【9832】オートバックスセブン/自社株買い枠は30億円で、中計の総還元性向100%を超過。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9832】オートバックスセブン(東証一部)  OP

現在値 1,552円  P/E 18.5  P/B 1.02 3月配当優待 9月配当優待

自動車用品の国内最大手。「オートバックス」中心に全国展開、海外も。
配当金は3月末・9月末合計60円のため、配当利回りは3.87%となります。

オートバックスセブンは株主優待制度を実施しており、単元株以上を1年以上保有する3月末・9月末株主に対して、年2回1,000円相当の商品券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.51%となります。

業績を確認していきます。企業会計基準第29号の(新収益認識)基準を採用しています。

■2018年3月期 売上高 2,116億円、営業利益 72.8億円 EPS 65.5円
■2019年3月期 売上高 2,138億円、営業利益 74.7億円 EPS 66.6円
■2020年3月期 売上高 2,214億円、営業利益 75.8億円 EPS 47.1円
■2021年3月期 売上高 2,204億円、営業利益 105.7億円 EPS 88.2円 

■2022年3月期 売上高 2,265億円、営業利益 95.0億円 EPS 83.8円 ce新収益

□2021年6月1Q 売上高 522億円、営業利益 15.1億円 EPS 13.5円(7/30)

□2021年9月2Q 売上高 1,100億円、営業利益 44.0億円 EPS 35.1円 四e

2021年3月期の売上高は前期比0.4%減の2,204億円、営業利益は同39.4%増の105.7億円で着地し、期初予想を大幅に上回って4割程の増益となりました。主力の国内オートバックス(AB)事業については、緊急事態宣言前後の1Q(4-6月)3か月間の月次売上高は89.4%と低調に推移した一方、新型肺炎禍の車利用頻度上昇を背景に、洗車用品や罰則強化によりドライブレコーダー類が伸長し、消費増税前仮需反動を打ち返しました。予算前提SSS99.8%に対し、実績100.2%で売上自体は概ねインラインとなったものの、売上商品ミックスの変化や販管費削減により大幅増益となりました。


2022年3月期通期予算については、売上高は前期比2.7%増の2,265億円、営業利益は10.2%減の95.0億円を予想しています。新型肺炎禍における車利用頻度の高止まりを背景に、洗車用品や社内小物、バッテリー類の堅調な推移を見込んでおり、気象異常で冬季需要が不透明なほか、半導体不足による車載AV機器類の生産影響が懸念されるものの、AB事業における通期SSS前提は100.9%と微増計画となっています。なお、7月30日に開示済の1Qによれば、売上高522億円&営業利益15億円と大幅な増収増益で進捗しており、新型肺炎禍で前年ハードルが低かった影響もあるものの、直近5年の1Q期間では最高益をマークしています。


当社は2024年3月期を最終年度とする中計「5ヵ年ローリングプラン」を策定しており、進行期はその3年度目にあたります。但し5年経過後の業績目標値のゴールを設定しておらず、単年都度予想となっており、唯一定めている数値指標は「5年間累計の総還元性向100%」のみとなります。定性取組方針としては、①国内AB事業強化、②小売収益拡大、③実験業態見直し、④海外小売事業縮小、⑤IT・物流基盤再構築、の5点が掲げられています。

 

①・②については、2019年3月期からの累計で286店舗の改装実施等により、車検・整備等の物販以外のメンテナンスサービス売上の増加が確認出来ます。他方、国内より苦戦している④海外事業については、卸売事業の強化や新規PBの開発を進めテコ入れを図っています。⑤のIT・物流基盤再構築については、昨年ABの新アプリをリリースしたほか、4,700カ所の取付拠点を有する三菱商事系のカー商品販売ネットワークであるカーフロンティアとの提携で店舗送客を強化しており、実際に3割の顧客が当社店舗を取付拠点に選択する、といった成果発生がみられます。また、今春にはC2Cの中古車フリマアプリ「クルマのえん」をローンチし、売主側から手数料を収受する仕組みを整えているような状況です。

財務状況については、長短合わせて45億円程ある借金をネットしてなお250億円程の現金がダブついているような状況であり、盤石の状況といえます。そのため、当社の投資論点はあくまで株主還元策にあると考えており、配当予想である年60円の蓋然性は元より、5年中計記載の「総還元性向100%」を前提とすれば、20億円規模の自社株買いがなされることとなりますが、実際に足許では30億円規模で買っていることから、市場期待や中計目標水準を超える還元内容であるものと評価しています。

 

*参考記事① 2021-02-04 1,409円 OP

【9832】オートバックスセブン/車利用増加と厳冬特需で上振れ圏、焦点は未実施の自社株買い。

 

*参考記事② 2020-07-27 1,352円 NT

【9832】オートバックスセブン/前年並み想定の会社予算は過大も、総還元性向100%は堅持か。

 

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