【6061】ユニバーサル園芸社/法人向け低調も、巣ごもり個人で巻き返す。資本政策の改善に期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6061】ユニバーサル園芸社(東証JQS) OP

現在値 2,027円/100株 P/E 10.4  P/B 1.21   6月配当優待 12月優待

オフィスなどへの観葉植物レンタル大手。園芸・生花などの小売を拡大。
配当金は6月末の年1回20円のため、配当利回りは約0.99%となります。

 

ユニバーサル園芸社は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する6月末・12月末の株主に対しての株主に対してそれぞれ1,000円分のクオカードをそれぞれ進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.98%となります。

業績を確認していきます。   

■2018年6月期 売上高 73.5億円、経常利益 8.0億円 EPS 84.0円 

■2019年6月期 売上高 86.0億円、経常利益 9.5億円 EPS 104.1円 

■2020年6月期 売上高 91.1億円、経常利益 11.6億円 EPS 140.8円 

■2021年6月期 売上高 95.7億円、経常利益 13.4億円 EPS 152.5円 

■2022年6月期 売上高 107.2億円、経常利益 13.8億円 EPS 194.5円 ce

□2021年12月2Q 売上高 50.1億円、経常利益 5.4億円 EPS 66.9円 ce

2021年6月期の売上高は前期比5.0%増の95.6億円、経常利益は同15.4%増の13.4億円となり、売上は予算ビタだった一方、経常利益は上振れ着地となりました。主力のグリーン事業については、海外を中心に新型肺炎影響により、新築オフィス・ホテルの契約キャンセルや閉店に契約解除、国内についても既存リース案件の条件見直しにより軒並み減収減益となりました。他方、卸売事業・小売事業については、テレワークや外出自粛にともない個人向けの巣ごもり需要が旺盛に推移したほか、ネット販売も好調に推移しました。本来的にはグリーン事業が好採算であるものの、赤字だった小売業が黒転した効果が大きく、売上の入り繰りはあってもミックスの良化で利益が上振れた格好です。


進行期である2022年6月期通期の予算については、売上高が11.8%増の107.0億円、経常利益は3.6%増の13.8億円を予想しています。グリーン事業については、引き続き海外を中心に契約キャンセルが見込まれるほか、国内もオフィス向けの低調が予想され、不要不急の嗜好品であることから回復も鈍くなる見通しです。その一方で、卸売事業・小売事業については、旺盛な個人需要を背景に、昨年11月出店の「the Farm」銀座店や本年3月出店の同くずはモール店の寄与、並びに付帯農園を増設(※後述)した茨木店の上乗せ等が見込まれ、不調のグリーン事業を補って全社では増収増益まで持ち上げる計画です。

 

当社は中期的な目標として、終わった2021年6月期の売上高100億(CAGR14%)、経常利益を13.0億円(CAGR15%)を中期目標としていたものの、トップライン未達ながら利益は過達となり、概ね達成となりました。更に先の目標としては、2026年6月期に売上高300億円、経常利益30億円を掲げています。拠点である大阪・茨木を軸に、関東圏の深耕を進めるとともに、ギフト向け等の園芸関連商品の拡販を図る方針です。昨今の新型肺炎禍では巣ごもり対応で特に小売事業に注力しており、南町田に開業した飲食併設型の小売店「the Farm」のほか、茨木の本店には体験型のいちご園を3号ハウスまで増設するなど業容を広げています。

 

MA活用による外部成長については、2015年・2016年にアメリカで一部事業の譲受を含む3社、2018年にはシンガポールのミラージュ社(年商5.6億円・営業益4千万円)、園芸ネット社(年商5.1億円・営業益2千万円)を買収しています。また、2020年には植木・花卉・種苗の生産を行う川口市の小林ナーセリー(年商2.5億円・利益非開示)の事業譲受を受け、未進出だった生産分野に本格的に進出しています。5年後の業績目標である経常利益30億円はオーガニックだけ伸ばせるような目標感ではなく、かようなMAが必ず必要となりますが、当社の場合は現状でも好調な小売事業でうまく凌げているので、新型肺炎禍で苦境に陥った中小園芸事業者を安く買収する好機が到来しているもの考えています。

 

他方、配当については据置の年20円を予想しています。当社は実質無借金で極めて良好な財務状況を維持していることから、配当性向が2割(今期予想10.3%)を大きく下回っている現状は明らかに還元不足となっています。自己資本比率も81.9%にのぼり、手許現金は39億円もあるので、借入を起こせばかなりの大型買収でも出来てしまう状況のため、買収にせよ還元にしろダイナミックな資本政策が期待される局面ではあります。

 

*参考記事① 2021-05-18 1,940円 OP

【6061】ユニバーサル園芸社/海外で解約相次ぐも、巣ごもり需要増勢で想定超で巻き返す。

 

*参考記事② 2020-11-09 1,828円 OP

【6061】ユニバーサル園芸社/海外低調だが財務盤石で“勝ち残り”へ、業容拡大の好機続く。

 

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