【7921】TAKARA&COMPANY(東証1部) NT
現在値 2,037円/100株 PER14.2 PBR1.35 5月配当優待 11月配当
上場企業のディスクロージャー事業大手。上場準備から継続開示まで。
配当金は5月末・11月月の年2回計54円のため、配当利回りは2.65%となります。
宝印刷は株主優待制度を導入しており、5月末に100株以上を保有する株主に対して、1,500円分のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.38%となります。なお、3年超継続して保有する場合は、長期特典により2,000円相当のカタログギフトにグレードアップしますので、その場合の利回りは約3.63%となります。
業績を確認していきます。
■2017年5月期 売上高 151億円、営業利益 14.7億円 EPS 96.8円
■2018年5月期 売上高 157億円、営業利益 15.3億円 EPS 99.3円
■2019年5月期 売上高 182億円、営業利益 17.8億円 EPS 110.6円
■2020年5月期 売上高 191億円、営業利益 22.4億円 EPS 139.0円
■2021年5月期 売上高 265億円、営業利益 25.0億円 EPS 143.0円 ce
□2020年8月1Q売上高 78.4億円、営業利益 16.3億円 EPS 84.8円(10/1)
□2020年11月2Q売上高 135億円、営業利益 15.0億円 EPS 78.8円 ce
2020年5月期の売上高は前期比4.7%増の191億円、営業利益は同26.3%増の22.4億円となり、期初予想を上回って2割強の増益を果たしました。当社は証券会社同様に株式市場の感応度が高い銘柄であり、新型肺炎の影響により日経平均は16,000円~24,000円と大きなレンジ内での荒い値動きとなったため、事業環境としては不安定な一年となりました。然しながら、金商法関連においてEDINET開示資料作成ツールの顧客が増加したほか、これら決算・開示業務にかかるBPOニーズの取り込みに成功し、新型肺炎の影響で総会が後ろ倒しとなり、招集通知やその他関連売上が期ズレしてしまった会社法関連の低調を補いました。また、IR関連では統合報告書の受託が引き続き順調に推移しました。
進行期である2021年5月期の予算については、売上高が38.6%増の265億円、営業利益は同11.2%増の25.0億円と大幅な増収を見込んでいます。有価証券報告書の納期が集中する6月を跨ぐ1Qが一番の繁忙期となりますが、10月1日に既に開示がなされており、売上高が前年同期比21.4%増の78.4億円、営業利益は同23.0%増の16.3億円で進捗しています。金商法関連についてはEDINET開示資料作成ツールの対象拡大や顧客増による売上増が続いているほか、会社法関連についても期ズレしていた招集通知の受注分が顕在化しました。また通訳・翻訳事業については、この3月末に完全子会社化したサイマル社(※後述)がこの1QからP/Lの連結を開始したため、フルで寄与しています。そのため、繁忙期の1Qが順調に推移している点や、新型肺炎禍でも株式市場が堅調に推移しており、IPOも例年並みかそれ以上に出てくる観測もあることから、2桁の増収増益を掲げる会社予算は手堅くクリアされうるものと考えています。
実績期は3年中計の最終年度であり、定量目標として売上高191億円(CAGR8%)、営業利益19億円(CAGR11%)を目標としていましたが、計画3年間における単年の業績目標も全てクリアした上で、最終的な利益については計画比で2割近く上振れて超過達成しました。これは開示領域における金商法関連のツールの拡張と顧客の増加にくわえ、BPO・翻訳事業・HP/IRサイトの制作といった周辺領域での受注が拡大したことに由ります。制度開示シェアやIPO案件獲得などは同業のプロネクサスに押されがちではあったものの、この3年間は株式市場もまずまず堅調に推移したことも追い風となりました。
今般開示の2023年5月期を最終年度とする新3年中計では、売上高300億円(CAGR16%)、営業利益29億円(CAGR10%)を業績目標に掲げています。取組事項としては、開示領域における専門性強化や周辺業務受託によるワンストップサービス体制構築と、通訳・翻訳領域のサービス強化を挙げています。具体的には足許でMAを積極化させてきており、2019年には創業55年を誇る老舗翻訳会社で多言語ローカライズを得意とする十印を買収して完全子会社化したほか、この3月にはベネッセ子会社で通訳・翻訳事業を手掛ける業界首位級のサイマル社(年商50億円・営業利益1億円)に50億円弱の巨費を投じて完全子会社化しており、業容を急速拡大させています。
かような背景もあって、この9月には自社株式1,700千株(及びOA新株255千株)を売出し、約41億円の調達を済ませ、MAの借入金返済等に充てるなどしています。当社は本件サイマル社の買収迄は70億円程のネットキャッシュがダブついた状況でしたが、買収価格の是非はともかくとしてもついに活用に動いた意義は大きく、今次自社株売りにしても安値で買い集めた自社株を上場来高値圏で売出した格好となるので、評価出来るものと考えています。そのため配当については、やっと4円の増配に踏み切って年54円となったものの、当面はこの水準の横ばいがコンフォータブルと考えています。
*参考記事① 2019-10-21 1,707円 NT
年54円配に増配だが、もう一段の還元強化に期待・宝印刷(7921)。
*参考記事② 2018-10-25 1,840円 NT
日経の来期4円増配報道否定も、還元強化は規定路線か・宝印刷(7921)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。