【1419】タマホーム/減配予想から一転して連続増配へ、受注の積上げも順調。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1419】タマホーム(東証一部) NT

現在値 2,194円/100株  P/E12.4  P/B2.91  5月配当株主優待 11月配当優待

注文住宅会社。ロードサイド型独立店を積極展開し大々的な広告で集客。
配当金は5月末・11月末の年2回、合計75円のため、配当利回りは約3.42%となります。

タマホームは株主優待制度を実施しており、5月末・11月末に単元株以上を保有する株主に対して500円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.87%となります。また、3年以上保有を継続する株主に対しては、長期優遇制度によりクオカード進呈額が倍の1,000円となりますので、この場合の配当優待利回りは約4.32%となります。

業績を確認していきます。 
■2017年5月期 売上高 1,570億円、営業利益 39.0億円 EPS 30.0円  

■2018年5月期 売上高 1,679億円、営業利益 46.5億円 EPS 68.1円  

■2019年5月期 売上高 1,868億円、営業利益 73.6億円 EPS 130.8円  

■2020年5月期 売上高 2,092億円、営業利益 98.7億円 EPS 172.7円  

■2021年5月期 売上高 2,100億円、営業利益 90.0億円 EPS 176.5円 ce修正 
□2020年11月2Q売上高  986億円、営業利益 42.3億円 EPS 106.8円 

2020年11月期の売上高は前年同期比0.6%減の986億円、営業利益は同3.0%増の42.7億円となり、期初予算との比較は無いものの、想定超の水準で着地したとみられます。新型肺炎の影響もあり、期初時点の受注残高は6.4%減の1,187億円と低調だったため、住宅事業における注文住宅の引渡しはやや低調だったものの、リモートワーク需要もあり戸建分譲が同50.7%増と大増勢となったほか、上期6ヵ月間の受注高は同18.7%増と過去最高水準をマークしています。それでも微減収・微増益に留まったのは、前年同期に穴守稲荷のタマディアホテルを京浜急行電鉄に売却し、その売却益でおよそ十数億円の営業利益を確保したことが大きく寄与しています。


2021年5月期通期の見通しについては、本中間時点で蔵王額しており、売上高が前期比0.4%増の2,100億円(従予:1,950億円)、営業利益は同8.8%減の90.0億円(従予:75.0億円)に修正しています。上期受注が好調だったことから、下期期初時点の受注残高は同17.3%増の1,046億円に膨らんでおり、順調な受注消化により堅調な推移が見込まれます。また、足許の受注動向についても、新型肺炎禍の影響がほぼ無くなっているどころか、書斎等の需要により施工単価も上昇していることから、受注残高は2桁増の勢いをキープし続けています。これに加えて、早期引渡施策を推進しているため、早期の顕在化が期待されるものの、如何せん前期計上のホテル売却益剥落影響はが大きく、(おそらく保守的に)減益見通しを継続しています。

 

今期は3年中計の最終年度の位置付けであり、売上高を1,679億円→2,400億(CAGR12%)、営業利益46.5億円→120億円(CAGR37%)にそれぞれ伸長させる計画でしたが、かかる新型肺炎の状況もあり一旦棚上げとしています。基本的には、当社の地盤である九州・西日本から、棟単価1,000万円~1,500万円前後の低価格な半企画型(プリフィックス型)注文住宅を武器に、手薄だった東日本エリアへと本格進出する地理的拡大戦略となります。ただ実際のところ、戦略商品である地域限定商品は価格改定効果もあり1,700万円前後で飛ぶように売れているほか、この新型肺炎禍で、ベースが廉価な当社製品を“より広く、より大きく”建てようとする傾向によりアップセルが出来ています。

 

このように本業である住宅事業が新型肺炎禍を追い風にV字回復を果たしていることから、主力の注文住宅と戸建分譲(建売住宅)にリソースを割いていく方針としており、本中計の成長ドライバーと目されていた不動産事業は一旦様子見となります。当初はボルテックスのように都心5区で10~20億円の中小型オフィス物件を仕入れ、リノベ後に小口相続用商品として小口で再販し、10~20%の営業利益を抜く算段をしていましたが、当面は仕入をせずに在庫の販売が中心になるとみられます(財務余力は不動産事業の物件取得ではなく、住宅事業の戸建分譲の土地取得等に振り向けられる可能性が高い)。そのため一旦は7月以降に開示されるであろう新中計の公表を待つ格好となります。


なお株主還元については、業績回復基調にともなって急ピッチで株主還元へと資金を回しており、配当金の推移については【10→15→30→53→60→70→75円】と、増配基調を鮮明にしているほか、ここ最近は断続的な自社株買いも実施してきました。元より注文住宅事業を生業とする当社は、顧客より先に資金を受領するため資金繰りの状態が良いのが特徴であり、今期こそ期初時点では10円減配の年60円配を予想していましたが、結局5円増配の75円へと修正しており、上方修正後の予算がなお保守的であることから、80円水準までの再増配もあり得ると考えています。

 

*参考記事① 2020-10-13  1,443円 NT

【1419】タマホーム/足許の受注状況は好調で、年70円配復元の公算が高いとみる。

 

*参考記事② 2020-04-08 1,123円 NT

【1419】タマホーム/受注残豊富で今期は逃げ切り濃厚も、2月の増配は“勇み足”。

 

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