【9319】中央倉庫 (東証1部) NT
現在値 1,002円/100株 P/E 16.2 P/B 0.47 3月配当優待 9月配当
内陸の総合物流でトップクラス。倉庫上位の安田倉庫と連携。
配当は3月末・9月末の年2回、計22.5円のため、配当利回りは2.25%となります。
中央倉庫は株主優待制度を導入しており、3月末の単元保有株主に対して、お米券を2枚進呈しておりますので、配当優待利回りを算出すると約3.12%となります。なお、3年以上の継続保有で、お米券が1枚追加されますので、その場合の利回りは約3.56%となります。
業績を確認します。企業会計基準29号を適用する新収益認識基準に移行しています。
■2018年3月期 売上高 260億円、経常利益 17.9億円、EPS 65.9円
■2019年3月期 売上高 262億円、経常利益 17.3億円、EPS 43.6円
■2020年3月期 売上高 264億円、経常利益 17.9億円、EPS 63.6円
■2021年3月期 売上高 259億円、経常利益 19.2億円、EPS 68.9円
■2022年3月期 売上高 240億円、経常利益 19.1億円、EPS 61.6円 ce新収益
□2021年6月1Q 売上高 59.0億円、経常利益 6.1億円、EPS 20.7円(8/10)
□2021年9月2Q 売上高 119億円、経常利益 10.0億円、EPS 35.8円 ce
2021年3月期の売上高は前期比2.1%減の259億円、経常利益は同7.1%増の19.2億円となり、計画をやや上回って着地しました。国内倉庫業界全体としては、新型肺炎禍の影響を受けて入/出庫高が前年を下回って軟調(同▲4~5%)に推移したものの、当社の入/出庫高はそれをやや上回った(同▲2~3%)ほか、再委託を含めた保管残高自体は増加しました。そのため、運送事業は減収減益となったものの、倉庫事業については保管残高の増加と料金改定交渉の継続により増益とを確保しています。他方、国際貨物事業については新型肺炎禍による停滞影響を比較的ダイレクトに受ける形で減収減益となりました。
進行期である2022年3月期の予算については、売上高が7.4%減の240億円、経常利益は0.6%減の19.1億円と減収・減益を計画していますが、新収益基準移行による減収が▲37.4億円も発生するので、これを加味した実力ベースでは6.5%の増収となります(利益は影響無し)。倉庫・運輸業界全体としては、新型肺炎禍の一巡により貨物輸送量が回復しているため、配車効率の改善等を含め、期を通じ堅調な推移が見込まれます。去る8月10日に開示済の1Qについては、売上高が8.1%減の59.0億円、経常利益は27.4%増の6.1億円と減収増益となっているものの、実力ベースでは8.2%の増収、27.4%の経常増益と好調が確認されます。
進行期は3年中計「CHANGE! to2021」の最終年度であり、当初は向こう3年で売上高を262→287億円、経常利益15.4→17.6億円まで引き上げる計画としていましたが、最近の新型肺炎禍の影響や新収益基準への移行を反映させる形で、本年5月に計画値を上記の単年予算と数値を揃えています。実力ベースでは当初計画より微減収・微増益という形で概ね計画通りとなる公算ですが、想定以上に採算改善で利益率良化が見込まれる一方、中計後半に見込まれていた梅小路宿泊施設(※後述)の計画変更が多少影響します。
本中計3年間の取組としては、2019年秋口に北陸支店金沢F号倉庫(2.9千坪)を増床させたことによる格納能力の増加や、2019年に開業したJR嵯峨野線梅小路京都西駅前の梅小路営業所敷地のうち1,300坪の上部既存建物を解体し、2022年2月に180室の宿泊施設を竣工する予定です。これは従来の倉庫業・運輸業の枠を超えた資産有効活用の一環であり、大手オペレーターである共立メンテナンスへの一括賃貸により、賃料収入を得る目論見(巡航収入:売上高3億円・経常利益1億円)ですが、当初200室超を計画していたプランから変更したとみられるほか、隣接地で開発する予定だった商業施設“賑わい施設”の開発を見送っており、本件再開発のフル寄与はやや遅れる見通しです。
財務面については、引き続き自己資本比率8割水準の健全な財務を誇っており、50億円程の有利子負債に対し、75億円を超える現金と宝HDや堀場製作所、松風等といった同じ京都に拠点を置く取引先の有価証券を100億円弱保有しているため、盤石な状況となっています。他方、株主還元については長らく年22.5円配(配当性向35~40%程度)を維持しており、BPSばかり積み上がる構図ですが、(提携関係にある関東の安田倉庫と同じく)株主還元には消極的なので、その辺については期待薄と考えられます。
*参考記事① 2020-08-26 997円 NT
【9319】中央倉庫/荷動き鈍化傾向も、金沢倉庫の増床寄与で横ばい確保圏か。
*参考記事② 2018-07-23 1,200円 NT
堅調な業績続くが、“バリュートラップ銘柄”としての評価・中央倉庫(9319)。
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