【3492】タカラレーベン不動産投資法人/2nd_POを通過、安定アセットの組入増が期待される。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3492】タカラレーベン不動産投資法人(東証REIT) OP

現在値 118,600円/1株  P/E 20.9 P/NAV 1.09  2月分配/優待 8月分配/優待

タカラレーベンがスポンサー。オフィスと住宅を軸にホテルなども投資対象とする総合型。

予想分配金は2月末・8月末の年2回合計6,000円配で、分配金利回りは約5.05%となります。
 

タカラレーベン不動産投資法人は投資主優待制度を導入しており、2月末・8月末に10単元以上を保有する株主に対して、2,500円分のヤマダ電機優待券を進呈しておりますので、10単元保有時限定で配当優待利回りは最大で約5.48%となります。

業績を確認していきます。

■2020年2月期_第4期 営業収益 30.7億円、経常利益 17.0億円 DPU 3,694円

■2020年8月期_第5期 営業収益 27.5億円、経常利益 13.9億円 DPU 3,024円

■2021年2月期_第6期 営業収益 28.7億円、経常利益 15.0億円 DPU 3,100円

■2021年8月期_第7期 営業収益 30.6億円、経常利益 16.2億円 DPU 3,156円(10/13)

□2022年2月期_第8期 営業収益 33.5億円、経常利益 16.8億円 DPU 3,000円(10/13)

□2022年8月期_第9期 営業収益 33.9億円、経常利益 15.6億円 DPU 2,800円(10/13)

 

2021年8月期_第7期の営業収益は第6期比6.5%増の30.6億円、経常利益は8.0%増の16.2億円となり、対前期・対予算で増収増益となり、分配金は同56円増の3,156円となりました。第6期に4物件(3物件+α)を売り越しているため、大幅減収が避けられなかったものの、期初に「イオンスタイル尾道(底地)」、4月に「代々木一丁目ビル」を相次いで取得したほか、翌5月には「ビッグモーター札幌清田店(底地)」を期中取得し、これらがある程度穴埋めしました。また、「Almost Blue」の残り70%持分の売却にくわえ、期末に都立大レジも売却したため譲渡益が想定超となり、分配金が上振れました。

 

進行中の2022年2月期_第8期の見通しも修正しており、営業収益は第7期比9.5%増の33.5億円、経常利益は同4.1%増の16.8億円、分配金は同156円減の3,000円を見込んでいます。既存物件については、第7期取得物件の尾道、代々木一丁目、札幌清田が通期で寄与する一方、「Almost Blue」等の売却益の剥落が大きく響きます。他方、9月に2nd_POを実施して期初に12物件を合計263億円(償却後鑑定NOI4.1%)で取得しているほか、第7期に膨らんだ譲渡益を有税で内部留保して繰り越しているため、希薄化もある程度補って減配幅を食い止めます。

 

また今次公表の2022年8月期_第9期の予想については、営業収益が第8期比1.3%増の33.9億円、経常利益は同7.0%減の15.6億円、分配金は同200円減の2,800円を見込んでいます。第8期取得物件の巡行化や、オフィスビルの埋め戻しによる増収のほか、商業・ホテルの段階賃料・歩合賃料の発生を一定程度見込みます。他方、2021年取得物件の固都税費用化がフルでのしかかるほか、底地物件の組入割合増加による控除対象外消費税の増加も地味に重く、有税で繰り越した内部留保の吐き出しといった上乗せ要素があるものの、大幅減配となる見通しです。

 

上述のとおり当法人は本年9月に2nd_POを実施し、約121億円(@112,417円)を調達するとともに、一部自己資金も充当して、12物件を合計263億円(償却後鑑定NOI4.1%)で取得しています。本取組によるポートフォリオ全体の同利回りは4.0%で横ばいだったものの、築年数が22.1年→19.8年に若干若返ったほか、「アピタ名古屋南店」78億円(同4.6%)や「ビッグモーター鴻巣店底地」21.5億円(同4.5%)のほか、レジ8棟を取得したことにより、アセットタイプの賃料安定感が大きく増した点ではある程度は意義があるPOだったと解されます。

 

当法人は上場時から3~5年(2021年~2023年)を達成時期とした中期分配金目標として、一過性損益を排除した巡航分配金を当初の3,100円から、内部成長のみで3,300円、外部成長ありの場合で3,500円まで引き上げる計画としていました。然しながら、新型肺炎禍でホテル賃料が痛んで100円程削られているほか、オフィスや商業の賃料減免と空室区画発生が恒常化していることから、実勢ベースの巡行は2,700円を超える水準まで低下しています。

 

他方財務面については、当法人は鑑定上限LTVをなんと60%まで許容しており、現在のLTVは47.4%とPO後に悪化しており(要はレバレッジを活用している)、PO頼りの構図は続いています。ただ足許の株価水準でもNAVの113,379円を上回り、PO自体は可能と解されるため、今後はどちらかというと分配金成長よりも底地や賃貸住宅の組入れによる分配金の安定化とクオリティの向上が求められるところではあります。

 

*参考記事① 2021-06-14 122,900円 OP

【3492】タカラレーベン不動産投資法人/上場来高値接近でアクリーティブなPOへの期待高まる。

 

*参考記事② 2020-12-16  88,600円 OP

【3492】タカラレーベン不動産投資法人/UUR出身の宰田氏が代表就任、当面はレバ活用で対応か。

 

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