待利回りは約2.27%となります。

業績は下記の通りです。

■2019年12月期 売上高 46.9億円、営業利益 3.8億円 EPS 34.8円

■2020年03月期 売上高 60.4億円、営業利益 4.7億円 EPS 39.4円   

■2020年12月期 売上高 43.4億円、営業利益 3.8億円 EPS 26.6円 9m変則

■2021年12月期 売上高 80.3億円、営業利益 9.5億円 EPS 62.0円 
■2022年12月期 売上高 100億円、営業利益 9.6億円 EPS 59.7円 ce

□2022年6月2Q 売上高 45.0億円、営業利益 2.7億円 EPS 16.9円 ce

2021年12月期は変則決算明けのため参考比較となるものの、売上高はYoY+12.9%の80.3億円、営業利益はYoY+19.4%の9.5億円となり、対予算で売上未達となったものの、利益は大幅過達となりました。引渡案件はサンフロンティア不動産の次世代型オフィス「+SHIFT NOGIZAKA」の一棟デザイン/PM/CMや、エクシア合同会社(六本木)、PayPayカード(福岡)などとなり、案件の大型化・特命化により想定超の利幅を確保しました。他方、大型化による負の影響で期ズレも発生し、トップラインが未達となっています。

2022年12月期の通期見通しについては、売上高がYoY+24.5%の100億円、営業利益はYoY+0.5%の9.6億円を見込んでいます。期初のプロジェクトストックは、期ズレ案件の算入もありYoY+17.7%の53億円を確保していますが、受注残ではなく見込み込みの数字であり、足許の強いモメンタムが通期で持続することを前提に組まれているため、やや強めの予算となります。案件としては京王電鉄による下北沢駅再開発事業「MIKAN」等の計上が見込まれます。利益率の伸びが悪いのは、終わった期の大型好採算案件の剥落や、その反動による案件小型化によるミックスの悪化、渋谷のショールーム旗艦店“DAFT about DRAFT”の開業費用などが嵩むことに由ります。

 

当社は2020年3月に東証マザーズ市場に上場し、年限の定めのない中期経営計画では売上高300億円を目標としていますが、直近5年の売上高CAGR16.6%が維持されると仮定すれば、達成時期はFY2030頃となる見通しです。会社想定のインテリアデザインサービスのTAMは、世界で12兆円(市場CAGR4%)・日本で8,500億円と捉えており、日本市場も海外に連れて成長する見立てをベースに、当社はデザイン的優位性から市場水準を超える売上高成長を目論んでいます。

 

取組事項としては、①通常受注②提案受注③先駆的受注の3タイプに受注様式を区別し、②の提案受注については、三井不動産開発の産学共同拠点「柏の葉スマートシティ/KOIL TERRACE」のような社会的に影響力のあるプロジェクトに、能動的な提案受注を進めます。③の先駆的受注については採算性を二の次とし、中部電力らが進める防災都市構想である「幸田市スーパーシティ/The Well City幸田」にデザイン代表企業として参画しています。会社側の青写真としては、採算性が期待薄の②や③によりプレゼンスの向上を図り、①の通常案件への広告効果で利幅を稼ぐ方針とみられ、文字通り“会社の顔”である代表の山下泰樹氏個人のブランディングに一層注力しています。

 

他方、財務面についてはIPO時に21億円(@790円)を調達したほか、昨年12月にもPOで5億円(@708円)を追加調達しているため、目下の自己資本比率は51.4%となっています。僅か5億円の調達のためにわざわざPOを採ったのは資本コストがかなり割高な印象ですが、このうち大半を臨港パークの建築工事費に充てる予定となっています。また、足許では目黒の共同住宅(簿価7.7億円)を固定資産から販売用へ“棚振り”するといった別の動きもしており、今後は自社ブックによる建物開発→販売、で利幅の拡大を企図している可能性が考えられます。

 

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