【8771】イー・ギャランティ/新型肺炎禍の倒産件数増で、成長モメンタムは再加速へ。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_3569.jpg

【8771】イー・ギャランティ(東証1部)  OP


現在値 2,358円/100株 P/E 45.2  P/B 6.81 3月配当優待

伊藤忠系。商・金融取引の信用リスク受託。運用商品を組成して販売。
配当は3月一括の年間22円配当のため、配当利回りは0.93%となります。

イー・ギャランティは株主優待制度を導入しており、3月末に単元株を保有する株主に対し、1,500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.56%となります。

業績を確認していきます。  
■2018年3月期 売上高 51.0億円、経常利益 23.0億円 EPS 34.9円

■2019年3月期 売上高 55.7億円、経常利益 25.5億円 EPS 39.1円

■2020年3月期 売上高 59.6億円、経常利益 27.5億円 EPS 54.1円 

■2021年3月期 売上高 71.9億円、経常利益 31.0億円 EPS 45.1円 

■2022年3月期 売上高 85.0億円、経常利益 37.5億円 EPS 52.4円 ce
□2021年9月2Q 売上高 40.0億円、経常利益 18.0億円 EPS 25.1円 ce

2021年3月期の売上高は前期比20.8%増の71.9億円、経常利益は同13.0%増の31.0億円となり、8期連続で売上高が期初予算割れとなったものの2割超もの増加となり、利益については予算通りとなりました。保証残高については、新型肺炎禍にともない倒産件数の増加が見込まれることから引き合いは高水準だったものの、高リスクゾーンについては一部引き受けを制限し、リスク分散を図りました。そのため保証残高の前年比伸び率は9.8%に低下したものの、4,391億円→4,822億円まで積みますことに成功しており、上場来14期連続となる増収増益を達成しています。


進行期である2022年3月期予算については、売上高が18.1%増の85.0億円、経常利益は20.6%増の37.5億円を予想しています。新型肺炎禍による倒産件数の増加懸念が依然燻っていることから、保証ニーズは増加が見込まれるほか、引受料率についても順次増額改定していることから、再保険費用とのスプレッドが改善により採算性は更に向上する見通しです。他方、倒産件数の増加により保証履行額の増加といった原価増要素はあるものの、新型肺炎禍による経済影響の可視性が1年前より高まったことから、実績期のような受注制限を行わない予定であり、年率2割程の増収・増益計画となります。

 

当社は中期経営計策定しておらず、かつては2018年3月期に経常利益50億円という“目標”を掲げていましたが、結果的には半分以下の数字で着地した経緯があります。但し、この経常利益50億円という数字は当社の工藤社長が上場来「普通にやっていればここまではいく」数字としてアナウンスしているものであり、達成までの必要年限はともかく会社側はある程度目算が立っているものと考えられます。ここ数年は企業業績の回復が顕著であったため、当社は逆風の中での経営を迫られていましたが、図らずも新型肺炎という“追い風”の中での舵取りとなるため、大変良好な事業環境となっており、現状のモメンタムを鑑みれば2025年3月期にも経常利益50億円を達成する蓋然性が高まってきました。

 

既に国内のあらゆる地銀、信金、証券、リース会社といった金融機関90社との業務提携を済ませており販売網自体はやや頭打ちになっているものの、営業人員を1年前比で50%増やす計画をしており、未提携の金融機関との開拓を進めるほか、証券会社ルートを使った大企業顧客の掘り起こしを狙います。また、これまで手薄だった中小企業顧客向けの商品として、小口債権保証サービスの「minimal」を本年2月にローンチしており、月額8,800円から販売先の倒産リスク保証を実施するなどしています。

 

他方、当社の事実上の親会社であった伊藤忠商事の持分は13.8%水準にまで漸減して関係性が薄れており、同社側のガバナンス方針(例えば政策保有株の売却)から今後も売却を進めるとみられることから、信用面(営業面)でのマイナス影響が懸念されますが、当社自体のクレジットが育ってきているので問題ないと考えています。


株主還元に関しては、これまで配当性向30%目安で利益に応じてマイルドに増配してきましたが、実績期で配当性向48.8%まで一気に引き上げて、8円もの増配となる年22円配当を実施しました。現状の予想配当はこれを横引きする形で年22円が見込まれていますが、計算上の配当性向は41.8%となることから、更に増配する公算が高く、落着ベースで「年25円+α」が見込まれます。

 

*参考記事① 2020-08-27  2,200円* OP

【8771】イー・ギャランティ/伊藤忠関与薄れるも、ポスト新型肺炎銘柄としての恩恵は大。

 

*参考記事① 2019-07-31  1,219円*分割修正済 OP

景況感改善は逆風も、安定成長路線を堅持。イー・ギャランティ(8771)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ