【3966】ユーザベース(東証プライム) OP
現在値 808円/100株 P/E --.- P/B 4.57 12月配当(無配) 株主優待あり
ビジネスデータのSPEEDAやニュースのNewsPicks運営、動画経由の加入強化中。
配当基準日は12月末ですが、配当実績はなく今期も無配予想となっています。
ユーザベースは株主優待制度を導入しており、NewsPicksプレミアムプラン3カ月無料購読ギフトカードを1枚進呈していますので、配当優待利回りは約6.31%となります。
業績を確認します。なお、企業会計基準第29条による新収益基準を適用しています。
■2018年12月期 売上高 93億円、営業利益 8.3億円 EPS 20.4円
■2019年12月期 売上高 125億円、営業利益▲12.3億円 EPS▲51.4円
■2020年12月期 売上高 138億円、営業利益 1.0億円 EPS▲186.6円
■2021年12月期 売上高 160億円、営業利益 14.6億円 EPS 16.1円
■2022年12月期 売上高 197億円、営業利益 6.5億円 EPS --.-円 ce新収益
□2022年6月中 売上高 90億円、営業利益 4.0億円 EPS 6.8円 四e
2021年12月期の売上高はYoY+16.3%の160億円、営業利益はYoY14倍の14.6億円となり、EBITDAはYoY+107.5%の19.0億円となり、期初予算をやや上回って着地しました。SaaS事業全体のARRは同+29%の98.2億円と約3割成長を維持し、主力のSPPEDAが同+21%の67.0億円と順調に伸びたほか、注力中のFORCAS同+42%、AlphaDrive/NewsPicks(以下AD/NP)同+87%と好伸しました。他方、NewsPicks(以下NP)事業については、新型肺炎禍の巣ごもり一服で課金売上が一服となり、事業ARRは同+3%に留まったほか、広告出稿も減少により微減益となっています。
進行期である2022年9月期の予算については、売上高YoY+23.1%の160.0億円、営業利益YoY▲55.4%の6.5億円、EBITDA/YoY▲34.3%の12.5億円と減益を予想していますが、新収益基準移行及びオンサイトの銀座事業撤退による剥落影響を考慮した実力ベースの売上高成長はYoY+26%~30%と試算されるため、業績モメンタムは維持される想定です。SaaS事業は順調増の見込まれるSPEEDAにくわえ、注力中のFORCASとAD/NPも高いARR成長が見込まますが、NP事業については伸びが緩くなるとみられます。利益面については、積極的な人材採用と広告費投入によるARR拡大を企図することから、先行投資きつく大幅減益見通しとなります。
当社は長期経営戦略として、2025年12月期までの向こう4年間で売上高を159億円→450億円(CAGR30%)、EBITDAマージンを11.6%→15%までそれぞれ引き上げる計画としており、従前来から目標としてきた年30%成長の継続を目標としています。具体的には複数プロダクトを展開するSaaS事業のIDをNPと統一化し、知名度の高いNP事業との相互総客を高めていくとともに、営業効率を向上させるのが狙いとなります。
SaaS事業単体では、ARR2割成長を続けつつも、NRR伸長と1.0%という低位解約率を維持する堅調なSPEEDAについては、SPEEDA Expert Researchというビザスク競合事業を強化する方針であり、昨年12月には東アジアを中心にエキスパートマッチング(会員5万人)を展開するArchesと資本業務提携を実施しています。NP事業については、SaaS事業を含めたグループ全体の集客の柱となることから、この4年で認知度を2倍の80%まで引き上げる目標とし、広告費用を積み増す方針です。そのため、この2022年12月期が目先の業績の底となる公算ですが、一過性広告費だけでなくエンジニア採用も積極化させるため、それを原資に年率3割を上限とする高いARR成長を維持できるのかが、四半期毎の注目点となりそうです。
なお財務面については、2019年にTBS相手に20億円、2020年に三菱地所相手に10億円を第三者割当増資で調達したほか、海外POで50億円(@1,991円、ディスカウント率は9%)を調達したものの、90億円超を投じて買収した米Quartz事業が大失敗となり、のれんの全部減損・撤退を強いられたことから、これらの資金調達分はまるまる無くなってしまったこととなります。それでも目下の自己資本比率は32%を維持しており、60億円のネットキャッシュ状態ではあるものの、累損が莫大のため無配が継続する見通しです。
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