【9434】ソフトバンク/傘下のZHDがLINEとの経営統合を完了、PayPay上場は来年か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9434】ソフトバンク(東証一部) OP

現在値 1,441円/100株  P/E 13.5 P/B 4.33  3月配当  9月配当 株主優待なし

ソフトバンク、ワイモバイルを展開する通信会社。ヤフー、ZOZOなど買収で非通信を拡大。

 

配当は年2回・合計86円のため、配当利回りは約5.97%となります。
ソフトバンクは株主優待制度を実施しておりません。

業績を確認していきます。

■2018年3月期 売上高 35,470億円、営業利益 6,419億円 EPS 100.3円 

■2019年3月期 売上高 37,463億円、営業利益 7,194億円 EPS 90.0円 

■2020年3月期 売上高 48,612億円、営業利益 9,117億円 EPS 99.3円 

■2021年3月期 売上高 52,055億円、営業利益 9,707億円 EPS 103.9円

■2022年3月期 売上高 55,000億円、営業利益 9,750億円 EPS 105.9円 ce

□2021年9月2Q 売上高 27,242億円、営業利益 5,708億円 EPS 65.5円

□2021年12月3Q 売上高 41,738億円、営業利益 8,212億円 EPS 89.6円(2/3)


2021年9月中間期の売上高はYoY+12.2%の2兆7,242億円、営業利益はYoY▲3.2%の5,708億円となり、2桁の増収の一方、営業減益で折り返しました。個人向けは端末販売こそ堅調だったものの、通信料値下げやサブブランド(ワイモバイル、LINEMO)へのトレードダウンにより減収傾向が継続したほか、端末補助の会計処理変更で▲360億円程のP/L影響があったため減益となりました。他方、大規模通信需要の根強い法人向けが堅調だったほか、ヤフー/LINE事業もメディア領域やEC物販が好調だったこともあり、セグメントでは35%もの増収を果たしています。


2022年3月期の見通しは期初据置としており、売上高はYoY+5.7%の5兆5,000億円、営業利益はYoY+0.4%の9,750億円を見込んでいます。個人向けは値下げ傾向にくわえ、ソフトバンクブランドから、“受け皿”となるサブブランドへの移行が継続するとみられるほか、好調だった法人向けについても新型肺炎禍による一過性の端末購入・新規契約特需が沈静化しており、通信領域は先細り傾向が続きます。ヤフー/LINE事業については、子会社のZHDとLINEの経営統合効果がフル貢献するほか、引き続きメディア領域やEC物販の好調が継続する見通しです。なお、2月3日公表済の3Qの営業利益は8,212億円に達しているため、期初予算は走破圏と考えられます。

 

当社は2017年度より中期成長戦略「Beyond Carrier」を定めており、ベースインフラとなる通信事業を土台に、ヤフーやLINEといったサービス事業を重ね、更にその上にAIやテクノロジーで更に付加価値を足していくという脱・通信会社モデルを志向しています。特にグループ通信インフラ会社である当社は、会社単体では通信料値下げ潮流や人口減少の影響をモロに受ける領域のため、2019年にZHD(当時のヤフー)の第三者割当増資を4,500億円引き受ける形で、親会社傘下だったの同社を資本再構成により子会社化した経緯があります。

 

その後、ZHDはこの2021年3月にLINEとの経営統合したため、LINE親会社であったNAVERとの中間持株会社であるAHDに折半出資という形となり、AHD自体はZHDの65%程の持分があるものの、計算される持分ベースは44.6%→実効32.5%程に低下しているとみられます。他方、ZHDの方はこれまでアスクル、バリューコマース、一休、カービューといった上場(旧上場)子会社を公開買付等により次々と傘下に収めてきており、直近ではZOZOやイーブックイニシアティブも買収するなど、事業ドメインを着々と拡大しています。今後はこのZHD傘下のこれらサービスブランドとの有機的結合によるシナジー効果創出が成長のポイントとなります。

 

また、当社の投資論点のひとつであるPayPayについては、現状では2023年の上場が観測されています。最重要KPIであるPayPayの足許の決済回数はYoY+81%の16.6億回/半年と好伸しており、昨年10月の手数料有料化による解約率も0.2%(売上比では0.1%)に留まったことから、リスクイベントを無事に通過したものと解されます。現状当社はPayPayの持分を25%(SBGが50%、ZHDが25%)を有しているものの、優先株を転換する形で早ければ年内にも連結子会社化するものとみられます。当初、推定時価総額は1.5兆円ともされましたが、足許のtech企業の株価暴落もあり、何処までのバリュエーションが許容されるかは依然不透明な情勢です。

 

他方、株主還元については、翌2023年3月期までの総還元性向を85%、かつ減配なしと定めていることから、配当予想は年86円配当を据え置いています。基本的な通信料収入の減少と、減価償却費の減少の綱引きの構図かと思われますが、表記85%の達成を念頭におけば、遅くとも翌期の微増配が期待される状況ではあります。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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