【8877】エスリード/AM子会社設立により、本格進出の名古屋エリアの出口活用を企図か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8877】エスリード(東証1部)  BY

現在値 1,577円/100株 P/E 4.92  P/B 0.48  3月配当優待 9月配当

マンション企画開発・販売。大阪で供給トップ級。森トラスト子会社。
配当は年2回、合計40円配当のため、配当優待利回りは2.54%となります。

エスリードは株主優待制度を導入しており、3末時点の単元株主に対して、3千円相当のグルメカタログを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.43%となります。

業績を確認していきます。 

■2018年3月期 売上高 483億円、経常利益 67.0億円、EPS 279.0円 

■2019年3月期 売上高 571億円、経常利益 72.3億円、EPS 290.0円 

■2020年3月期 売上高 616億円、経常利益 80.0億円、EPS 328.5円 

■2021年3月期 売上高 640億円、経常利益 70.0億円、EPS 292.0円 

■2022年3月期 売上高 640億円、経常利益 81.0億円、EPS 320.8円 ce 

□2021年9月中  売上高 83.7億円、経常利益 2.3億円、EPS 8.1円(7/29)

□2021年9月中  売上高 270億円、経常利益 20.0億円、EPS 77.7円 ce 

2021年3月期の売上高は前期比11.9%増の689億円、経常利益は同12.5%減の70.0億円となり、未定だった期初予想との比較は無いものの、8月開示の見通し並みとなりました。分譲マンションの引渡は守山(37億円/103戸)、南草津(31億円/83戸)、神戸(19億円/119戸)、中之島(19億円/120戸)等であり、引渡戸数は同171戸増の2,788戸と想定よりも膨らんだ模様ですが、“5年連続完成在庫ゼロ”を達成させたことから、期末にかけて値引販売が進んで利益一服になったとみられます。また、投資用分譲のサブリース賃貸業や、管理業、再販仲介といったその他事業については好調に推移しており、セグメントとしては4割を超える増収増益を確保しています。

 

2022年3月期の通期見通しについては、売上高が前期比8.7%増の750億円、経常利益は同15.7%減の81.0億円を予想しています。分譲マンションの引渡予定物件は、御幣島(180戸)、岸和田(117戸)、大津におの浜(98戸)、桜川(90戸)、新開地(70戸)など推定2,800戸程と実績期並みの販売が見込まれており、例年通り引渡時期が期末に集中するスケジュールとなっているほか、期初時点の契約残は1年前より400戸強少ない307戸に留まっているため、期中の業績進捗は鈍くなると予想されます。他方、中古の買取再販や管理等の周辺事業の続伸が見込まれることから、通期では堅調推移が見込まれます。

 

当社は2013年に森トラストによるTOB(@915円、約40億円)により同社連結子会社となり、そこから8年程で業績は大きく伸長しました。中計等は非開示であるものの、今後の成長戦略として①名古屋エリア開拓、②戸建分譲・メガソーラー事業への進出、③不動産証券化事業への進出、の3点が挙げられています。①については、関西圏の供給戸数首位のプレサンスに水をあけられた万年2位が当社定位置でしたが、プレサンスを追うように2018年にナディアパークに支店を開設したほか、2020年にはサブリース子会社も出店し、今年は新栄①(120戸)、新栄②(50戸)の引渡を予定しています。名古屋は大変需給が緩んでいるので、完成在庫ゼロや投資用サブリースの賃貸付けも難しく当面低採算とみられるものの、規模拡大を優先しにいくものとみられます。

 

②のメガソーラーについては、子会社の綜電が本年2月に千歳で累計5基目を稼働を開始させており、太陽光発電それ自体のほか、主として分譲済マンション向けの高圧一括受電サービスの拡大を企図しており、現状12千戸程の受託をしています。③については、本年3月にAM子会社を設立しており、REITや私募ファンドへの参入を目指します。ただこれは安定的なAMFee収入の確保というよりは、自社開発のワンルームマンションの出口としての活用とみられ、①の名古屋物件の積極的な組入れが想定されます。

 

他方、株主還元については横ばいの年40円配を予想しています。自己資本比率48.8%という高水準ながら、配当性向は12.5%という低還元のため株主還元の拡充を期待したいところですが、大規模な自社株買いをしようものなら親会社の森トラスト(持分53.5%)が切り上がってしまうことから、資本政策上そういう動きが取りずらい部分があるのかもしれません。

 

*参考記事① 2019-08-27 1,582円 OP

【8877】エスリード/ホテル用地競合無くなり仕入れ易化か、業容拡大に改めて期待。

 

*参考記事② 2019-08-27 1,582円 OP

IR姿勢に変化、親会社の森トラストの動向注視・日本エスリード(8877)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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