【8960】ユナイテッド・アーバン投資法人(東証REIT) OP
現在値 139,600円/1株 P/E 25.2 P/NAV0.88 5月分配 11月分配
丸紅をスポンサーとする総合型。2010にNCIを吸収合併、用途・地域分散を強調。
予想分配金は年2回の合計6,200円配で、分配金利回りは約4.44%となります。
業績を確認していきます。
■2020年05月期_第33期 営業収益 235億円、経常利益 96.3億円 DPU 3,470円
■2020年11月期_第34期 営業収益 239億円、経常利益 96.5億円 DPU 3,119円
■2021年05月期_第35期 営業収益 242億円、経常利益 98.4億円 DPU 3,182円
■2021年11月期_第36期 営業収益 228億円、経常利益 73.2億円 DPU 3,100円
□2022年05月期_第37期 営業収益 230億円、経常利益 86.1億円 DPU 3,100円ce修正
□2022年11月期_第38期 営業収益 233億円、経常利益 86.2億円 DPU 3,100円ce
2021年11月期_第36期については、営業収益は第35期比5.8%減の228億円、経常利益は同25.6%減の73.2億円で落着し、対計画でも大幅減益となったものの、DPUは予想同額の3,100円を維持しました。本年6月取得のLEVENおおたかの森、加須物流Ⅰ・Ⅱがほぼフル寄与、期中取得の神戸西神物流センターが一部寄与しました。他方、日立ハイテクビルの売却益剥落影響も大きく、計画外でKDDI府中ビルの減損▲11.4億円を計上したため、新型肺炎禍の減収バッファ▲19.5億円があったものの、全く足りませんでした。そのため、内部留保取崩を第35期比で22.6億円増やして分配金を維持しています。
進行中の2022年5月期_第37期の見通しも修正しており、営業収益が第36期比0.9%増の230億円(従予:226億円)、経常利益は同17.5%増の86.1億円(従予:83.6億円)、DPUは同横ばいの3,100円を予想しています。新大阪や新横浜の大口テナント解約影響もあり、オフィスの期末想定稼働率は95.3%まで落ち込むほか、新型肺炎禍の減収バッファを依然▲16.4億円見込むものの、減損剥落の戻りが大きく増益予想となります。他方、KDDI府中ビルの一部譲渡、六番町Kビルの譲渡、飯田橋プラーノの期中取得が計画に織り込まれていないため、上振れとなる公算が高そうです。なお、増益にはなるものの、内部留保取崩額を第36期比で12.8億円減額し、分配金を横ばいにまで調整します。
今回公表の2022年11月期_第38期の予想については、営業収益が第37期比1.5%増の233億円、経常利益は同0.2%増の86.2億円、DPUは同横ばいの3,100円を予想しています。オフィスの埋め戻しが進捗し、同稼働率が95.3%→97.4%に戻る想定ではあるものの、ホテル等で減収バッファを▲11.4億円見込むため、ポート全体では概ね横ばい想定となります。他方、第37期の期中取得物件のフル寄与効果のほか、6月にあすと長町デンタルクリニックを売却(譲渡益4.5億円)については予想未織込の上乗せ要素となります。
当法人の投資論点は日本コマーシャル投資法人を吸収合併した際に生じた内部留保(101億円)の活用にあり、2022年11月期_第38期迄は機動的な内部留保の吐き出しにより3,100円を下限分配金とするほか、運用上振れ時は+αで増配する方針です。期あたり▲10~20億円の吐き出しで内部留保は減少しているものの、併せてハイピッチで物件売却も進めており、含み益顕在化との合わせ技(売却益が多額の場合は内部留保を温存出来る)で、出来上がりの分配金を仕上げているような状況です。
目下の実力ベースであるEPUは2,800円弱とみられるため、内部留保吐き出し無しでEPU3,100円を達成(EPU=DPU)となるのは、早くても翌々期の第39期になるとみられます。当法人の特徴のひとつでもあったホテルのエクスポージャーが減少しているため、新型肺炎禍の沈静化後も戻りが鈍い点がネックですが、EPU3,100円の達成がNAVPARの奪回とひいてはPOに繋がるため、まずは苦戦中のオフィスのリースアップに期待したいところです。
*参考記事① 2021-10-19 142,100円 OP
【8960】ユナイテッド・アーバン投資法人/物件入替進むが、当面は厚い内部留保が頼り。
*参考記事② 2021-03-27 148,900円 OP
【8960】ユナイテッド・アーバン投資法人/下限分配金3,100円の設定で安心感が醸成。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。