【8771】イー・ギャランティ(東証1部) OP
現在値 2,200円/100株 PER47.9 PBR8.22 3月配当優待
伊藤忠系。商・金融取引の信用リスク受託。運用商品を組成して販売。
配当は3月一括の年間14円配当のため、配当利回りは0.64%となります。
イー・ギャランティは株主優待制度を導入しており、3月末に単元株を保有する株主に対し、1,500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.31%となります。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 45.7億円、経常利益 21.5億円 EPS 32.3円
■2018年3月期 売上高 51.0億円、経常利益 23.0億円 EPS 34.9円
■2019年3月期 売上高 55.7億円、経常利益 25.5億円 EPS 39.1円
■2020年3月期 売上高 59.6億円、経常利益 27.5億円 EPS 54.1円
■2021年3月期 売上高 77.0億円、経常利益 30.0億円 EPS 45.8円 ce
□2020年6月1Q 売上高 16.8億円、経常利益 7.3億円 EPS 9.6円 (7/30)
□2020年9月2Q 売上高 35.0億円、経常利益 14.5億円 EPS 22.3円 ce
2020年3月期の売上高は前期比6.9%増の59.6億円、経常利益は同7.8%増の27.5億円となり、7期連続で売上高が期初予算割れとなったものの、利益は予算通りとなりました。保証残高については、チャネル増加による新規顧客の開拓にくわえ、与信管理及び債権回収の効率化といった付帯業務提案を実施した結果、3,887億円→4,381億円まで13.0%積み増すことに成功し、残高の伸び幅も拡大しました。例年通り売上高が未達だったのは、倒産件数の減少により保証料率が減少したことによるものであり、利益面が予算通りとなったのは経費率の削減に由ります。なお、上場来13期連続となる増収増益を達成しています。
進行期である2021年3月期予算については、期初時点から開示を行っており、売上高が29.3%増の77.0億円、経常利益は9.1%増の30.0億円を予想しています。新型肺炎による企業活動の不確実性の増加により、企業間取引のリスクヘッジニーズが増大する見通しであるほか、引受料率についても順次増額改定するため、特にトップラインが大幅に増加する見通しです。一方、倒産件数の増加も相当程度見込まれるため、(大半のリスクを再保証に出して流動化しているものの、)原価となる保証履行額の増加も見込まれるため、利益の良化幅についてはやや鈍くなります。なお、7月30日に開示済の1Qによれば、売上高は前年同期比17.6%増の16.8億円、経常利益は同18.1%増の7.3億円で進捗しており、対2Q予算に照らせばまずまず計画通りの推移となっています。
当社は中期経営計策定しておらず、かつては2018年3月期に経常利益50億円という“目標”を掲げていましたが、結果的には半分以下の数字で着地した経緯があります。但し、この経常利益50億円という数字は当社の工藤社長が上場来「普通にやっていればここまではいく」数字としてアナウンスしているものであり、達成までの必要年限はともかく会社側はある程度目算が立っているものと考えられます。ここ数年は企業業績の回復が顕著であったため、当社は逆風の中での経営を迫られていましたが、図らずも新型肺炎という追い風の中での舵取りとなるため、向こう数期は市況効果による成長モメンタムの再加速が期待されます。
既に国内のあらゆる地銀、信金、証券、リース会社といった金融機関との業務提携を済ませており、販売網自体は頭打ちとみられましたが、足許で事業会社である大和ハウスと提携し、物流施設の在庫データを活用した与信・融資保証サービスを開始するなどしており、これまでとは切り口の異なる新提携先・新サービスでの業容拡大も期待されます。その一方、事実上の親会社であった伊藤忠商事が保有する当社株式の9%持分を放出しており、伊藤忠は依然として筆頭株主ではあるものの、持分が14.9%にまで低下して関係性が薄れています。会社側は独立性の維持を理由としていますが、目下情報通信分野の強化を強力に推進する伊藤忠と距離が出来ることはマイナスであり、やや気掛かりな割引材料ではあります。
株主還元に関しては、配当性向30%基準で利益に応じてマイルドに増配してきましたが、【5.5→7→8.5→10→11.25→13→14→14円(予】、今期は14円配の据置を予想しています。当社は業績の着地が可視化された頃に増配するタイプの企業なので、好調が見込まれる業績を鑑みれば、最終的には「15円+α円」まで増額されるものとみています。
*参考記事① 2019-07-31 1,219円*分割修正済 OP
景況感改善は逆風も、安定成長路線を堅持。イー・ギャランティ(8771)。
*参考記事② 2018-06-30 1,008円 *分割修正済 OP
2桁の増収増益路線に復帰で、成長モメンタムは再加速。イー・ギャランティ(8771)。
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