【3244】サムティ(東証一部) OP
現在値 2,246円/100株 P/E 10.2 P/B 1.11 11月配当優待 5月配当
関西軸に投資用マンション開発、不動産再生販売等を行う。賃貸が安定収益柱。
配当金は5月・11月の年2回、合計90円のため、配当利回りは4.01%となります。
サムティは株主優待制度を実施しており、11月時点の2単元保有株主に対して、当社が運営(運営予定含む)12ホテルの共通宿泊券を1枚進呈しておりますので、1枚5千円として換算した場合の、2単元保有時想定配当優待利回りは約5.12%となります。
業績を確認していきます。
■2019年11月期 売上高 855億円、営業利益 153億円、EPS 247円
■2020年11月期 売上高 1,012億円、営業利益 173億円、EPS 261円
■2021年11月期 売上高 904億円、営業利益 94.6億円、EPS 242円
■2022年11月期 売上高 1,400億円、営業利益 180億円、EPS 219円 ce
□2022年5月2Q 売上高 400億円、営業利益 65.0億円、EPS 86.1円 四e
2021年11月期の売上高はYoY▲10.5%の904億円、営業利益はYoY▲45.5%の94.6億円となり、3Qの再修正見通しを更に下回って着地しました。不動産事業については、「アゴーラ京都烏丸」、「アゴーラ京都四条」の2棟をホテルREIT用のブリッジSPCに売却したほか、住宅REITにレジ25棟程(警固タワー/43億円、中板橋/33億円、春日井/16億円、新潟米山/14億円、)など合計250~300億円売却したものの、前期は“駆け込み”計上物件も多かったほか、ストック重視や仕入優先といった方針転換もあって反落となりました。他方、営業外計上予定のホテルの持分法利益も保守的に計上を見送った結果、経常利益はより大幅な未達となっています。
進行期である2022年11月期の予算については、売上高はYoY+54.8%の1,400億円、営業利益はYoY+90.2%の180億円を予想しており、仕入重視からの反動増や期ズレ寄与で大幅増を見込みます。上場準備中のホテル特化型REITへの物件組入れを進めるほか、開発分譲27物件(売上470億円)、再生転売24等で24物件(売上536億円)を販売する予定となっており、去る2月末には住宅REITに32億円(北千住/12億円、千里丘/10億円、大正/10億円)を売却しています。仕入れについても用地450億円・物件500億円と高水準を維持する方針となっています。
昨年当社は従来中計の「サムティ強靭化計画」をロールし、“アフターコロナ版”の現中計に修正しています。修正中計の期間は5ヵ年、最終年度は2025年11月期となっており、売上高2,200億円(CAGR17%)、営業利益350億円(CAGR15%)を定量目標に据えています。これまでの物件売却による譲渡益に依存したP/L重視のフロー型経営から、アセット品質の確保や賃貸利益割合の増加、財務余力の確保を志向したB/S温存のストック型経営に切り返る方針です。傘下の住宅REITは独力でもAUM残高の積み上げを目指す一方、本体は売却を抑制し、当初17%(目下12%)のインカム比率を向こう5年で50%まで引き上げていく計画です。
ホテル公募REITについては、進行期中の上場を目論んでおり、スポンサーパイプラインにも既に3,400億円規模の物件が積み上がっています。組入想定物件については、上述の京都アゴーラ2物件にくわえ、メルキュール京都やイビススタイルズ名古屋、エスペリアホテル(福岡中州、博多、京都、長崎)等が名有りとなっているほか、開発中ながらシャングリ・ラ京都二条城やシックスセンシズ京都といったラグジュアリーも含まれています。また昨年5月には、ホテル開発・運営で知られるウェルス・マネジメント(3772)の32%持分を39億円で取得して持分法適用会社に収めており、ホテルまわりの経営リソースの集積が進んでいます。
財務面では、2018年にライツ・オファリングで149億円を調達したほか、大和証券グループ本社が、2019年に当社自社株処分と転換社債(CB)引受で127億円を出資しています。既にこのCBは100%転換完了しており、大和証券は当社の筆頭株主成りしたほか、2021年10月にも同社宛てに120億円分を追加発行しています。また、傘下のREITに関しても、2019年に大和証券が三者割当増資を親引け分除きで一手で引受し、39%持分を握り関与の度合いを深めています。
他方、株主還元については、配当性向基準を30%水準まで切り上げているものの、総合的判断から、計算上41.0%水準となる年90円配当の据置を予想しています。なお、終わった期はホテルSPCへの持分出資で発生した負ののれんの営業外利益、特別利益といった非現金収益が多かったことから、大幅な営業増益予想にも拘わらずEPS自体は殆ど伸びないとみられます。
*参考記事① 2021-10-14 2,340円 OP
【3244】サムティ/ウェルス・マネジメントを持分法適用化、ホテル事業に改めて注力。
*参考記事② 2021-04-03 2,026円 OP
【3244】サムティ/インカム収益にシフトで守りの姿勢だが、負ののれん特益で増配。
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