【2796】ファーマライズホールディングス (東証プライム) OP
現在値 775円/100株 P/E 16.4 P/B 1.17 5月配当 11月株主優待
調剤薬局中堅。買収で勢力拡大。投資ファンドと資本提携。ファミマと店舗開発。
配当金は5月末一括の14円のため、配当利回りは約1.81%となります。
ファーマライズホールディングスは株主優待制度を実施しており、11月末に単元株以上を保有する1年以上保有株主に対して2,500円相当の自社店舗商品券等を進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.03%となります。
業績を確認していきます。
■2019年5月期 売上高 517億円、営業利益 6.4億円 EPS 2.6円
■2020年5月期 売上高 510億円、営業利益 9.8億円 EPS 55.7円
■2021年5月期 売上高 523億円、営業利益 12.4億円 EPS 45.8円
■2022年5月期 売上高 532億円、営業利益 15.0億円 EPS 47.1円 ce
□2021年11月中 売上高 259億円、営業利益 7.8億円 EPS 26.9円(1/13)
2021年11月期の売上高はYoY+0.9%の259億円、営業利益はYoY+50.1%の7.8億円となり、売上は計画を若干下回ったものの、利益は上振れました。主力の調剤薬局事業については、新型肺炎関連商品の一過性特需が剥落しつつあるほか、処方長期化による単価増が一服したものの、医療受診者増により処方箋枚数が持ち直しました。また、技術料構成比の増加によるミックス良化により利益率も一段と改善しています。調剤薬局の出退店については、出店4・退店5の純減1で上期末の店舗数は297店、物販事業についても同様に純減1の48店体制となっています。
なお2022年5月期の通期見通しについては、期初予想を据え置いており、売上高がYoY+1.7%の532億円、営業利益は20.7%増の15.0億円と連続で2割増益を見込んでいます。調剤薬局事業は新型肺炎禍の一巡により処方箋枚数が回復基調にあるほか、4月に公定改定(減額)を控える技術料単価についても、かかりつけ薬剤師、在宅・施設処方、ジェネリック加点により底堅い推移が見込まれます。他方、利益面についてはトップライン成長にくわえ、新基幹システムによる効率化発現や、薬価原価率と販管費の減少等により、一段と伸長が見込まれます。
当社は昨年12月に2025年5月期を最終年度とする新3年中計を公表しており、売上高を523→584億円、営業利益を12.4億円→25.0億円に其々伸長させる計画としています。この2022年5月期までは従前中計の計画期間のため、落着を待たない形でのフライング公表となるものの、目標指標である売上高565億円については未達、営業利益15.0億円については概ね達成となる公算が高そうです。
新中計での取組内容は①調剤を核とした事業展開強化、②経営基盤強化、③ESG/IR強化という3本柱となっています。①についてははかかりつけ薬局・薬剤師として、主に高齢者をターゲットとしたエンゲージメント強化(を通じた調剤点数の獲得)と、得意のMAを中心とした増店による外部成長策となります。②はここ数年で既買収各社の傘下薬局を“ファーマライズ薬局”へと屋号統合してきたことから、背後にあるオペレーションの統一やDX活用による効率化で収益性の確保を図り、公定調剤加点の(事実上の)減額に備えていく格好です。
当社は2018年11月に投資ファンドのアスパラント宛ての三者割当増資で1億円(@570円)、転換社債で14億円(@570円、全転換で約3割希薄化)を割り当てて業務提携を締結し、企業内改革の助言やMA案件のサポートを受けています。2020年2月のヘルシーワーク、ウィーク、サン・メディカルといった小粒~超小粒案件の買収以降、MAが膠着しているような状況ですが、依然としてアスパラントから社外取締役2名を受け入れているため、改めてMAによる業容拡大に期待したいと思います。
財務状況については、上記転換社債の転換がまるで進んでいない(償還・転換期限は23年11月)こともあり、自己資本比率は26.8%水準に留まっています。株主還元については、今期予想ベースで配当性向30%程となる年14円配当の据置を見込んでおり、買収や新規出店のための資金ニーズがあることを踏まえると、妥当な還元水準と解されます。
*参考記事① 2021-10-13 778円 OP
【2796】ファーマライズHD/グループ会社の合理化進み、中計営業益15億円が射程圏に復帰。
*参考記事② 2021-04-01 792円 NT
【2796】ファーマライズHD/採算性改善も、新型肺炎禍による処方箋枚数減は痛い。
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