【3244】サムティ/インカム収益にシフトで守りの姿勢だが、負ののれん特益で増配。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3244】サムティ(東証一部)  OP

現在値 2,026円/100株  PER7.23 PBR1.10 11月配当優待 5月配当

関西軸に投資用マンション開発、不動産再生販売等を行う。賃貸が安定収益柱。
配当金は5月・11月の年2回、合計84円のため、配当利回りは4.15%となります。

サムティは株主優待制度を実施しており、11月時点の2単元保有株主に対して、当社が運営(運営予定含む)12ホテルの共通宿泊券を1枚進呈しておりますので、1枚5千円として換算した場合の、2単元保有時想定配当優待利回りは約5.38%となります。

業績を確認していきます。
■2017年11月期 売上高 604億円、営業利益 101億円、EPS 234円 

■2018年11月期 売上高 842億円、営業利益 140億円、EPS 283円 

■2019年11月期 売上高 855億円、営業利益 153億円、EPS 247円 

■2020年11月期 売上高 1,012億円、営業利益 173億円、EPS 261円

■2021年11月期 売上高 880億円、営業利益 100億円、EPS 279円 ce修正

□2021年2月1Q 売上高 33億円、営業利益▲13.2億円、EPS▲22.4円(3/30) 

□2021年5月2Q 売上高 260億円、営業利益 46.0億円、EPS 180.7円 ce修正
 

2020年11月期の売上高は前期比18.2%増の1,012億円、営業利益は12.6%増の173億円となり、期初予算は下回ったものの、2桁幅の増収増益を確保しました。不動産事業において、投資用マンションとして旭ヶ丘(札幌)・蒲田・赤羽他、一棟収益物件として蔵前・下京・尼崎・愛宕他を分譲したほか、ホテルREIT向け物件とみられる「イビス名古屋」底地の先行売却や、底地先行売却済の「メルキュール京都駅」の上物売却等が貢献しました。なお、下期8月にも傘下REITに大阪同心・湖南(滋賀)・江坂公園など10物件を一括で売却しており、本来であればホテル6物件の売却で作る筈だった数字を、レジデンスの売却物件増で穴埋めした格好となります。


進行期である2021年11月の見通しについては、レンジ形式で開示しており(※1Q時点で修正済)、売上高は13.0%減の880億円~18.7%増の1,200億円、営業利益は同42.0%減の110億円~32.0%減の118億円とレンジ上限としても大幅な減収減益を予想しています。開発分譲16物件、再生転売25物件等で約600億円販売予定の一方、仕入れについては素地400億円・物件650億円を予定しており、物件売却を抑制していることからネット保有増となる見通しです。3月30日に既に開示済の1Qについては、売上高が前年同期比73.8%減の33.0億円、経常利益は同赤転の▲13.2億円と低進捗ですが、同時に通期見通しをやや上方に洗い替えていることから、予算比インライン以上の進捗とみられます。

 

本来であればこの2023年11月期は3年中計「サムティ強靭化計画」の最終年度であり、営業利益200億円(CAGR12%)、ROE15%(当初16.9%)、自己資本比率30%(当初37.9%)を定量目標として定めていましたが、新型肺炎禍の深刻化により再度ロールしています。ロール後の計画終期は更に2年間期間延長した5年後の2025年11月期であり、売上高2,200億円(CAGR17%)、営業利益350億円(CAGR15%)を新たな目標に定めています。今次ロールの考え方は従前のものを踏襲しており、それまでのP/L重視のイケイケ成長型から、アセット品質や財務余力の確保を優先したB/S温存志向の強い内容になっており、傘下住宅REITにおけるAUM残高の積み上げを目指す一方で、よりインカムゲインを重視する方針です。実際に現在15%インカム比率を、向こう5年で50%まで引き上げる方針としています。

 

財務面の手当として、2018年9月に発行済株式数が1.5倍となるライツ・オファリングで149億円を調達しています。その上で、従前より提携関係にあった大和証券グループ本社が、2019年5月に当社自社株処分と転換社債の割当を受ける形で127億円を出資し、当社持分の3割を握る筆頭株主となったほか、同年8月には大和証券が当社傘下REITの三者割当増資を“親引け分”を除いて一手に引き受けて40%程度の持分を握るなど関与の度合いを深めています。2020年8月にもまた同様のスキームで傘下REITは三者割当増資を実施して47億円を調達(当社28億円・大和証券Gに19億円)しており、大和証券・当社・傘下REIT「三位一体」のセイムボートスキームにより自己資本比率30%水準をキープしています。


なお株主還元については、目安の配当性向を30%水準まで切り上げており、今期は期中で上方修正して2円の増配となる年84円配当(配当性向30.0%)を予想しています。ただこれはホテルSPCへの持分出資によって発生した負ののれんの営業外利益/特別利益といった“見かけ上の利益”まで算入されたボトムライン利益で計算された数字のため、正味実力ベースよりも多額の配当がなされる点は留意が必要です。

 

*参考記事① 2020-10-26  1,715円 OP

【3244】サムティ/注力中のホテル軟調だが、大和証券のサポートで持ちこたえる。

 

*参考記事② 2020-04-10 1,164円 OP

【3244】サムティ/大和証券の支援強力だが、ホテルREITの上場は先行き不透明。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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