【9832】オートバックスセブン/油価高騰は割引要素も、”注文通り”の高率株主還元が継続。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9832】オートバックスセブン(東証一部)  OP

現在値 1,354円  P/E 15.9  P/B 0.87  3月配当優待 9月配当優待

自動車用品の国内最大手。「オートバックス」中心に全国展開、海外も。
配当金は3月末・9月末合計60円のため、配当利回りは4.43%となります。

オートバックスセブンは株主優待制度を実施しており、単元株以上を1年以上保有する3月末・9月末株主に対して、年2回1,000円相当の商品券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.90%となります。

業績を確認していきます。企業会計基準第29号の(新収益認識)基準を採用しています。

■2018年3月期 売上高 2,116億円、営業利益 72.8億円 EPS 65.5円
■2019年3月期 売上高 2,138億円、営業利益 74.7億円 EPS 66.6円
■2020年3月期 売上高 2,214億円、営業利益 75.8億円 EPS 47.1円
■2021年3月期 売上高 2,204億円、営業利益 105.7億円 EPS 88.2円 

■2022年3月期 売上高 2,265億円、営業利益 95.0億円 EPS 83.8円 ce新収益

□2021年9月2Q 売上高 1,035億円、営業利益 29.1億円 EPS 23.8円 

□2021年12月3Q 売上高 1,719億円、営業利益 88.0億円 EPS 78.1円(1/31)

2021年9月中間期の売上高はYoY+3.8%の1,035億円、営業利益はYoY▲18.7%の29.1億円となり、概ね計画線での進捗となりました。主力の国内オートバックス(AB)事業については、夏場については緊急事態宣言や帰省自粛の影響を受けたものの、前年反動で好調だった春先の“貯金”や、9月にかけて持ち直したことから、計画並みとなりました。商品別では、ロングドライブ敬遠傾向はあるもののタイヤが底堅く推移した一方、半導体不足で調達影響のあったカーナビやドライブレコーダーといったカーエレ系商材が低調に推移しました。


2022年3月期通期見通しについては、期初予想を据え置いており、売上高はYoY+2.7%の2,265億円、営業利益はYoY▲10.2%の95.0億円を予想しています(※新収益基準への切替により売上高44億円が目減り)。新型肺炎禍における車利用頻度の高止まりを背景に、洗車用品や社内小物、バッテリー類の堅調な推移を見込んでおり、気象異常で冬季需要が不透明なほか、半導体不足による車載AV機器類の生産影響が懸念されるものの、AB事業SSSは100.9%と期初の微増計画を維持しています。1月31日に開示済の3Qは売上高1,719億円&営業利益88.0億となっており、新収益基準移行による減益▲5億円はあるものの、概ね計画線での進捗が確認されます。


当社は2024年3月期を最終年度とする中計「5ヵ年ローリングプラン」を策定しており、今期は中間年度となります。5年経過後の業績目標値を定めておらず、単年の都度予想とする一方、株主還元方針のみ「5年間累計の総還元性向100%」のみ定めています。定性取組方針としては、①国内AB事業強化、②小売収益拡大、③実験業態見直し、④海外小売事業縮小、⑤IT・物流基盤再構築、の5点が掲げられています。

 

①・②については、直近3年で延べ300店舗程の改装を実施したほか、昨年4月より日産自動車と業務提携し、新車カタログへのカー用品掲載や、同社ディーラー2,100店舗での取扱、グッズの共同開発を検討するといった取組を開始しています。④海外事業については、依然赤字国が多いものの、卸売事業の強化や新規PBの開発を進めテコ入れを図っています。⑤のIT・物流基盤再構築については、4,700カ所の取付拠点を有する三菱商事系のカー商品販売ネットワークであるカーフロンティアとの提携で店舗送客を強化したほか、テスラと純正部品の供給契約を締結し車検・法定点検を可能にしています。

財務状況については、長短合わせて85億円程ある借金をネットしてなお200億円程の現金がダブついているような状況であり、盤石の状況といえます。そのため、当社の投資論点はあくまで株主還元策にあり、年間60円の配当もさることながら、5年中計で謳われている「総還元性向100%」をターゲットとし、今期はその水準を上回る30億円規模の自社株買いがなされているため、“注文通り”の還元が継続しているような状況です。

 

*参考記事① 2021-09-01 1,552円 OP

【9832】オートバックスセブン/自社株買い枠は30億円で、中計の総還元性向100%を超過。

 

*参考記事② 2021-02-04 1,409円 OP

【9832】オートバックスセブン/車利用増加と厳冬特需で上振れ圏、焦点は未実施の自社株買い。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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