【9287】ジャパン・インフラファンド投資法人/固定資産税費用化が重く、利益超過分配が更に上昇。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9287】ジャパン・インフラファンド投資法人(東証インフラ) OP

現在値 100,000円/1株  P/E 29.7 P/B 1.11 5月分配 11月分配

丸紅をメインスポンサーとするインフラファンド。サブスポンサーはみずほ銀行、みずほ信託。
予想分配金は5月・11月の年2回の合計5,834円配のため、分配金利回りは約5.83%となります。

業績を確認していきます。

■2020年05月期_第1期 営業収益 3.82億円、経常利益 0.41億円 DPU 1.171円

■2020年11月期_第2期 営業収益 6.01億円、経常利益 1.83億円 DPU 2,977円 

■2021年05月期_第3期 営業収益 8.90億円、経常利益 1.90億円 DPU 2,950円 

□2021年11月期_第4期 営業収益 10.87億円、経常利益 2.98億円 DPU 2,924円 ce修正

□2022年05月期_第5期 営業収益 9.74億円、経常利益 1.56億円 DPU 2,910円 ce

2021年5月期_第3期の営業収益は期初予算比32百万円減の8.90億円、経常利益は同12百万円増の1.90億円となりました。分配金(DPU)に関しては、当初予想の2,904円→2,950円(うち利益超過分配;OPD1,540円)へと46円上振れしました。営業収益については、日本海側の12月・1月の降雪や5月の天候不順により、計画比99.2%に留まったため変動賃料が減収となりました。他方、原価面では降雪対応費用の発生があった一方、保険料収入や各種費用見直し、信託受益権化費用の取得簿価算入(固定資産化)等により、トップライン減収を飲み込み、純益ベースでは予算を上回って増配となりました。


進行期である2021年11月期_第4期の予算は微修正しており、営業収益が第3期比22.1%増の10.87億円、経常利益は同56.1%増の2.98億円、DPUは同26円減となる2,924円(うち利益超過分配;OPD717円)を新たに予想しています。トップラインの大幅増収は季節要因と1st_PO(※後述)取得物件のフル寄与によるものであり、従来予想に比べてDPUが5円増加していますが、これは費用見直しによるものです。

 

翌2022年5月期_第5期の予算も開示しており、営業収益が第4期比10.4%減の9.74億円、経常利益は同47.4%減の1.56億円、DPUは同14円減となる2,910円(うち利益超過分配;OPD1,753円)を新たに予想しています。トップラインが季節要因で減収となるほか、原価面でも1st_PO取得物件の固都税費用化開始により収支の大幅悪化が想定されます。そのため、同様に夏場を挟まない直近の閑散期であった第3期比からOPDを213円積み増し減配幅を抑制し、減価償却費に対するP/Oレシオは54.4%とかなり高い水準となる見通しです。

 

当法人は昨年末に1st_POを実施しており、50.9億円(@89,992円)を調達し、10物件・95.2億円分を新規取得しています。今次POにより資産規模を約2倍に成長させるとともに、広域取得により北陸電力管内の偏在リスクを相当程度分散(従前82%→44%)させています。LTVは今次POでレバレッジを活用したため、37.9%→44.0%(足許43.5%)まで一気に上昇させていますが、軒並み50%を超えている他インフラファンドよりは低位に留まっているため、財務的にはまだ余裕がある状況です。

 

当法人は中期的に現在の資産規模200億円弱(57.2MW)を1,000億円まで膨らませる目標を掲げていますが、丸紅・みずほ銀・プロスペックAZ・みずほ丸紅リースといったスポンサー各社のパイプラインは、現在の資産規模の3倍強(200MW)を確保出来ているので当面は問題の無い状況です。一方、分配金政策については、他インフラファンド比で平均的なOPD水準だったものの、上述のとおり翌第5期で大幅な吐き出しに踏み切る方針であり、同比重の高いエネクス・インフラ(9286)に迫る水準となります。そのため、現在の年5,800円を超えるDPU水準は巡行水準とは言い難く、本来の実力値は100円~200円ほど下にあるものと考えています。

 

*参考記事① 2021-03-25 99,000円 NT 

【9287】ジャパン・インフラファンド投資法人/1stPOを無事通過、“実力強化”に期待。

 

*参考記事② 2020-10-20 103,900円 NT

【9287】ジャパン・インフラファンド投資法人/分配金年6,000円水準には早晩到達の公算。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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