【9319】中央倉庫/荷動き鈍化傾向も、金沢倉庫の増床寄与で横ばい確保圏か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9319】中央倉庫 (東証1部) OP


現在値 997円/100株 PER15.7 PBR0.49 3月配当優待 9月配当

内陸の総合物流でトップクラス。倉庫上位の安田倉庫と連携。
配当は3月末・9月末の年2回、計22.5円のため、配当利回りは2.26%となります。

 

中央倉庫は株主優待制度を導入しており、3月末の単元保有株主に対して、お米券を2枚進呈しておりますので、配当優待利回りを算出すると約3.13%となります。なお、3年以上の継続保有で、お米券が1枚追加されますので、その場合の利回りは約3.58%となります。

業績を確認していきます。

■2017年3月期 売上高 247億円、経常利益 17.4億円、EPS 59.6円 
■2018年3月期 売上高 260億円、経常利益 17.9億円、EPS 65.9円

■2019年3月期 売上高 262億円、経常利益 17.3億円、EPS 43.6円

■2020年3月期 売上高 264億円、経常利益 17.9億円、EPS 63.6円

■2021年3月期 売上高 261億円、経常利益 17.4億円、EPS 63.2円 ce 

□2020年6月1Q 売上高 64.2億円、経常利益 4.7億円、EPS 17.8円(8/7) 

□2020年9月2Q 売上高 132億円、経常利益 9.5億円、EPS 32.5円 ce 

2020年3月期の売上高は前期比0.9%増の264億円、経常利益は同3.3%増の17.9億円となり、増収増益を確保したものの、期初予想を下回る水準で着地しました。国内倉庫業界全体としては、入/出庫高・保管残高(同2~4%の増)が前年を上回って好調に推移したものの、当社の入/出庫高については減少(同▲5~6%)、保管残高については前期並と同業他社を下回る実績だったものの、料金改定の取組により利益率が改善しました。また、運送事業についても同様に、倉庫の取扱減少により減収となったものの、料金改定により増益となりました。足を引っ張ったのは国際貨物事業であり、米中貿易摩擦や年明けから新型肺炎の影響を受けたため減益となり、この穴を倉庫と運送の主要2事業で埋めきれませんでした。

 

進行期である2021年3月期の通期予算については、期初非公表も1Q時点で開示しており、売上高が1.4%減の261億円、経常利益は3.0%減の17.4億円を計画しています。倉庫・運輸業界全体としては、新型肺炎禍により国内外問わず貨物輸送量が減少しており、結果として倉庫保管残高が増加している状況となっています。去る8月7日に開示された1Qについては、売上高が前年同期比4.3%減の64.2億円、経常利益は同11.4%減の4.7億円とやや低調に推移しています。会社側は新型肺炎による影響を一定程度織り込む一方、下期からの回復を見込んでいるほか、昨年末に増床新設した金沢F号倉庫(2.9千坪)の寄与分を反映しているものとみられます。1Qが新型肺炎禍のピークとすれば、比較的耐性のある倉庫・物流業のため、会社予算は達成可能と考えられます。

 

今期は3年中計「CHANGE! to2021」の中間年度であり、最終年度の2021年3月期に売上高262→287億円、経常利益15.4→17.6億円まで引き上げる計画となっています。昨年秋口に北陸支店金沢F号倉庫を増床させたことによる格納能力の増加にくわえ、JR嵯峨野線梅小路京都西駅(2019年3月に開業)前の梅小路営業所敷地のうち1,300坪の上部既存建物を解体し、本年2月から計200室超の宿泊施設の建設にも着手しています。これは従来の倉庫業・運輸業の枠を超えた資産有効活用の一環であり、大手オペレーターである共立メンテナンスへの一括賃貸により、賃料収入を得る目論見(巡航収入:売上高3億円・経常利益1億円)ですが、新型肺炎禍で当初想定ほどのインバウンド獲得を前提とした収支の達成は難しいとみられます。

 

財務面については、当社は自己資本比率8割超の健全な財務を誇っており、45億円の借金に対し、70億円を超える現金と宝HDや堀場製作所、松風等といった同じ京都に拠点を置く取引先の有価証券を80億円近く保有しているため、盤石な状況となっています。そのため、今回は1Q決算時に通期配当予想(年22.5円)の据置を早々に公表していますが、これは業績の如何によらず配当がなされるものと考えています。

 

*参考記事① 2018-07-23 1,200円 NT

堅調な業績続くが、“バリュートラップ銘柄”としての評価・中央倉庫(9319)。

 

*参考記事② 2017-07-21  1,062円 OP

好財務の含み資産銘柄だが、消極経営がネック・中央倉庫(9319)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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