【9658】ビジネスブレイン太田昭和 /傘下のGSXが上場、新たに配当性向30%基準を公表。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_5936.jpg

【9658】ビジネスブレイン太田昭和 (東証1部) OP

現在値 1,590円/100株 P/E 11.7  P/B 1.55  3月配当優待 9月配当 

コンサルやシステム開発受託。会計システムに強み。情報セキュリティも。
配当は3月末・9月末の年2回・計38円配当のため、配当利回りは2.39%となります。

ビジネスブレイン太田昭和は株主優待制度を導入しており、3月末時点で単元株を1年超保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.01%となります。

業績を確認していきます。

■2018年3月期 売上高 235億円、営業利益 11.5億円、EPS 64.1円

■2019年3月期 売上高 248億円、営業利益 17.2億円、EPS 85.4円 

■2020年3月期 売上高 283億円、営業利益 21.3億円、EPS 122.0円 

■2021年3月期 売上高 290億円、営業利益 24.0億円、EPS 140.2円 

■2022年3月期 売上高 320億円、営業利益 25.0億円、EPS 135.1円 IFRSce修正
□2021年9月2Q 売上高 150億円、営業利益 11.6億円、EPS 63.5円  

□2021年12月3Q 売上高 235億円、営業利益 18.5億円、EPS 101.7円(1/31) 

2021年9月中間期の売上高はYoY+6.4%の150億円、営業利益はYoY+5.8%の11.6億円となり、対予算で順調な進捗となりました。期初受注残高は前年同水準の109億円からのスタートであったものの、主力のコンサル/SIer事業については、業務改革のDXやペーパレス、セキュリティ分野が好調を維持したほか、金融業界向けのシステム開発も復調しました。連れてBPO事業についても、グローバルBPOも好調に推移し、熊本・浜松のセンターは受注限界にまで接近しています。

 

2022年3月期の通期見通しについては、IFRS移行影響はあるものの、上期好調を受けて増額しており、売上高はYoY+9.7%の320億円(期予:310億円)、営業利益はYoY+13.6%の25.0億円(期予:21.0億円)にそれぞれ修正しています。コンサル/SIer分野については、PLM商品が顧客の再編影響で低調となっているものの、金融業界向けの需要回復で底上げが見込まれるほか、BPO事業も不採算案件一巡で復調する見通しです。他方、昨年7月の日比谷フォートタワーへの本社移転で▲4.5億円、IFRS移行により役職員への株式報酬費用▲2.0億円といった下押し要素があるものの、それら一過性要素を飲み込んで2桁増益を達成する見通しです。

 

当社はこれまで中長期的な業績目標を非開示としていましたが、長期的には2031年3月期に売上高1,000億円&営業利益100億円を目標とするほか、直近3ヵ年の終期となる2024年3月期には売上高400億円&営業利益34億円を目指しています。主力のコンサル/SIer事業と、BPO事業の割合を現行ままの7対3とし、全社戦略としてシナジー強化やMAとアライアンス強化、ブランディング強化を挙げており、実際に本年7月からコーポレートロゴやタグラインを一新しています。

 

成長著しい傘下のグローバルセキュリティエキスパート(GSX、4417)もシグマクシスとの合弁を解消して完全子会社化に戻していたものの、今度はNRIと兼松エレクトロニクスに持分を譲渡し、パートナー連携の強化を図っています。GSXは会計システムの脆弱性診断や、サイバーセキュリティ教育をドメインとしており、昨年12月にはIPOを果たしています。中長期的には当社グループのセキュリティ分野の底上げとブランド向上に資することが期待されますが、上場による連結寄与影響は殆ど無い(売上高40億円・営業利益4億円)ほか、今後は段階的に持株を処分して持分法適用に落とす意向のため、当面は間接的な貢献に留まる見通しです。

 

BPOはセゾン情報システム(9640)から同事業を買収したほか、安定したコンサル/SIer事業の収益と顧客基盤を土台に、周辺領域で事業ドメインを拡張させていますが、今後は高付加価値化と技術戦略により高度化を進めます。昨年8月にはWebアプリやスマホアプリ、ネットワーク構築等のIT関連事業を手掛けるジョイワークス(売上高3.5億円・利益僅少)を4億円で買収しており、現状の外注事業を同社へと回して、3~5年で売上高10億円程度にまで育てる方針としています。

 

他方、当社は抜群の財務体質を誇っており、有利子負債をネットして80億円程の現金抱えしているような状態です。配当については、期初時点で11期連続増配となる2円増の32円配を見込んでいたものの、今年に入ってから配当性向方針30%を新たに掲げたことから、期中で8円増の38円配に引き上げています。

 

*参考記事① 2021-08-06  1,772円 OP

【9658】ビジネスブレイン太田昭和 /DX潮流は追い風だが、中計目標にはやや過大感も。

 

*参考記事① 2020-08-05 1,323円  OP

【9658】ビジネスブレイン太田昭和/ BPO需要拡大で、新型肺炎禍でも“勝ち残り“が濃厚か。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。