【2751】テンポスホールディングス(東証JQスタンダード) BY
現在値 2,235円/100株 P/E 17.9 P/B 2.62 4月配当 株主優待あり
中古厨房機器のリサイクル販売で独壇場。ステーキの飲食店事業も展開
配当金は年1回・4月末に10円のため、配当利回りは0.45%となります。
テンポスホールディングスは株主優待制度を導入しておりまして、単元株以上を保有する4月末株主に対し、傘下の「ステーキのあさくま」等で使える8,000円相当の食事券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.02%となります。
業績を確認していきます。
■2018年4月期 売上高 290億円、経常利益 21.2億円 EPS 52.0円
■2019年4月期 売上高 301億円、経常利益 20.9億円 EPS 84.5円
■2020年4月期 売上高 291億円、経常利益 19.0億円 EPS 79.8円
■2021年4月期 売上高 270億円、経常利益 14.4億円 EPS 16.7円
■2022年4月期 売上高 300億円、経常利益 23.3億円 EPS 124.5円 ce修正
□2021年7月1Q 売上高 69.0億円、経常利益 5.3億円 EPS 29.1円(9/9)
□2021年10月2Q 売上高 135億円、経常利益 10.5億円 EPS 55.9円 ce
2021年4月期の売上高は前期比7.4%減の270億円、経常利益は同23.9%減の14.4億円と減収減益となったものの、中間で開示した通期見通し比では上振れました。主力の物販事業では、新規開業する中小飲食店の向けの厨房機器販売が回復したほか、巣ごもり需要により大手スーパーへの販売も増加し堅調に推移しました。他方、「あさくま」を中心とする飲食事業については、期初からグループ100店強の体制となったものの、新型肺炎禍で臨時休業や時短営業を強いられたほか、買収したばかりの竹若の破産(※後述)などのアクシデントもあり、売上高から特損計上まで大きく足を引っ張りました。
進行期である2022年4月期の予算については、売上高は11.0%増の300億円、経常利益は61.3%増の23.3億円を予想しています。主力の物販事業については、新型肺炎禍の一巡で飲食店の新規開業検討客数が好調に推移しているほか、提案型営業「ドクターテンポス」方式による社員育成効果の発現で客単価も26万円前後と回復してきているため、客数・単価の両面で売上成長に弾みがつく見通しです。他方、飲食事業については、緊急事態宣言の長期化・全国化による営業時間短縮や、店舗純減による減収要素もあり引き続き苦戦が見込まれます。なお、去る9月9日に開示済の1Q決算は売上高69億円&経常利益は同5.3億円で進捗しており、通期予算の達成に向け順調な進捗が確認されます。
当社は中長期的な経営計画を開示していないものの、基本的にはメインの厨房機器物販を軸とした成長シナリオを描いており、「ドクターテンポス」の提案力強化による新規顧客数の増加と、客単価の引き上げが成長ドライバーとなります。提案型営業自体はここ数年来取り組んできたものの、週5時間のZOOM研修や見込管理フォローアップといった仕組み化により結実しつつあります。目標感としては新規客数で現行比2倍(38千人)、客単価で現行比4倍(100万円)を掲げ、年限は特に定めていないものの、この単体事業だけで460億円程の規模感までスケールさせる目論見となっています。
他方、外食事業については2019年に子会社のあさくまを上場させており、目下の持分は50.8%となっています。あさくまは上場時に調達した6億円で年10店程の出店を進めていく計画でしたが、主力のステーキ業態は他社肉業態との競合激化に加え、新型肺炎禍で客単価の高い“ハレの日”業態は見送られやすく、テイクアウトやデリバリーとの親和性も低い(肉が硬くなる)ことから、上場以来ずっと苦戦商状が続いています。そのため、あさくま上場時に売出せずに持分を維持したことが裏目に出ているような状況です。
同社は昨年春に年商20億円の寿司業態「竹若」を1.5億円(別途のれん5億円)で買収し、念願の業態多様化を果たしたほか、テイクアウトやデリバリー向きの都市型業態を手に入れることで、来店型ロードサイド店の多い既存店舗ポートフォリオとの高い補完性を実現したかのように見えました。然しながら、「竹若」は買収して早々に経営不振で10億円程の債務超過状態となったほか、多重リースや所在不明のリース物件が多数発見され、債権者の再生合意形成が不調に終わり、結局破産させてしまいました。
そのため、親会社の当社ものれんの全額減損を強いられたほか、上場企業が子会社を潰したということで当社グループのクレジットを大きく棄損させることになりました。そのため、再び成長軌道に乗った本業の評価と、足を引っ張る外食事業及び棄損した企業クレジットを天秤にかけて評価することになりますが、そもそも当社は無借金かつ70億円超のネット現金を保有している優良財務企業(自己資本比率61%)であり、金融機関に金利スプレッドを少々余分に取られたところでビクともしないこともまた事実であるため、前者のモメンタムを素直に評価することが可能と考えています。
*参考記事① 2020-10-09 1,991円 OP
【2751】テンポスHD/財務面での“泳ぎ幅“が広く、ダイナミックな外部成長策が期待される。
*参考記事① 2019-10-02 2,160円 OP
念願のあさくま上場だが、あくまで資産性で評価・テンポスHD(2751)。
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