【2796】ファーマライズHD/グループ会社の合理化進み、中計営業益15億円が射程圏に復帰。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_4033.jpg

【2796】ファーマライズホールディングス(東証一部) OP

現在値 778円/100株   P/E 16.5 P/B1.20  5月配当 11月株主優待

調剤薬局中堅。買収で勢力拡大。投資ファンドと資本提携。ファミマと店舗開発。
配当金は5月末一括の14円のため、配当利回りは約1.80%となります。

ファーマライズホールディングスは株主優待制度を実施しており、11月末に単元株以上を保有する1年以上保有株主に対して2,500円相当の自社店舗商品券等を進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.01%となります。

業績を確認していきます。 

■2019年5月期 売上高 517億円、営業利益 6.4億円 EPS 2.6円  

■2020年5月期 売上高 510億円、営業利益 9.8億円 EPS 55.7円 

■2021年5月期 売上高 523億円、営業利益 12.4億円 EPS 45.8円 

■2022年5月期 売上高 532億円、営業利益 15.0億円 EPS 47.1円 ce
□2021年11月中 売上高 261億円、営業利益 6.9億円 EPS 17.8円 ce

2021年5月期の売上高は前期比2.5%増の523億円、営業利益は同20.4%増の12.4億円となり、前期比・修正予算比でも増収増益を確保しました。主力の調剤薬局事業において、新型肺炎影響長期化に伴う受診抑制で処方箋枚数が想定以下となった一方、処方期間の長期化により単価が上振れしており、採算性良化が続きました。調剤薬局の出退店については、出店8・退店4の純増4店となり、期末の店舗数は298店となりました。物販事業については、店舗数は純増1店(計48店)となったものの減収し、赤字継続となったものの、不採算店の閉鎖一巡で均衡圏水準まで大きく持ち直しています。


進行期である2022年5月期の予算については、売上高が1.7%増の532億円、営業利益は20.7%増の15.0億円と連続で2割増益を予想しています。調剤薬局事業については、上期まで新型肺炎禍の影響を織り込み低調な処方箋枚数を見込む一方、かかりつけ薬剤師、在宅・施設処方といった取組により技術料単価を伸ばす計画であり、出退店についても10店程の純増を見込んでいます。

他方、利益面についてはトップライン伸長にくわえ、稼働済の新基幹システムの寄与による効率化や薬価原価率や販管費の減少等により、2割超の増益を確保する見通しです。

 

当社この2022年5月期を最終年度とする4年中計において、売上高を545→565億円、営業利益を11.7億円→15.0億円に其々伸長させる計画でしたので、売上高は未達公算が高いものの、利益については中計にサヤ寄せする形で達成見込みとしています。元より物足りない数字感の業績目標でしたが、本中計期間は“SFG2021(Steps for Future Growth)”の名称どおり、先々の成長を見据えた準備期間という位置付けであったことに由ります。

 

本中計での取組内容は①出店とMA、②セルフメディケーション啓蒙による物販テコ入れ、③組織再編という3本柱でしたが、これまで小規模事業者を急速に買収してきた歪が顕在化してきていたため、単純肥大化していた組織再編が何よりも急務という状況でした。そのため、この3年程で最大10社程あった傘下調剤薬局の屋号を“ファーマライズ”に一本化したほか、昨年新基幹システムも稼働を開始させるなど、ある程度の合理化を済ませたような状況となっており、あとは新型肺炎禍の沈静化で患者の通院再開といった事業環境の好転を待つばかりという状況になっています。


なお本中計開始時に投資ファンドのアスパラント宛ての三者割当増資で1億円(@570円)、転換社債で14億円(@570円、全転換で約3割希薄化)を割り当て、資金調達するとともに業務提携を締結し、企業内改革の助言やMA案件のサポートを受けています。実際に全てアスパラントのサポートによるものかどうかは不明であるものの、MAによる買収は劇的に増加しました。他方、その強すぎるサポート(?)により肥大化した経緯はあるものの、中計期間内で合理化は済んだので、一定の意義はあったものと考えています。

 

財務状況については、このCBの転換がまるで進んでいない(償還・転換期限は23年11月)こともあり、自己資本比率は24%水準に留まっています。株主還元については、今期予想ベースで配当性向30%程の年14円配当の据置を見込んでいますが、当社は散発的に少量の自社株買いをする傾向にあることから、株主還元は既に十分な水準にあるものと考えています。

 

*参考記事① 2021-04-01  792円 NT

【2796】ファーマライズHD/採算性改善も、新型肺炎禍による処方箋枚数減は痛い。

 

*参考記事① 2020-10-28 772円 NT

【2796】ファーマライズHD/相次ぐ買収店舗の統合効果の発現はまだこれから。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ