【7921】TAKARA&COMPANY/ベネッセからサイマル社買収で業容拡大、改めて増配期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7921】TAKARA&COMPANY(東証1部) NT 

現在値 1,820円/100株  P/E 13.7 P/B 1.14 5月配当優待 11月配当

上場企業のディスクロージャー事業大手。上場準備から継続開示まで。
配当金は5月末・11月月の年2回計54円のため、配当利回りは2.97%となります。

宝印刷は株主優待制度を導入しており、5月末に100株以上を保有する株主に対して、1,500円分のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.79%となります。なお、3年超継続して保有する場合は、長期特典により2,000円相当のカタログギフトにグレードアップしますので、その場合の利回りは約4.06%となります。

業績を確認していきます。

■2017年5月期 売上高 151億円、営業利益 14.7億円 EPS 96.8円 
■2018年5月期 売上高 157億円、営業利益 15.3億円 EPS 99.3円 

■2019年5月期 売上高 182億円、営業利益 17.8億円 EPS 110.6円 

■2020年5月期 売上高 191億円、営業利益 22.4億円 EPS 139.0円 

■2021年5月期 売上高 265億円、営業利益 25.0億円 EPS 143.0円 ce
□2020年11月2Q売上高 128億円、営業利益 15.6億円 EPS 72.0円(12/25)

2020年10月中間期の売上高は前年同期比21.3%増の128億円、営業利益は同10.6%増の15.6億円となり、2桁の増収増益となったものの、期初予想比では減収増益となりました。ちょうど前期末の頃に新型肺炎禍が本格化したこともあり、開示事業において特に会社法関連領域が総会後ろ倒しの影響を受け、期ズレによりこの1Qに多額の売上が顕在化されました。一方、IR領域については任意作成資料の不作成傾向がみられ減収となったほか、株主優待制度の廃止傾向によりその他領域も減収となりました。なお、今期から昨年3月に買収したサイマル社(※後述)がフルで連結貢献しており、トップラインが大きく伸長しています。


2021年5月期の通期見通しについては期初のものを据え置いており、売上高が前期比38.6%増の265億円、営業利益は同11.2%増の25.0億円を見込んでいます。開示事業における金商法領域についてはEDINET開示資料作成ツールの対象拡大や顧客増による売上増が続いているほか、会社法領域についても上述のとおり期ズレ分の顕在化が寄与します。また通訳・翻訳事業についても、買収したサイマル社が1QからP/L連結を開始しているため、大幅な増収となります。一方、利益面については、通訳・翻訳事業のP/L連結時期のタイムラグにより、新型肺炎禍によるイベント中止等の影響を受け採算性が悪化するほか、印刷機取得・サーバーの増強により減価償却費が嵩むため、利益の伸びは鈍くなる見込みです。


今期は2023年5月期を最終年度とする3年中計の初年度となっており、定量目標として売上高300億円(CAGR16%)、営業利益29億円(CAGR10%)を目指しています。取組事項としては、開示領域における専門性強化や周辺業務受託によるワンストップサービス体制構築と、通訳・翻訳領域のサービス強化を挙げています。足許ではMAを積極化させており、2019年には創業55年を誇る老舗翻訳会社で多言語ローカライズを得意とする十印を買収して完全子会社化したほか、2020年3月にはベネッセ子会社で通訳・翻訳事業を手掛ける業界首位級のサイマル社(年商50億円・営業利益1億円)に50億円弱もの巨費を投じて完全子会社化しており、業容を急速に拡大させています。

 

かような背景もあって、昨年9月には自社株式1,700千株(及びOA新株255千株)を売出し、約41億円の調達を済ませ、MAの借入金返済等に充てるといった資本政策も実施しています。このような“飛び道具”以外のオーガニックな取組としては、会社法領域において新型肺炎禍にともなうオンライン株主総会や決算説明会支援業務に注力するほか、金商法領域においては東証の市場再編にともなう指定替え対応コンサルティング業務の受注拡大を狙う方針です。全般的に競合のプロネクサスに押されがちな当社ですが、どちらかというと通訳・翻訳関係で差別化していく方針とみられますが、サイマル社の大型買収はあったものの、中計に掲げる数値目標はややハードルが高い様な印象を受けます。

 

なお配当については、前期に4円の増配に踏み切って年54円配となったものの、公表配当性向である40~50%を割り込む37.8%水準での配当予想となっています。会社側では新型肺炎禍による不透明感を配当据置の理由としていますが、(自社株売りもあって)自己資本比率は7割を超えていることから、やはりいくらか上乗せがあると考えており、落着で年56~58円配が視野に入ろうかと思います。

 

*参考記事① 2020-10-27 2,037円 NT

【7921】TAKARA&COMPANY/ 高株価活かした“自社株売り”の資本増強は評価したい。

 

*参考記事② 2019-10-21 1,707円 NT

年54円配に増配だが、もう一段の還元強化に期待・宝印刷(7921)。

 

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