【2751】テンポスホールディングス(東証JQスタンダード) OP
現在値 1,991円/100株 PER--.- PBR2.43 4月配当 株主優待あり
中古厨房機器のリサイクル販売で独壇場。ステーキの飲食店事業も展開
配当金は年1回・4月末に10円のため、配当利回りは0.50%となります。
テンポスバスターズは株主優待制度を導入しておりまして、単元株以上を保有する4月末株主に対し、傘下の「ステーキのあさくま」等で使える8,000円相当の食事券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.52%となります。
業績を確認していきます。
■2017年4月期 売上高 274億円、経常利益 22.3億円 EPS 87.7円
■2018年4月期 売上高 290億円、経常利益 21.2億円 EPS 52.0円
■2019年4月期 売上高 301億円、経常利益 20.9億円 EPS 84.5円
■2020年4月期 売上高 291億円、経常利益 19.0億円 EPS 80.1円
■2021年4月期 売上高(未定)億円、経常利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce
□2020年7月1Q 売上高 58.2億円、経常利益▲0.2億円 EPS▲0.4円(9/10)
□2020年10月2Q 売上高 130億円、経常利益▲2.0億円 EPS▲25.3円 四e
2020年4月期の売上高は前期比3.1%減の291億円、経常利益は8.9%減の19.0億円となり、売上高・利益ともに期初予算未達となりました。主力の物販事業については店舗運営の総合コンサル業務である「ドクターテンポス」に引き続き注力しており、パート含む全従業員の教育に約11億円を投じるとともに、年240時間の研修を課して育成を進めました。その結果、前期より客単価が2割アップするなどしたものの、営業機会損失や年明けにかけて本格化した新型肺炎の影響で横ばい圏止まりとなりました。また、「あさくま」を中心とする飲食事業については、竹若(※後述)の期中買収による大幅な店舗増でグループ100店舗体制となったものの、前期のきよっぱち総本店売却による売上剥落や、下期に台風の影響や新型肺炎の深刻化を受けて大幅減益となり、全社業績の足を大きく引っ張った格好となりました。
進行期である2021年4月期の予算については、期初段階から未定となっており、去る9月10日に開示された1Q決算については売上高は前年同期比20.5%減の58.2億円、経常利益は同6億円の損益悪化となる▲0.2億円で進捗しています。主力の物販事業については、5月・6月の来店客数は前年割れとなったものの、7月にはほぼ前年並みに回復しました。また「ドクターテンポス」において、持続化給付金申請支援や閉店支援といった新型肺炎禍ならではのサポートを強化したことにより、落ち込みは限定的となりました。一方、飲食事業については、グループ約100店舗強のうち36店舗の臨時休業に踏み切ったほか、緊急事態宣言明けの戻りも鈍かったことからトップラインから4割を超える減収となり大赤字圏に沈んでいます。通期についても同様に、急速に持ち直しつつある物販事業と、依然苦しい飲食事業の綱引きになるとみられますが、飲食の事業構成比が比較的小さいため黒字圏で着地するものと見込まれます。
当社は持分の57%を握っていた子会社の「あさくま」を2019年6月にJQS市場に上場させています。同社は上場時の公募増資により約6億円(@1,250円)を調達したものの、売出株については当社創業者である森下篤史氏の資産管理会社である㈲あさしおが約1億円分を放出しただけであり、依然として50.7%の持分を有して連結支配を継続していることから、新型肺炎禍ではかかる赤字分を全て取り込む格好となり、足許時点では売出を控えた判断が裏目に出てしまった格好です。
「あさくま」は当初、上場時調達資金で年10店程の出店を進めていく計画でしたが、主力のステーキ業態は他社肉業態との競合激化に加え、新型肺炎禍では客単価の高い“ハレの日”業態は選好されずらく、テイクアウトやデリバリーとの親和性も低いため構造的な苦しさを孕んでいます。そのため、新型肺炎禍で市中の空き店舗の大幅に増加していることから、繁華街向け低価格モツ焼き業態である「エビス参」での出店にくわえ、本年3月に寿司業態の「竹若」を1.5億円で買収していることから、この2業態での店舗展開を強化するとみられます。特に「竹若」は5億円超の“のれん”付きでの買収となったものの、年商は20億円以上あるほか、テイクアウトやデリバリー向きの都市型業態であるため、来店型ロードサイド店の多い既存店舗ポートフォリオとの補完性が高いほか、幅広い閉店情報の入手機会を有する親会社であるテンポス側にとっても“当て込み”がしやくなるといったメリットが期待されます。
なお財務面については、ほぼ無借金かつ60億円超のネット現金を保有しているほか、「あさくま」の上場により、同社株を時価ベースで40億円分握っている計算(※少数株主持分18億円有)となるため財務的な“泳ぎ幅”がかなり残されているような状況です。自己資本比率は足許時点でも6割を超える水準をキープしているため、「竹若」の買収に留まらず、豊富な資金力を活かした大型買収など、新型肺炎禍ならではの外部成長政策が強く期待されます。
*参考記事① 2019-10-02 2,160円 OP
念願のあさくま上場だが、あくまで資産性で評価・テンポスHD(2751)。
*参考記事② 2018-10-11 2,146円 OP
「あさくま」に続き、「キッチンテクノ」にもIPO観測だが・・・テンポスHD(2751)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。