【2796】ファーマライズHD/アスパラントからのCB資金調達でMA続く。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2796】ファーマライズホールディングス(東証一部) NT

現在値 640円/100株 PER15.6 PBR1.04  5月配当 11月株主優待

調剤薬局中堅。買収で勢力拡大。投資ファンドと資本提携。ファミマと店舗開発。
配当金は5月末一括の14円のため、配当利回りは約2.19%となります。

ファーマライズホールディングスは株主優待制度を実施しており、11月末に単元株以上を保有する1年以上保有株主に対して2,500円相当の自社店舗商品券等を進呈しておりますので、配当優待利回りは約6.09%となります。

業績を確認していきます。 
■2016年5月期 売上高 485億円、営業利益 8.1億円 EPS 42.4円 
■2017年5月期 売上高 529億円、営業利益 4.4億円 EPS 0.9円  

■2018年5月期 売上高 545億円、営業利益 11.7億円 EPS▲3.2円  

■2019年5月期 売上高 517億円、営業利益 6.4億円 EPS 2.6円  

■2020年5月期 売上高 515億円、営業利益 9.0億円 EPS 40.8円 ce修正
□2019年11月2Q売上高 257億円、営業利益 5.2億円 EPS 62.4円(1/14)

2019年11月期中間期の売上高は前年同期比0.4%増の257億円、営業利益は同198.4%増の5.2億円となり、期初予想を大幅に上回って着地しました。主力の調剤薬局事業において、処方箋枚数が想定以下で推移したものの、2018年4月の診療報酬/薬価改定の一巡により客単価が回復したほか、不採算店の閉鎖も寄与し、採算性が改善して利益が大幅増となりました。既存店売上高も101%と順調な仕上がりとなったほか、調剤薬局の店舗数もこの上期で前期末比5店増の263店に増加しました。その一方、コンビニやドラッグ等の物販事業については、依然採算性の改善が進んでいないことにくわえ、天候不順の影響もあり、当該セグは減収・赤字継続となりました。


なお2020年5月期の通期予算については、2Q時点で修正しており、売上高は前期比0.3%減の515億円(従予:523億円)、営業利益は41.3%増の9.0億円(従予:8.6億円)とし、トップラインを減じる一方で、利益については逆に微増させています。これは調剤薬局事業において、上期の処方箋枚数が想定以下に推移したほか、新規出店が遅れているために売上高の減少が見込まれるものの、利益に関しては上期の上振れ着地分を通期予算にいくらか反映させた格好となります。ただ、上期の営業利益の上振れは実に+2.7億円に及んでおり、会社側では処方箋枚数の減少や販管費の下期ズレ等を理由に利益予算をほぼ増額していないものの、新型肺炎影響による物販事業の押し上げ効果を考慮すると、修正予算はなお保守的と考えられます。

 

当社は2022年5月期を最終年度とする約4箇年に渡る新中計において、売上高を545→565億円、営業利益11.7→15.0億円に伸長させる計画であり(矢印の比較は2018年5月期実績)となっています。約4箇年のわりに業績成長率が物足りませんが、新中計名“SFG2021(Steps for Future Growth)”のとおり、先々の成長を見据えた準備期間という位置付けであることに由ります。取り組み内容としては①出店とMA、②セルフメディケーション啓蒙による物販テコ入れ、③組織再編の3本柱となります。特に当社の場合は積極的なMAが特徴のため、相次ぐ小規模店舗の買収で単純に肥大化した組織再編が肝であり、足許では10社あった傘下の調剤薬局を“ファーマライズ”に一本化するなど、オペレーションを統合を進めています。


また当社は本新中計のタイミングで、投資ファンドであるアスパラントグループに対する第三者割当増資で1億円(@570円)、転換社債で14億円(@570円、全転換で約3割希薄化)を調達するとともに業務提携を締結し、組織再編及び業務改革の助言や、MA案件のサポートを受けます。また、調達した15億円のうちの大半をMAに充てる方針であり、実際に足許2月には大阪を中心に31店の調剤薬局を運営するヘルシーワークの株式を買い増しして完全子会社化するなどしています。同社は利益僅少ながら、巡航ベースの年商は25億円程あることから、当社グループ入りによるリソース活用で営業利益1.0億円/年、程度の貢献が期待出来るかと思います。

 

財務状況については、上述の転換社債の転換が進んでいないこともあり、自己資本比率は2割を若干超える水準に留まっており、物足りない状況となっています。そのため、株主還元については、今期予想ベースで配当性向35%程度となる年14円配当の据置を見込んでいますが、これ以外にも散発的に自社株買いをしたりもしていることから、概ね妥当な水準かと考えています。

 

*参考記事① 2013-10-17 713円*分割遡及修正株価 OP

11月優待、ファーマライズホールディングス(2796)の研究。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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