【3172】ティーライフ/ロール後の中計は野心的な印象だが、配当性向については実質引き上げか。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3172】ティーライフ(東証一部)  OP

現在値 1,341円/100株  P/E 8.06  P/B 1.04 7月配当優待 1月配当

PB健康茶、化粧品をカタログ、ネットで販売。製品製造など外部委託。
配当金は年2回・合計52円配当のため、配当利回りは3.88%となります。

ティーライフは株主優待制度を導入しており、7月末の単元株主に対して1,000円分の株主優待券を進呈していますので、配当と合算した配当優待利回りは約4.62%となります。

業績を確認していきます。新収益認識基準に移行しています。

■2018年7月期 売上高 72.8億円、経常利益 4.7億円 EPS 99.6円 

■2019年7月期 売上高 92.8億円、経常利益 3.5億円 EPS 57.0円 

■2020年7月期 売上高 105億円、経常利益 5.2億円 EPS 99.0円 

■2021年7月期 売上高 117億円、経常利益 9.2億円 EPS 165.8円 

■2022年7月期 売上高 119億円、経常利益 9.6億円 EPS 166.5円 ce新収益

□2022年1月2Q 売上高 57.0億円、経常利益 4.9億円 EPS 94.1円 四e 

 

2021年7月期は売上高が前期比10.8%増の117億円、経常利益は同75.8%増の9.2億円と大幅な増益となり、増額した修正予算からも上振れました。小売事業については静岡産茶ノ実油配合の「hugm」が、卸売業ではTV通販において「高濃縮紅参サプリメント」や「INJUV」、「J.avecoti」が軒並み好調に推移し、大幅増となりました。また、不動産事業についても新規取得の掛川センターのテナント誘致による稼働率向上や、周辺業務として3PLの受注が拡大により大幅な増収となったほか、他社受託業務の効率化により収益性も一段と良化しています。


進行期である2022年7月期の見通しについては、売上高が1.6%増の119億円、経常利益は同4.8%増の9.6億円と微増益を予想しており、新収益基準への移行により従来基準より売上高が2億円程目減りしています。小売事業については、主力の健康茶及びヘアケア系商材の堅調推移が見込まれる一方、卸売業は“巣ごもり”の一巡でTV通販の一服が予想されるものの、「J’s kami高麗」が依然としてバカ売れしていることから、確りとした進捗が期待されます。他方、不動産事業については、袋井・掛川ともに満床稼働に達したことから賃貸区画の拡張に取り組んでいるものの、現時点での上積みは難しいものとみられます。


当社は直前の中計で2023年7月期に売上高112億円、経常利益7.6億円という数字を公表していたものの、新型肺炎禍のこの2年は“巣ごもり”需要による追い風により業績にブーストがかかってたこともあり、終わった2021年7月期でこの目標を超過達成しています。そのため、今次中計では最終年度となる3年後の2024年7月期に売上高を117億円→153億円へ、経常利益を9.2億円→14.5億円へ引き上げる計画にローリングしています。ただ数値的には足許の好況をベースにしたかなり野心的なものであり、現時点での達成可視性は高くないとみています。

 

中計戦略としては、①新商品開発による差別化、②MAの活用と海外(特に上海)開拓による外部成長、③DX推進による生産性強化の3点が重点施策として掲げられています。①の新製品開発については、当社主要顧客層の40代以降のミドル~シニア女性客に親和性が高いヘアケア事業において、つけまつ毛の「natuwig」、闘病患者向けの医療用ウイッグ、専用フィッティングアプリの「NatuFit」を既に開発済のため、ブランド育成と派生商品の拡大を図ります。③のDXについては、既に取り組んでいて効率化されている部分も大きいものの、伊勢丹への出店等に代表される所謂“OMO戦略”により裾野拡大を狙います。

 

他方、不動産事業については、グループのEC拠点とすべく2019年に約15億円を投じて延床9千坪級の掛川センターを取得していますが、自社利用だけでなく他社賃貸に出していることから、既存の袋井とともに既に満床状態となっています。そのため、これ以上は拡張しない限り賃貸区画が増えないものの、他EC事業者からの保管・発送・配送の業務受託といった3PL事業についてはまだ受託余地があることから、マテハン導入等によりこの辺の周辺業務受託の深堀りを図る計画です。


財務面については、掛川センター取得の際に借金をしたため若干悪化したものの、足許業績が絶好調であることから、追加的な株主還元に舵を切っています。上場来、大局的には増配基調【16→20→23→25→27→28→34→34→20→30円】にあったものの、終わった期は一気に年51円まで実に21円も大幅に引き上げています。それでも還元ポリシーの配当性向30%に則している(30.1%)ことから、今後は配当性向自体の引き上げによる増配が期待され、実際に進行期は31.2%水準の年52円が予想されています。

 

*参考記事① 2021-05-27 1,428円 OP

【3172】ティーライフ/“巣ごもりデブ”対策でダイエット茶好調、不動産事業も増勢。大増配。

 

*参考記事② 2020-12-02  1,330円 OP

【3172】ティーライフ/“巣ごもり”需要捉えて中計は前倒し圏、EC版BPO業を志向か。

 

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