【2796】ファーマライズHD/採算性改善も、新型肺炎禍による処方箋枚数減は痛い。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_1737.jpg

【2796】ファーマライズホールディングス(東証一部) NT

現在値 792円/100株  P/E19.4  P/B1.29  5月配当 11月株主優待

調剤薬局中堅。買収で勢力拡大。投資ファンドと資本提携。ファミマと店舗開発。
配当金は5月末一括の14円のため、配当利回りは約1.77%となります。

ファーマライズホールディングスは株主優待制度を実施しており、11月末に単元株以上を保有する1年以上保有株主に対して2,500円相当の自社店舗商品券等を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.92%となります。

業績を確認していきます。 

■2018年5月期 売上高 545億円、営業利益 11.7億円 EPS▲3.2円  

■2019年5月期 売上高 517億円、営業利益 6.4億円 EPS 2.6円  

■2020年5月期 売上高 510億円、営業利益 9.8億円 EPS 55.7円 

■2021年5月期 売上高 519億円、営業利益 11.8億円 EPS 40.6円 ce修正
□2020年11月2Q売上高 256億円、営業利益 5.2億円 EPS 13.7円(1/14)

2020年11月中間期の売上高は前年同期比0.4%減の256億円、営業利益は同0.8%増の5.2億円となり、前年同期比・予算比ともに減収増益で進捗しました。主力の調剤薬局事業において、新型肺炎影響長期化に伴う受診抑制で処方箋枚数が想定以下となった一方、処方期間の長期化により単価が上振れしており、採算性の良化が続きました。調剤薬局の出退店については、新規出店自体は6店だったものの、MAによる店舗取得(※後述)もあり純増5店となり、期末の店舗数は299店となりました。一方、物販事業については、店舗数は純減1店の計47店となったことにより減収したものの、不採算店の閉鎖一巡により赤字幅は均衡圏水準まで大きく持ち直しました。


進行期である2021年5月期の見通しは中間時点で修正しており、売上高は前期比1.8%増の519億円(期予:540億円)、営業利益は14.8%増の11.8億円(期予:11.6億円)に微修正しています。主力の調剤薬局事業については、前期にMAで買収した34店の上乗せがあるものの、期を通じて新型肺炎禍の影響を引きずるほか、4月からの薬価改定によるネガティブインパクトが見込まれるため、トップラインは微増に留まる見通しです。一方、利益面については本部・店舗間の新基幹システムの本格稼働や、既買収会社の統合効果発現等による採算性改善により2桁幅の増益を確保するとみられます。

 

当社は翌2022年5月期を最終年度とする約4年間に渡る中計において、売上高を545→565億円、営業利益を11.7億円→15.0億円にそれぞれ伸長させる(※2018年5月期実績との比較)計画です。計画期間のわりに成長率が物足りませんが、“SFG2021(Steps for Future Growth)”のネーミングのとおり、先々の成長を見据えた準備期間という位置付けであることに由ります。

 

取り組み内容としては①出店とMA、②セルフメディケーション啓蒙による物販テコ入れ、③組織再編の3本柱となります。特にこれまで果敢なMAにより相次いで小規模事業者を買収してきたことから、単純積算で肥大化した組織再編が急務となっていました。中計開始から約3年が経過し、足許では10社あった傘下の調剤薬局の屋号を“ファーマライズ”に一本化したほか、新基幹システムも稼働を開始しており、効率化という観点では相当程度進捗したものとみられます。但し、新型肺炎禍による処方箋枚数減というマクロ要因減収が痛打となっており、当初は無理のない目標とみられた中計の定量計画については、既に達成が難しくなっているものと解されます。


本中計開始の際に、投資ファンドのアスパラントに三者割当増資で1億円(@570円)、転換社債で14億円(@570円、全転換で約3割希薄化)を割り当て、資金調達するとともに業務提携を締結し、組織再編及び業務改革の助言や、MA案件のサポートを受けています。実際に全てアスパラントのサポートによるものかどうかは不明であるものの、MAはコンスタントにこなしており、業容それ自体は拡大出来ている状況です。

 

財務状況については、上述の転換社債の転換がまるで進んでいない(償還期限は23年11月)こともあり、自己資本比率は24%水準に留まっており、物足りない状況となっています。そのため、株主還元については、今期予想ベースで配当性向35%程度となる年14円配当の据置を見込んでいますが、これ以外にも散発的に少量の自社株買いをしたりもしていることから、概ね妥当な水準と考えています。

 

*参考記事① 2020-10-28 772円 NT

【2796】ファーマライズHD/相次ぐ買収店舗の統合効果の発現はまだこれから。

 

*参考記事② 2020-04-09 640円 NT  

【2796】ファーマライズHD/アスパラントからのCB資金調達でMA続く。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ