念願のあさくま上場だが、あくまで資産性で評価・テンポスHD(2751)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2751】テンポスホールディングス(東証JQスタンダード) OP


現在値 2,160円/100株 PER23.4 PBR2.74 4月配当 株主優待あり

中古厨房機器のリサイクル販売で独壇場。ステーキの飲食店事業も展開
配当金は年1回・4月末に10円のため、配当利回りは0.46%となります。

テンポスバスターズは株主優待制度を導入しておりまして、単元株以上を保有する4月末

株主に対し、傘下の「ステーキのあさくま」等で使える8,000円相当の食事券を進呈しており

ますので、配当優待利回りは約4.16%となります。

業績を確認していきます。
■2016年4月期 売上高 271億円、経常利益 21.2億円 EPS 98.6円  

■2017年4月期 売上高 274億円、経常利益 22.3億円 EPS 87.7円  

■2018年4月期 売上高 290億円、経常利益 21.2億円 EPS 52.0円  

■2019年4月期 売上高 301億円、経常利益 20.9億円 EPS 84.5円  

■2020年4月期 売上高 313億円、経常利益 22.7億円 EPS 92.0円 ce

□2019年7月1Q  売上高 73.7億円、経常利益 5.9億円 EPS 26.8円(9/11)
□2019年10月2Q 売上高 156億円、経常利益 11.3億円 EPS 46.0円 ce

2019年4月期の売上高は前期比3.6%増の301億円、経常利益は1.6%減の20.9億円となり、

売上高・利益ともに期初予算未達となりました。主力の物販事業については店舗運営の

総合コンサル業務である「ドクターテンポス」に引き続き注力しており、店舗水光熱周り

の最適手配や保険、BGMなどまで出店イニシャル業務の一切を取り仕切るおまかせ型

などの付加価値の高いサービスの提供を実施しました。ただ、こうした高度サービスの

提供に伴い社員教育に多くのリソースを取られた結果、採算性はやや良化したものの、

新規営業が手薄となり、トップラインは減収となりました。また、「あさくま」を中心とする

飲食事業については5店を出店・4店を改装したほか、昨年11月に期中買収したドリーム

ダイニングが一部寄与したものの、きよっぱち総本店を期中売却したことによる剥落も

あったため、これらを諸々ネットして売上高は横ばい、利益面は人件費の増加等により、

反落となりました。


進行期である2020年4月期の予算については、売上高は4.0%増の313億円、経常利益

は同8.5%増の22.7億円を見込んでいます。物販事業および情報サービス事業の横断的

な取り組みである「ドクターテンポス」が、実績期における社員教育効果の発現がある

程度見込まれるほか、かなり手薄気味になっていた新規営業も正常化する見通しです。

飲食事業については、「あさくま」「やっぱりあさくま」を計9店出店する計画であるほか、

「エビス参」も1店を出店する予定です。なお、去る9月11日に1Q決算が開示済ですが、

売上高は前年同期比微減、経常利益は同2割増ほどで進捗しており、利益こそ予算線

を確保しているものの、トップラインについては厨房機器販売の競合激化や、大手顧客

の出店抑制の影響を色濃く受けており、今期も予算達成は微妙な見通しと言えます。

 

さて当社最大のトピックとしては、持分の57%を握る子会社の「あさくま」が、本年6月に

JQS市場に上場を果たしました。同社は上場時の公募増資により約6億円(@1,250円)

を調達したものの、売出株については当社創業者である森下篤史氏の資産管理会社

である㈲あさしおが約1億円分を放出しただけに留まっており、上場による当社持分の

希薄化は最小限に抑えられていることや、当社側としては「あさくま」の事業将来性を

評価していることの証左でもあるため、インプレッションとしては評価出来ます。

 

「あさくま」は上場で調達した6億円で年10店程の出店を進めるエクイティ・ストーリーを

描いており、公募による希薄化分を出店による外部成長で早々に取り戻し、当社業績

に連結寄与していくことが期待されますが、足許の環境としては「いきなり!ステーキ」

が牽引役となった所謂“肉ブーム”に一巡の兆しがみられていることは逆風要素です。

「いきなり!ステーキ」のインスパイア業態である、「やっぱりあさくま」の2店舗目は未だ

名有りとなっていないため、今後も「あさくま」の従来型業態での出店か、売上寄与の

低いモツ焼きの「エビス参」がメインとなる可能性が高く、上場前評判通りの成長角度

は期待薄と考えます。実際に8月に開示済みの「あさくま」の1Qも計画比ビハインドで

推移している印象は強く、人件費の増加傾向を鑑みると未達の可能性も高そうです。

 

上述したように、当社の物販事業及び外食事業ともに不透明感が拭えない状況にある

ものの、当社株のバリュエーションは無借金かつ70億円の現金を保有している好財務

状況と、「あさくま」のように比較的優良な事業子会社を抱え込んでいる点にあります。

「あさくま」の上場により、同社株を時価ベースで50億円分握っている計算となるほか、

サンウエーブから買収した「キッチンテクノ」なども、既に上場企業として耐えうる業容

まで拡大しているため、こうした背景を鑑みると、当社株の現状のマルチプル23倍は

(財務の良くない)その辺の外食企業程度の水準に過ぎず、再評価余地があります。

*参考記事① 2018-10-11 2,146円 OP

「あさくま」に続き、「キッチンテクノ」にもIPO観測だが・・・テンポスHD(2751)。

*参考記事② 2017-09-26  1,932円 

何は無くとも“あさくま”上場待ち、テンポスバスターズ(2751)。

 

 

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