【3287】星野リゾート・リート投資法人(東証REIT) NT
現在値 547,000円/1株 PER30.6 P/NAV1.04 4月分配 10月分配
星野リゾートをスポンサーとするホテル特化型。LTV35%近傍など堅実な財務戦略。
予想分配金は年2回の合計17,860円配で、分配金利回りは約3.27%となります。
星野リゾート・リートはかつて投資主優待制度がありましたが、既に廃止されています。
業績を確認していきます。
■2018年10月期_第11期 営業収益 58.0億円、経常利益 28.3億円 DPU 12,796円
■2019年4月期_第12期 営業収益 59.2億円、経常利益 28.7億円 DPU 12,974円
■2019年10月期_第13期 営業収益 60.8億円、経常利益 29.2億円 DPU 13,173円
■2020年4月期_第14期 営業収益 61.5億円、経常利益 29.5億円 DPU 13,301円
■2020年10月期_第15期 営業収益 60.2億円、経常利益 28.3億円 DPU 12,753円 ce修正
■2021年4月期_第16期 営業収益 43.4億円、経常利益 11.3億円 DPU 5,107円 ce
2020年4月期_第14期の営業収益については第13期比1.2%増の61.5億円、経常利益が1.0%増の29.5億円となりほぼ予算通りの着地となりました。当法人特有の歩合賃料のタイムラグにより歩合賃料については新型肺炎の影響を受けておらず、「2018年の」地震や台風による影響を受けたほか、大阪の大量供給による需給悪化(H&R大阪本町、完全歩合のハイアットリージェンシー大阪)や日韓関係悪化によるマイナス影響を受けました。その一方、軽井沢・那覇(※後述)の2物件の取得や修繕費の見直しにより穴埋めし、分配金については第13期比128円増、予算比でもで68円増となる13,302円と上振れでの着地となりました。
進行中の2020年10月期_第15期の予算については、営業収益が第14期比2.2%減の60.2億円、経常利益が同4.1%減の28.3億円を予想しています。分配金予想については、同549円減の12,753円に修正しており、従前開示予想との比較では487円の減少となります。第15期の歩合賃料の対象期間は2020年3月までとなるため、新型肺炎の影響を一部受けるものの、星野運営の「星のや」や「界」、「リゾナーレ」についてはRevPARが80~120%で推移するなど、市場対比で健闘したため相当程度の歩合賃料が確保されたとみられます。一方、完全歩合の「ハイアット」や「ザ・ビー」についてはインバウンド、国内レジャー客、ビジネスの全てで苦戦し、足を引っ張った模様です。既述のとおり、当法人についてはタイムラグの影響が強くでるため、第15期については概ね表記の微減配水準で着地するものとみられます。
そして注目の翌2021年4月期_第16期の予算については、営業収益が第15期比27.9%減の43.4億円、経常利益が同59.9%減の11.3億円と大幅な減収減益を予想しています。分配金予想については、同7,646円減の5,107円と従前の4割程の水準まで沈む見通しです。第16期の歩合賃料の対象期間は2020年9月までとなるため、新型肺炎の影響をモロに受けることとなります。星野運営の「星のや」、「界」、「リゾナーレ」のこの4~5月の稼働率は20%台まで沈んだとみられるほか、「ハイアット」、「ANAクラウンプラザ」、「ザ・ビー」に関しては夏場までそのような稼働率だったとみられます。予算にはオペレーターの一部賃料不払いを織り込んでいるほか、星野運営物件については各種ニュースフローにより夏場堅調だったとされているのでそれらのアップサイドと、不調が鮮明な星野以外物件との綱引きになりますが、固定賃料もあることから表記の分配金水準であれば達成可能な範囲にあると考えています。
当法人は元よりレバレッジが低い安定運用をしていたため、従来のLTVのコントロールレンジを35%→上限40%に引き上げており、第14期にデットによる期中取得を実行しています。取得したのは星野リゾートの新業態ホテルである「BEB軽井沢(21.7億円/鑑定NOI5.9%)」、「ソルヴィータホテル那覇(38.6億円/鑑定NOI5.2%)」で取得しています。本件取得等により足許ベースのLTVは38%程とみられ、残りの取得余力は61億円となります。
本来的には本法人はPOによる外部成長がメインのリートであり、スポンサーである星野リゾートの物件パイプラインが300億円程あるほか、これと別に「星のや沖縄」や話題の「OMO7大阪新今宮」を含む政投銀との共同ファンドのパイプラインが600億円程(うち4割は開発案件)あるため、玉は十分に用意されています。当初は年間分配金を4%程度成長させつつ、年間200~250億円買っていくことでAUM2,000億円を目標としていましたが、年初からの新型肺炎禍で事実上暗礁に乗り上げているような状況でした。然しながら、足許の株価急回復でP/NAV1.0倍水準を回復しているため、俄然POの目が復活してきており、外部成長路線の復活が期待される状況です。
*参考記事① 2020-03-24 283,600円 OP
【3287】星野リゾート・リート投資法人/LTV引き上げで対応も、外部成長に手詰まり感。
*参考記事② 2019-10-04 594,000円 OP
来年から一段高い分配金成長が期待される、星野リゾート・リート投資法人(3287)。
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