【2796】ファーマライズホールディングス(東証一部) NT
現在値 772円/100株 PER19.0 PBR1.30 5月配当 11月株主優待
調剤薬局中堅。買収で勢力拡大。投資ファンドと資本提携。ファミマと店舗開発。
配当金は5月末一括の14円のため、配当利回りは約1.81%となります。
ファーマライズホールディングスは株主優待制度を実施しており、11月末に単元株以上を保有する1年以上保有株主に対して2,500円相当の自社店舗商品券等を進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.05%となります。
業績を確認していきます。
■2017年5月期 売上高 529億円、営業利益 4.4億円 EPS 0.9円
■2018年5月期 売上高 545億円、営業利益 11.7億円 EPS▲3.2円
■2019年5月期 売上高 517億円、営業利益 6.4億円 EPS 2.6円
■2020年5月期 売上高 510億円、営業利益 9.8億円 EPS 55.7円
■2021年5月期 売上高 540億円、営業利益 11.6億円 EPS 40.5円 ce
□2020年8月1Q売上高 128億円、営業利益▲0.1億円 EPS▲5.9円(10/15)
□2020年11月2Q売上高 262億円、営業利益 4.1億円 EPS 7.5円
202年5月期の売上高は前期比1.3%減の510億円、営業利益は同54.2%増の9.8億円となり、トップラインは伸び悩んだものの、利益については中間の増額予算を更に上回って着地しました。主力の調剤薬局事業において、新型肺炎の本格化に伴う受診抑制により処方箋枚数が想定以下の同4.4%減で推移したものの、逆に処方期間自体は長期化したため単価は上昇(同5.5%増)となり、採算性が一段と良化しました。調剤薬局の出退店については、新規出店自体は11店だったものの、MAによる店舗取得(※後述)により純増36店となり、期末の店舗数は296店となりました。一方、コンビニやドラッグ等の物販事業については、不採算店の閉鎖を進めており店舗数は純減3店の48店となったほか、天候不順の影響もあり、当該セグは減収・赤字継続となりました。
進行期である2021年5月期の予算については、売上高は5.9%増の540億円、営業利益は18.2%増の11.6億円と2桁増益基調の継続を予想しています。主力の調剤薬局事業については、実績期にMAで取得した34店舗が通期で寄与するほか、本部・店舗間の新基幹システムの本格稼働やこれまで実施してきた既買収会社の統合効果発現等により、採算性改善が進む見通しです。また物販事業についても、不採算店閉鎖の一巡で黒字転換を見込んでいます。去る10月15日に開示済の1Qによれば、売上高が前期末比微減の128億円、営業利益は同赤転の▲0.1億円と低進捗しており、これは新型肺炎による受診抑制の影響を引きずっていて処方枚数が低下したことが要因であり、通期予算達成にはやや不透明感が残ります。
当社は2022年5月期を最終年度とする約4年間に渡る新中計において、売上高を545→565億円、営業利益11.7→15.0億円に伸長させる計画であり(比較元は2018年5月期実績)となっています。約年間のわりに成長率が物足りませんが、新中計名“SFG2021(Steps for Future Growth)”のとおり、先々の成長を見据えた準備期間という位置付けであることに由ります。取り組み内容としては①出店とMA、②セルフメディケーション啓蒙による物販テコ入れ、③組織再編の3本柱となります。特に当社は積極的なMAを強みとしており、相次ぐ小規模店舗の買収で単純肥大化した組織再編が最大の課題となっていました。中計開始から約2年が経過し、足許では10社あった傘下の調剤薬局を“ファーマライズ”に一本化したほか、上述のとおり新基幹システムも稼働を開始したことから、現時点の成果としては見えずらい部分が残るものの、相当程度の効率化が進んだものとみられます。
また本中計開始の際に、投資ファンドのアスパラントに三者割当増資で1億円(@570円)、転換社債で14億円(@570円、全転換で約3割希薄化)を割り当て、資金調達するとともに業務提携を締結し、組織再編及び業務改革の助言や、MA案件のサポートを受けています。また、調達資金の殆どをMAに充てる方針であり、本年2月には大阪を中心に31店の調剤薬局を運営するヘルシーワークの株式を買い増しして完全子会社化しています。調剤薬局業界は寡占化が全く進んでおらず、これまで隆盛を極めてきた病院前の「門前薬局」は報酬改定で冷遇され、地域型の「かかりつけ薬局」が厚遇される傾向があることから、電子版おくすり手帳/アプリの機能拡充(服薬指導や健康支援等)により、個店競争力の強化と“かかりつけ化”を目指す方向性とみられます。
財務状況については、上述の転換社債の転換がまるで進んでいないこともあり、自己資本比率は2割を若干超える水準に留まっており、物足りない状況となっています。そのため、株主還元については、今期予想ベースで配当性向35%程度となる年14円配当の据置を見込んでいますが、これ以外にも散発的に自社株買いをしたりもしていることから、概ね妥当な水準かと考えています。
*参考記事① 2020-04-09 640円 NT
【2796】ファーマライズHD/アスパラントからのCB資金調達でMA続く。
*参考記事② 2013-10-17 713円*分割遡及修正株価 OP
11月優待、ファーマライズホールディングス(2796)の研究。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。