【3244】サムティ(東証一部) OP
現在値 1,715円/100株 PER7.68 PBR1.00 11月配当優待 5月配当
関西軸に投資用マンション開発、不動産再生販売等を行う。賃貸が安定収益柱。
配当金は5月・11月の年2回、合計82円のため、配当利回りは4.78%となります。
サムティは株主優待制度を実施しており、11月時点の2単元超保有株主に対して、当社が運営(運営予定含む)12ホテルの共通宿泊券を1枚進呈しておりますので、1枚5千円として換算した場合の、2単元保有時想定配当優待利回りは約6.23%となります。
業績を確認していきます。
■2016年11月期 売上高 524億円、営業利益 85.8億円、EPS 196円
■2017年11月期 売上高 604億円、営業利益 101億円、EPS 234円
■2018年11月期 売上高 842億円、営業利益 140億円、EPS 283円
■2019年11月期 売上高 855億円、営業利益 153億円、EPS 247円
■2020年11月期 売上高 955億円、営業利益 153億円、EPS 223円 ce修正
□2020年5月2Q 売上高 273億円、営業利益 53.6億円、EPS 71.8円
□2020年8月3Q 売上高 473億円、営業利益 67.3億円、EPS 85.6円(9/30)
2020年5月中間期の売上高は前年同期比42.9%減の273億円、営業利益は同61.5%減の53.6億円となり、大幅な減収減益となりました。不動産事業において、投資用マンションとして旭ヶ丘(札幌)・西長堀、一棟収益物件として蔵前・下京・尼崎を分譲したほか、今後のホテルREIT向け物件とみられる「イビス名古屋」底地を先行売却するなどしましたが、前年同期に「エスペリア大阪本町」、「エスペリア長崎」にくわえ、開発中だった「メルキュール京都駅(M京都駅)」底地売却など非常に好採算の案件が多かったことや、傘下住宅REIT向けの複数の物件拠出があったことから、其処との比較では大幅反落となりました。また、この上期には「M京都駅」建物売却も予定されていましたが、中国からの内装品調達遅れにより引渡しが下期ズレしたほか、新型肺炎影響で各種運営ホテルが休業を迫られるなどしたため、上期だけで▲5億円程度の損失を計上しています。
進行期である2020年11月期の通期見通しについては、3Qの時点で再修正しており、売上高が11.6%増の955億円(期初予:1,000億円)、営業利益は0.6%減の153億円(期初予:175億円)に減額していますが、これら表記は業績予想レンジの下限となっています。新型肺炎の影響により下期もホテル減収を▲10億円程度織り込むほか、下期ズレした「M京都駅」の売却を見込んでおり、9月末に開示済の3Qによれば既に本件売却は完了している模様です。また、傘下住宅REITに対して大阪同心等複数物件の売却(※後述)を済ませています。業績の原資となる開発用地の残高については、仕入予算265億円に対して未決済を含め249億円まで積み上げているほか、一部固定資産を含む棚卸資産の残高についても、同480億円に対して431億円と高水準を確保出来ていることから、会社側の業績予想鮮度が高いことを踏まえ、修正予算水準で着地する公算が高いとみられます。
今期は新3年中計「サムティ強靭化計画」の2年度目となっており、3年経過後の2021年11月期に営業利益200億円(CAGR12%)を目指すほか、その他のKPIとしてROE15%(当初16.9%)、自己資本比率30%(当初37.9%)を設定しています。今回中計については、従来のP/L重視の業績拡大戦略から一変して、アセット品質や財務余力の確保を優先したB/S温存志向の強い内容になっており、傘下住宅REITにおけるAUM残高の積み上げを目指すほか、REIT向けに利回りの取れる地方での仕入・開発に注力するような組み立てとなっています。実際、財務面の手当として、2018年9月に発行済株式数が1.5倍となるライツ・オファリングで149億円を調達しています。
その上で、従前より提携関係にあった大和証券グループ本社が、2019年5月に当社自社株処分と転換社債の割当を受ける形で127億円を出資し、当社持分の3割を握る筆頭株主となったほか、同年8月には大和証券が当社傘下REITの三者割当増資を“親引け分”を除いて一手に引き受けて40%程度の持分を握るなど関与の度合いを深めています。本年8月にもまた同様のスキームで、傘下REITは三者割当増資を実施して47億円を調達(当社28億円・大和証券Gに19億円)し、大阪同心・湖南梅影・江坂公園ほか7物件を86億円で取得したため、大和証券Gからの“輸血”により、循環型再投資スキームがどんどん回っているような状況です。なお今年は当社主導で公募ホテルREITを組成する計画でしたが、折からの新型肺炎禍で翌期以降に送っているため、中計に掲げる業績目標の達成には不透明感が漂っています。
なお株主還元については、目安の配当性向を30%水準まで切り上げており、今期は3円の増配となる年82円配当(配当性向36.7%)を予想しており、直近の業績修正でもこれを維持することとしています。今後はホテル物件の売買市場が軟調に推移するであろうことを鑑みると、絶好の取得チャンスでもあるため、ここは減配しても内部留保を温存する方が資本政策として望ましいと思われます。
*参考記事① 2020-04-10 1,164円 OP
【3244】サムティ/大和証券の支援強力だが、ホテルREITの上場は先行き不透明。
*参考記事② 2019-10-24 1,994円 OP
大和証券G入りで、業績モメンタムは再加速へ・サムティ(3244)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。