【3287】星野リゾート・リート投資法人/マイクロツーリズム潮流で脚光、改めてPO期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3287】星野リゾート・リート投資法人(東証REIT) NT

現在値 597,000円/1株 PER48.2  P/NAV1.16  4月分配 10月分配

星野リゾートをスポンサーとするホテル特化型。LTV35%近傍など堅実な財務戦略。

 

予想分配金は年2回の合計12,377円配で、分配金利回りは約2.07%となります。

星野リゾート・リートはかつて投資主優待制度がありましたが、既に廃止されています。

業績を確認していきます。

■2019年4月期_第12期 営業収益 59.2億円、経常利益 28.7億円 DPU 12,974円

■2019年10月期_第13期 営業収益 60.8億円、経常利益 29.2億円 DPU 13,173円 
■2020年4月期_第14期 営業収益 61.5億円、経常利益 29.5億円 DPU 13,301円 

■2020年10月期_第15期 営業収益 60.2億円、経常利益 28.5億円 DPU 12,860円(12/15)

■2021年4月期_第16期 営業収益 45.9億円、経常利益 14.1億円 DPU 6,390円 ce修正

■2021年10月期_第17期 営業収益 45.1億円、経常利益 13.2億円 DPU 5,987円 ce修正

 

2020年11月期_第15期については、営業収益が第14期比2.2%減の60.2億円、経常利益が同3.3%減の28.5億円と予算通りの着地となり、分配金は同442円減の12,860円と減配となるものの、対予算で+107円の上振れとなりました。第15期の歩合賃料の算出期間は2020年3月までとなるため、新型肺炎の影響を一部受けたものの、星野運営の「星のや」や「界」、「リゾナーレ」についてはRevPARが80~120%で推移したことから歩合賃料が確保されました。一方、完全歩合の「ハイアット」や「ザ・ビー」については、昨年初からインバウンド、国内レジャー客、ビジネスの全てで苦戦したため、堅調な星野物件の足を引っ張りました。なお、予算比の上振れはほぼ費用減に由ります。

 

進行中の2021年4月期_第16期予算についてはこのタイミングで増額しており、営業収益が第15期比23.8%減の45.9億円(従予:43.4億円)、経常利益は同50.3%減の14.1億円(従予:11.3億円)に修正しています。分配金予想も同6,470円減となる6,390円(従予:5,107円)と増額したものの、従前の半分程度の水準となります。第16期の歩合賃料の対象期間は2020年9月までとなるため、新型肺炎の影響が色濃く出るものの、星野運営の「星のや」、「界」、「リゾナーレ」については9月にかけて尻上がりに復調し、昨対勝ちするなど好調に推移したことによる上振れが寄与します。一方、「ハイアット」、「ANAクラウンプラザ」、「ザ・ビー」といった歩合賃料の重い星野以外については市場平均並みの落ち幅となったため、好調な星野運営で下支えする格好となります。

 

翌2021年10月期_第17期の予想については、営業収益が第16期比1.6%減の45.1億円、経常利益は同6.3%減の13.2億円と続落を予想しており、分配金予想については同403円減の5,987円を見込んでいます。第17期の歩合賃料の対象期間は2021年3月までとなるため、年初の緊急事態宣言の再発出といったダウンサイド影響が想定されるものの、歩合賃料については保守的に織り込んでいるものとみられます。昨年11月に星野運営の「界 遠州」を10.5億円を償却後5.9%という高利回りで取得出来ているため、フル寄与するこの第17期は157円分の分配金押し上げ効果があります。

 

当法人は新型肺炎禍前よりレバレッジが低い安定運用をしていたため、従来のLTVのコントロールレンジを35%→上限40%に引き上げてPOに由らない形で物件取得していますが、「界 遠州」取得後のLTVは38%強とみられ、残りの取得余力は60億円程と試算されます。本法人はPOによる外部成長が基本シナリオとなっており、スポンサーである星野運営のパイプラインが700億円程あるほか、これと別に「星のや沖縄」や話題の「OMO7大阪新今宮」を含む政投銀との共同ファンドのパイプラインが600億円程(うち4割は開発案件)あるため、玉は十分に用意されています。

 

中長期的な目線として、年間分配金を+4%程度増配させつつ、物件年間200~250億円買っていくことでAUM2,000億円を目標としていましたが、現状では1,628億円となっています。ただ足許の投資口急回復により、P/NAVは1.16倍、インプライド・キャップレートも4%台前半まで落ちているので俄然POによる成長期待が高まっている状況であり、新型肺炎の影響をモノともしない評価の高い星野物件の組入れ比率増加といった、他のホテルREITとはひと味違うエクイティ・ストーリーに期待したいと思います。

 

*参考記事① 2020-10-06 547,000円 NT

【3287】星野リゾート・リート投資法人/NAV1.0倍を回復、POによる外部成長復活を再意識。

 

*参考記事② 2020-03-24 283,600円 OP

【3287】星野リゾート・リート投資法人/LTV引き上げで対応も、外部成長に手詰まり感。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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