【1419】タマホーム/戸建選好根強く早々に通期増額だが、中計目標はハードルが高い印象。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1419】タマホーム(東証一部) NT

現在値 2,457円/100株  P/E 9.5 P/B 2.68   5月配当・株主優待 11月優待

注文住宅会社。ロードサイド型独立店を積極展開し大々的な広告で集客。
配当金は5月末の年1回115円のため、配当利回りは約4.68%となります。

タマホームは株主優待制度を実施しており、5月末・11月末に単元株以上を保有する株主に対して500円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.88%となります。また、3年以上保有を継続する株主に対しては、長期優遇制度によりクオカード進呈額が倍の1,000円となりますので、この場合の配当優待利回りは約5.08%となります。

業績を確認していきます。  

■2018年5月期 売上高 1,679億円、営業利益 46.5億円 EPS 68.1円  

■2019年5月期 売上高 1,868億円、営業利益 73.6億円 EPS 130.8円  

■2020年5月期 売上高 2,092億円、営業利益 98.7億円 EPS 172.7円  

■2021年5月期 売上高 2,180億円、営業利益 109.9億円 EPS 243.3円 

■2022年5月期 売上高 2,350億円、営業利益 120.0億円 EPS 258.9円 ce修正 
□2021年11月中 売上高 1,151億円、営業利益 60.1億円 EPS 139.5円(1/11)

2021年11月中間期の売上高はYoY+16.7%の1,151億円、営業利益はYoY+42.0%の60.1億円となり、予算比は無いものの2桁の増収増益で進捗しました。上期は出店ゼロのため既存244拠点の営業体制となったものの、期初の受注残高をYoY+17.7%の1,395億円と豊富に抱えていたほか、リモートワーク需要による戸建選好の動きは根強く、上期6ヵ月の期中受注も108%と高水準を確保しました。なお引渡棟数については、注文住宅・戸建分譲ともに上伸し、合計5,207棟と上場来最高を更新しています。


なお2022年5月期見通しは中間時点で増額しており、売上高がYoY+7.8%の2,350億円(従予:2,250億円)、営業利益は9.1%増の120.0億円(従予:113.0億円)に修正しています。上期に戸建(注文・建売)の受注が積み上がっているほか、マンション分譲も3棟のうち1棟が完売、2棟も契約好調となっており、トップライン段階から上振れる公算です。原価面についても、木材価格の高騰による合板価格影響や、住設機器の納品遅れによる追加コスト等はコントロール可能圏で推移しているため、マージンについても若干改善します。なお、開示済の2月分(9ヵ月累計)迄の月次によれば、107%で推移しており、概ね修正計画線とみられます。

 

今期は5年中計の初年度となっており、最終年度の2026年5月期に売上高を2,180億円→3,200億(CAGR8%)、営業利益109億円→200億円(CAGR13%)まで引き上げる計画です。「新築住宅着工棟数No.1」を目標に掲げ、主要4セグメントのオーガニックな底上げにより成長を図る目論見です。業容的なウイングを広げるというよりは、持ち前の圧倒的なスケールメリットを活かし、昨今の木材高騰への対応や住設機器メーカーとの価格交渉力を活かしたコストダウンにより、価格競争力による優位性の確保とシェア増を目指す方針ですが、中計に掲げる業績目標感はかなり意欲的な計数のため、達成の可能性は現時点では不透明です。

 

重点取組として、注文住宅については各都道府県新築棟数No.1を目指し、主力商品の廉価な規格型住宅から、ハイエンド商品まで拡充することで受注拡大を図る目論見です。当社顧客層にはZEH商品があまり響いていないことから、「大地の家」という高耐震・高断熱商品の方に注力し、政府補助金対象住戸の要件確保を図ります。他方、東京都など一部の自治体においては、太陽光設置の義務化なども観測されていることから、パネルの仕入優位性等も活かします。また、リフォーム事業については、過去顧客累計数の伸びに弾みがついているほか、築10年超の住戸も増えてきたことから、積極的に保証期間延長工事の獲得を狙う方針です。


株主還元については、ここ数年の好業績を背景に劇的に増配【10→15→30→53→60→70→100円】してきた経緯があり、今期は早くも期初予想から5円上積みして、15円増配となる年115円配当を予想しています。計算上の配当性向は44.5%と結構な水準にはなりますが、戸建中心の事業であれば資金需要もないとみられるので、当面は高水準の配当が維持されるものと考えています。

 

*参考記事① 2021-10-11 2,497円 NT

【1419】タマホーム/文春ニュースフロー直撃も、豊富な受注残で“逃げ切り”か。

 

*参考記事② 2021-04-02  2,194円 NT

【1419】タマホーム/減配予想から一転して連続増配へ、受注の積上げも順調。

 

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