【9414】日本BS放送/アクティビストのRMBが増配提案も即否決、株主還元は硬直状態。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9414】日本BS放送 (東証一部)  NT

現在値 1,114円/100株  P/E 15.8 P/B 0.98 8月配当優待 2月優待

ビックカメラが親会社のBS放送会社。競馬中継など自社製作が5割。
配当金は8月末一括の20円配当のため、配当利回りは1.80%となります。

日本BS放送は株主優待制度を実施しており、2月末・8月末に単元株を保有する株主に対して、1,000円分のビックカメラ商品券を進呈しておりますので、配当優待利回りは3.60%となります。なお1年以上保有を継続した場合には、8月末に1,000円分の商品券を追加進呈していますので、その場合の利回りは約4.48%となります。

業績を確認していきます。

■2018年8月期連 売上高 124億円、経常利益 24.2億円 EPS 93円

■2019年8月期連 売上高 126億円、経常利益 16.9億円 EPS 65円 

■2020年8月期連 売上高 113億円、経常利益 21.9億円 EPS 83円 

■2021年8月期連 売上高 120億円、経常利益 27.4億円 EPS 104円 

■2022年8月期連 売上高 122億円、経常利益 18.1億円 EPS 70円 ce

□2021年2月2Q連 売上高 59.5億円、経常利益 10.6億円 EPS 41円 ce

 

2021年8月期の売上高は前期比5.4%増の120億円、経常利益は同24.9%増の27.4億円で着地し、期初の減収減益予算に対し、一転して増収増益となりました。新型肺炎禍により広告主の出稿マインドが当初低調していたものの、タイム収入が期央からは持ち直したほか、“巣ごもり需要”により通販市況が特に堅調に推移したため、スポット収入は大幅増となりました。他方、利益面についても再放送割合の増加や、全国紙・地方紙といった広告媒体ミックス変更で採算性が良化し、放送設備更新による年2億円の減価償却費増を飲み込んで大幅増となりました。

 

進行期である2022年8月期の見通しについては、売上高は前期比1.6%増の122億円、経常利益は同34.0%減の18.1億円と増収減益を想定しています。広告主の出稿マインドが回復基調にあるため、タイム収入は微増を見込んでいるほか、“巣ごもり”の長期化と視聴率改善で通販市況が依然好調なことからスポット収入も続伸する見通しです。他方、新型肺炎禍で抑制していた番組制作を本格再開するほか、広告宣伝費も改めて積み増すため、実に8億円超もの原価増を見込んでおり、大幅減益となる予算組みとなっています。なお、当社予算は通例トップラインが強めの一方、利益についてはかなり保守的に見積もる傾向があり、実際は売上・利益ともに横ばい圏と目されます。

 

当社は中期目標として(単体)売上高150億円を掲げていた時期があったものの、衛星メディア市場の拡大が止まったことから、定量目標の開示を取りやめています。現状、新型肺炎禍の巣ごもり需要によるTV通販番組の大活況や、再放送乱発による原価削減が効いているだけであり、見えズラ上は業績が底打ち・急回復しているものの、“追い風参考”という捉え方が実態に近いと思われます。

 

進行期は一応現行中計の最終年度となっており、「情報番組開発」、「アニメ強化」、「他社コラボ」、「新事業開発」、「特番強化」の5本の柱を重点施策に挙げています。特に特色あるアニメ分野については、既存の「Anison Days」や「アニゲー☆イレブン!」に加え、「AnimeJapan2021」への出展や「Animelo Summer Live」をドワンゴ・文化放送と共催し、独占配信することとしています。また、かねてより各種アニメ制作委員会への出資を進めてきたこともあり、この受取配当金収入も漸増してきています。新番組については「私たち鉄印帳はじめます。」や「偉人・素顔の履歴書」を今10月改編で投入しています。

 

財務状況については相変わらず盤石となっており、ほぼ無借金で110億円超の現預金を保有しているため、自己資本比率は90%に迫る水準をキープしています。自己資本が急速に積み上がる(そして減価償却費も多く現金も溜まりやすい)一方、配当金は僅か年20円止まりとなっています。4K/8K等の設備投資が今後も必要となることを理由に還元を渋っていますが、今後も親会社のビックカメラ側に特段の資金ニーズがないことが真意とみられます。こうした低還元に痺れを切らし、本年8月に日本コロムビアや三陽商会でも仕掛けたアクティビストのRMBが年50円配を株主提案しましたが、いかんせん3万株しか保有していなかったため、あえなく否決されています。


*参考記事① 2021-06-23 1,102円 NT

【9414】日本BS放送/巣ごもり需要によるTV通販好調で、かりそめの業績回復が継続。

 

*参考記事② 2020-12-24 1,074円 NT

【9414】日本BS放送/再放送割合増加で採算良化も、親会社の低関与姿勢が気掛かり。

 

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