【7921】TAKARA&COMPANY(東証1部) NT
現在値 1,740円/100株 P/E 13.4 P/B 1.01 5月配当優待 11月配当
上場企業のディスクロージャー事業大手。上場準備から継続開示まで。
配当金は5月末・11月月の年2回計58円のため、配当利回りは3.33%となります。
宝印刷は株主優待制度を導入しており、5月末に100株以上を保有する株主に対して、1,500円分のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.19%となります。なお、3年超継続して保有する場合は、長期特典により2,000円相当のカタログギフトにグレードアップしますので、その場合の利回りは約4.48%となります。
業績を確認していきます。
■2018年5月期 売上高 157億円、営業利益 15.3億円 EPS 99.3円
■2019年5月期 売上高 182億円、営業利益 17.8億円 EPS 110.6円
■2020年5月期 売上高 191億円、営業利益 22.4億円 EPS 139.0円
■2021年5月期 売上高 247億円、営業利益 27.0億円 EPS 130.1円
■2022年5月期 売上高 260億円、営業利益 28.0億円 EPS 129.0円 ce
□2021年8月1Q売上高 77.2億円、営業利益 18.0億円 EPS 86.6円(9/30)
□2021年11月2Q売上高 140億円、営業利益 17.5億円 EPS 76.2円 四e
2021年5月期通期の売上高は前期比29.6%増の247億円、営業利益は同20.5%増の27.0億円となり、2桁の増収増益となったものの、期初予想比では減収増益となりました。ちょうど前期末の頃に新型肺炎禍が本格化したこともあり、開示事業の会社法関連領域で株主総会が後ろ倒しされたため、期ズレにより多額の売上が顕在化されました。一方、IR領域については任意作成資料の不作成傾向がみられ減収となり、その他領域については優待廃止企業増の影響を受けたものの、個人投資家数の増加で横ばい確保となりました。また、2020年3月に買収したサイマル社(※後述)がフルで連結貢献しており、トップラインが大きく伸長しています。
進行中の2022年5月期の予算については、売上高が4.9%増の260億円、営業利益は同3.4%増の28.0億円を見込んでいます。開示事業における金商法領域は、EDINET開示資料作成ツールの上位後継機種「WizLabo」のリプレイスと販売増が見込まれるほか、会社法領域も期ズレ分が剥落するものの、頁数・部数の増加で埋める見通しです。通訳・翻訳事業についても、新型肺炎禍の一巡により、海外RS/IRや各種イベントの復活により続伸が見込まれます。なお、9月30日に既に開示済の最繁忙期である1Qは、売上高77.2億円&営業利益18.0億円と順調な進捗が確認され、少なくとも利益予算については達成公算が高いとみられます。
進行期は2023年5月期を最終年度とする3年中計の中間年度となっており、最終的に売上高300億円(CAGR16%)、営業利益29億円(CAGR10%)を目指しています。取組事項としては、開示領域における専門性強化や周辺業務受託によるワンストップサービス体制構築と、通訳・翻訳領域のサービス強化を挙げています。足許ではMAを積極化させており、2019年に創業55年の老舗翻訳会社で多言語ローカライズを得意とする十印を買収したほか、昨年はベネッセ子会社で業界首位級のサイマル社(年商50億円・営業利益1億円)に50億円の巨費を投じて買収しており、業容を急速に拡大させています。通訳・翻訳は新型肺炎禍による大規模IRカンファレンスの中止等により相当なダメージを受けたものの、足許の正常化や海外リモートIRの定着により採算性の急回復が期待されます。
相次ぐ買収への財務的手当として、昨年9月に自社株式とOA新株の合計1,955千株を売出し、約41億円の調達を済ませ、MAの借入金返済等に充当するなどしています。MA以外の従来分野の取り組みとしては、IR領域において増加する統合報告書のニーズの取り込み強化や、金商法領域における東証市場再編対応コンサル業務の受注拡大に取り組んでいます。これらの相次ぐ取組により、中計に掲げる定量目標は少なくとも利益予算については達成可能性が高まったとみています。
なお配当については、4円の記念増配により年58円配を予想しており、公表配当性向である40~50%のレンジ内に収まる44.9%水準での配当予想となっています。
*参考記事① 2021-03-17 1,820円 NT
【7921】TAKARA&COMPANY/ベネッセからサイマル社買収で業容拡大、改めて増配期待。
*参考記事② 2020-10-27 2,037円 NT
【7921】TAKARA&COMPANY/ 高株価活かした“自社株売り”の資本増強は評価したい。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
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