【3476】投資法人みらい/物件売却進むも、巡行DPUの回復が難航。PO待ちの状況。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3476】投資法人みらい(東証REIT) NT

 

現在値 54,500円/100株 P/E 21.6  P/NAV 1.09  4月分配優待 10月分配優待 


三大都市圏を中心とする総合型。スポンサーは三井物産とイデラCP。
予想分配金は年2回の合計2,520円配で、分配金利回りは約4.62%となります。

 

投資法人みらいは投資主優待制度を導入しており、「グリーンズホテルズ」、「チョイスホテルズ」の繁忙期価格比約30%~40%割引&「ホテルウィングインターナショナル」の公式サイト価格比10%割引券を進呈しています。なお、当投資法人以外の保有物件でも使用可能です。

業績を確認していきます。

■2019年10月期_第7期 営業収益 53.4億円、経常利益 24.7億円 DPU 1,563円

■2020年4月期_第8期 営業収益 54.4億円、経常利益 25.9億円 DPU 1,561円

■2020年10月期_第9期 営業収益 53.7億円、経常利益 23.7億円 DPU 1,429円

■2021年4月期_第10期 営業収益 49.7億円、経常利益 20.7億円 DPU 1,247円

□2021年10月期_第11期 営業収益 51.0億円、経常利益 20.9億円 DPU 1,260円ce修正

□2022年4月期_第12期 営業収益 50.2億円、経常利益 20.9億円 DPU 1,260円ce

2021年4月期_第10期の営業収益は第9期比7.3%減の49.7億円、経常利益は同12.8%減の20.7億円と減収減益となり、DPUは同182円減の1,238円となりました。第9期まで3期分割計上した神戸の売却益4.8億円が剥落したほか、ホテル(那覇・博多駅前・名古屋栄)の歩合賃料喪失やテナント引き止めのための前倒し賃料減額よる減収が響きました。増収要因として、3月に東新宿ビル、堺筋本町ビルの売却により3.5億円分の譲渡益を計上したほか、難波ビル(1月)・小田原底地(3月)の期中取得による一部貢献があったものの、穴埋めには至りませんでした。


進行中の2021年10月期_第11期の予算については、営業収益が第10期比2.6%増の51.0億円、経常利益は同1.1%増の20.9億円、DPUは同22円増の1,260円を見込んでいます。トップラインは第10期期中取得の難波ビル、小田原底地が巡行するほか、従前予算では新型肺炎禍のバッファ用に見込んでいた▲0.5億円を今回公表の修正予算で吐き出して数字を良化させています。また、東新宿と堺筋本町の売却益が剥落するものの、第10期の売却益とぶつける形で先行実施した減賃の復元で概ねオフセット出来るため、全体の仕上がりとしては微増益という見通しとなります。

 

また今回公表された翌2022年4月期_第12期の見通しについては、営業収益が第11期比1.5%減の50.2億円、経常利益は同変わらずの20.9億円、DPUは同変わらずの1,260円を見込んでいます。トップラインでBizMiiX淀屋橋とミ・ナーラ稼働率向上とホテル歩合復活を取り込む一方、新型肺炎禍の長期化用を見据えて▲0.8億円強もの大き目のバッファを繰り入れており、このバッファで数字を潰して保守的に横ばいの見通しを一旦公表しているものとみられます。

 

当法人はREITでは珍しく中期経営計画を公表しており、ホテル歩合賃料が戻る(と計画段階では予想された)2021年4月期を最終年度とする「みらいリバイバルプラン」にて、巡航DPUの目安として1,300円台中盤の目標感を提示していました。終わった期のDPUは1,429円であったものの、一過性要素を排除すれば実質未達と解されます。然しながら、①ホテルWBF淀屋橋の用途変更、②ミ・ナーラの再改装、③物件入替(売却)など掲げた定性課題を完了させており、目途付けくらいは出来た印象です。①の淀屋橋は立ち上がりの稼働率に物足りなさがあるものの、②のミ・ナーラについては5月のロピア誘致で館全体の売上高100億円が射程に入るなど、一定の成果を残しています。

 

他方、③における積極的な物件入替により、含み益の顕在化が進み、NAVも僅かに上昇したものの、譲渡益の株主還元や報酬支払で“外部流出”させてしまったことも事実です。入替により従前よりは新型肺炎禍に耐性のあるポートフォリオに変わったとはいえ、今後のホテル市況回復によるアップサイド享受可能性が失われてしまった側面もあり、検討中の新中計で目標感とする予定のDPU1,400円はかなりハードルが高い印象です。また現時点の株価位置は高く、NAVも1.1倍弱ではあるものの、パイプラインの溜まりが鈍いせいなのか足許時点でのPO実施にはやや消極的印象もあり、次の打ち手が注目されます。

 

*参考記事① 2021-03-16 45,500円 NT

【3476】投資法人みらい/物件入替進むもAUMは漸減状態、高利回り新型アセットの取得が要。

 

*参考記事② 2020-10-01  40,550円 NT

【3476】投資法人みらい/年末POの式場取得は裏目、予算保守的だがホテル歩合賃料次第。

 

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