【4923】コタ(東証1部) OP
現在値 1,545円/100株 P/E 25.3 P/B 4.17 3月配当優待
美容室向けヘア化粧品の製造・販売。一括販売とバーター無料コンサルの「旬報店」に特徴。
配当は3末一括の18円のため、配当利回りは1.17%となります。
コタは株主優待制度を実施しており、3月末の単元株主に対して5,000円相当の自社製品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.40%となります。
業績は以下のとおりです。企業会計基準29号、30号を新たに適用しています。
■2018年3月期 売上高 67.3億円、経常利益 13.3億円 EPS 47.5円
■2019年3月期 売上高 69.9億円、経常利益 14.0億円 EPS 48.6円
■2020年3月期 売上高 74.6億円、経常利益 14.9億円 EPS 52.6円
■2021年3月期 売上高 77.6億円、経常利益 16.5億円 EPS 53.9円
■2022年3月期 売上高 80.4億円、経常利益 16.8億円 EPS 56.1円 ce新収益
□2021年6月1Q 売上高 19.7億円、経常利益 4.5億円 EPS 15.1円(7/30)
□2021年9月2Q 売上高 32.0億円、経常利益 3.6億円 EPS 11.9円 四e
2021年3月期の売上高は前期比4.1%増の77.6億円、経常利益は同11.1%増の16.5億円となり、期初予算を上回ったほか23期連続の増収・8期連続の経常増益を達成しました。主力品のシャンプー/コンディショナーである「コタアイケア」が順調に推移したほか、オイルタイプの「コタスタイリングベース」という新製品の投入により整髪料が好伸しました。一方、その他商材については、カラー剤・パーマ剤についてが引き続き低調だったものの、全社ベースでは昨年末に実施した店販コンクールでの参加店舗数・販売金額が過去最高となり、サイズアップ購入も多かったことから、業績的に大きく底上げされる格好となりました。
進行期である2022年3月期通期の予算については、7月30日開示の1Q時点で早々に増額しており、売上高が12.0%増の82.0億円(期予:80.0億円)、経常利益は11.5%増の18.4億円(期予:16.8億円)と、24期連続の増収を目指すほか、利益も2桁伸長となる見通しです。なお、新収益認識基準への移行にともない見かけの売上高は5億円程目減りしますが、表記百分比については実績値を新基準に置き換えた実力ベースの伸び率となっています。新型肺炎禍による美容院来客数減が軽微であるため、主力商品である「コタアイケア」が堅調推移が見込まれるほか。トイレタリーの高単価新製品「コタクチュール」の投入により、一段の業績伸長が想定されます。
当社は中期経営計画のような目標を開示していないものの、年限のない目標指標として「経常利益率15%以上、ROE10%以上」を定めていますが、足許水準ではいずれの指標もクリアしています。当社のビジネスモデルは製品の一括仕入れを条件に、「旬報店」と呼ばれる顧客管理システムを美容院に無料で使ってもらって、店舗の経営コンサルを提供するという特殊なモデルを採っています。この「旬報店」の導入店は当社取引先のうち1,600店程に限られるものの、当社売上高の占有率は65%を占めているため、「旬報店」の増加が成長に直結する最重要指標となりますが、導入店数はこの1年で1,633店のまま積み増しが出来ていません。会社側はまずは広く薄く取引先を拡大させる施策を採っているものとみられます。
当社は2012年の京都工場の竣工で生産能力を大幅に増強し、連れて減価償却費が大幅に増加したものの、減価償却費負担は既に相当程度軽くなっているほか、この「旬報店」システムの販売予測精度向上により生産計画の生産性が良化し、利益率の改善傾向が続いています。他方、中長期目線の投資として、研究開発施設建設等に充当すべくMS‐MUFGを割当先に自社株を活用したMSワラントを本年3月に発行しており、約11億円を調達していく計画となっています。当社は財務体質が非常に良好であり、無借金で33億円程の現金を保有していることを鑑みると本件調達はやや不可解な印象もありますが、高株価を活かした自社株売りと捉えるべきかと思います。
なお、今期も予想配当金は18円を据え置いているものの、例年3月に1:1.1の株式分割を実施していることもあり、実質的には連続増配となっています。不透明な状況ではあるものの、資金繰りには全く問題がなく、還元余力も十分あるような状況のため、引き続き自社株買い等も期待される状況ではあります。
*参考記事① 2020-08-06 1,070円*左記は分割遡及修正株価(/1.10) OP
【4923】コタ/財務盤石で底堅いが、「旬報(専売)店」の拡大ペースは鈍め。
*参考記事② 2017-09-09 880円*左記は分割遡及修正株価(/1.44) OP
自社株TOBで総還元性向は実質6割超の水準へ、コタ(4923)。
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