【3287】星野リゾート・リート投資法人/株価急伸で何を買ってもアクリーティブ、外部成長の好機。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3287】星野リゾート・リート投資法人 投資証券(東証REIT) NT

現在値 740,000円/1株 P/E 55.0  P/NAV1.44  4月分配 10月分配

星野リゾートをスポンサーとするホテル特化型。LTV35%近傍など堅実な財務戦略。

 

予想分配金は年2回の合計12,377円配で、分配金利回りは約1.81%となります。

星野リゾート・リートはかつて投資主優待制度がありましたが、既に廃止されています。

業績を確認していきます。

■2019年10月期_第13期 営業収益 60.8億円、経常利益 29.2億円 DPU 13,173円 
■2020年04月期_第14期 営業収益 61.5億円、経常利益 29.5億円 DPU 13,301円 

■2020年10月期_第15期 営業収益 60.2億円、経常利益 28.5億円 DPU 12,860円

■2021年04月期_第16期 営業収益 45.9億円、経常利益 14.2億円 DPU 6,608円(6/15)

□2021年10月期_第17期 営業収益 48.3億円、経常利益 14.2億円 DPU 6,344円 ce修正

□2022年04月期_第18期 営業収益 51.1億円、経常利益 16.0億円 DPU 7,110円 ce

 

2021年4月期_第16期については、営業収益が第15期比23.8%減の45.9億円、経常利益が同50.2%減の14.2億円とほぼ予算通りの着地となり、分配金は同6,454円減の減配となるものの、対予算で+16円の上振れとなりました。第16期の歩合賃料の対象期間は2020年9月までとなるため、新型肺炎の影響が出るものの、海外旅行の代替需要として高単価客層を捉えた星野運営の「星のや(特に軽井沢・富士)」、「界」、「リゾナーレ(特に八ヶ岳・熱海)」については尻上がりに復調しました。一方、「ハイアット」、「ANAクラウンプラザ」、「ザ・ビー」といった歩合賃料の重い星野以外については市場平均並みの落ち幅となったため、好調な星野運営で下支えした格好となります。

 

進行中の2021年10月期_第17期の見通しについては微増額しており、営業収益は第16期比5.4%増の48.3億円(従予:45.1億円)、経常利益は同50.3%減の14.2億円(従予:13.2億円)に修正したほか、分配金予想も同62円減の6,344円(従予:5,987円)へ修正しているものの、依然として従前の半分程度の分配金水準となります。売上歩合賃料の算出期間は2021年3月までとなるため、全期間で新型肺炎の影響を色濃く受けるものの、星野運営の「星のや」や「界」、「リゾナーレ」のRevPARについては直近12ヶ月で104%水準を確保しており、歩合賃料も確保されました。他方、完全歩合の「ハイアット」や「ザ・ビー」など星野以外物件が足を引っ張る構図が続きます。

 

今回公表した翌2022年4月期_第18期の予想については、営業収益が第17期比5.7%増の51.1億円、経常利益は同12.1%増の16.0億円、分配金は同766円増の7,110円を見込んでいます。売上歩合賃料の算出期間は2021年9月までであり、緊急事態宣言の足許の営業状況が賃料に反映される形となりますが、既存物件に関しては底這い前提とみられます。それでも増収増益となるのは、本年6月に27.5億円(鑑定NOI6.1%)で取得した「界 長門」が歩合除きで通期寄与するほか、“三角取引”(※後述)による収入上乗せに由ります。

 

当法人は本年6月に福岡の地場大手デべである福岡地所、及び同社が主スポンサーである福岡リート(8968)と三角取引を実施しており、ANAクラウンプラザホテルを77億円で福岡地所に譲渡する一方、福岡リートからグランドハイアット(GH)福岡の準共有持分88.28%を77億円(鑑定NOI8.3%)で取得しています。本取引により、博多駅近の築古物件を手放した一方、20年程築年の浅いキャナルシティの物件を手に入れ、一応はNAVも膨らんだ格好となります。ただ新型肺炎禍によるインバウンド低調でキャナルシティの館全体の集客力が現状著しく低下しているため、七隈線延伸による新駅効果など、やや中長期的な時間軸でみる必要がありそうです。

 

当法人は中長期的な目線として、年間分配金を+4%程度増配させつつ、物件年間200~250億円買っていくことでAUM2,000億円を目標としていましたが、現状では1,656億円となっています。ただ足許の投資口価格の急回復により、P/NAVは1.44倍、インプライド・キャップレートも3%前半に落ちているため、もはやどんな利回りで物件を買っても利回り的にはアクリーティブな状況となっています。

 

LTVのコントロールレンジは上限40%、足許のLTVは38%程度のため、残りの取得余力は54億円程と試算されますが、あくまでPOによる外部成長が基本線です。スポンサーである星野運営のパイプラインが700億円程あるほか、これとは別に「星のや沖縄」「OMO7大阪新今宮」等が含まれる政投銀共同ファンドの分を含めると1,000億円は下らないとみられ、超築浅・低利回りの星野物件を組み入れた大規模POによる外部成長チャンスとなっています。

 

*参考記事① 2021-03-10 597,000円/1株 NT

【3287】星野リゾート・リート投資法人/マイクロツーリズム潮流で脚光、改めてPO期待。

 

*参考記事② 2020-10-06 547,000円 NT

【3287】星野リゾート・リート投資法人/NAV1.0倍を回復、POによる外部成長復活を再意識。

 

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